電界効果トランジスタ (FET) は、ゲートの電界によって、ソース端子とドレイン端子の間を流れる電流を制御するタイプのトランジスタです。トランジスタの中でも、FETはゲートにほとんど電流が流れない点が特長です。FETは単極性デバイスでもあり、Nチャネル デバイスでは電子、Pチャネル デバイスでは正孔という、1種類の電荷キャリアのみに依存します。

FETが属するより広範なトランジスタのファミリーについては、「トランジスタとは?」を参照してください。

FETは、ゲート電圧によってデバイス内部に電界を形成することで動作します。MOSFETでは、ゲートはチャネルの上にある薄い絶縁酸化膜の上に配置されています。これが、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ (MOSFET) という名称の由来です。ゲート電圧がしきい値を超えると、半導体材料中に導電チャネルが形成され、ドレインからソースへ電流が流れます。JFETでは、同じ電界効果は逆バイアスされた接合によって生じます。

いずれの場合も、ゲート自体には実質的に電流を流さずに電流を制御します。

電界効果トランジスタとその主な種類について簡単に紹介します。電界効果トランジスタにはいくつかの種類がありますが、実際の設計で主流なのはMOSFETとJFETの2種類です。どちらも電圧制御型の3端子デバイスであり、主な違いはゲートの構造にあります。MESFETやHEMTなどの他のタイプのFETは、特殊な高周波要件に対応します。

MOSFETは、絶縁された金属ゲートを持つことから、絶縁ゲート電界効果トランジスタ (IGFET) とも呼ばれます。一方、関連するIGBT (絶縁ゲート バイポーラ トランジスタ) は、FETとバイポーラ トランジスタの特性を組み合わせ、高出力スイッチングに対応します。

MOSFETは電圧制御型デバイスであり、ゲートの電界によってソース端子とドレイン端子間の電流が制御されます。ゲートは二酸化ケイ素の薄膜によって半導体チャネルから絶縁されているため、直流電流は流れ込みません。ゲート-ソース間しきい値電圧VGS(th) を超える電圧を印加すると、伝導チャネルが形成され、ドレイン-ソース間電流が流れるようになります。

ゲートは定常電流を消費しないため、MOSFETはBJTよりもはるかに効率的に駆動できます。特に、ドライバ損失が急速に蓄積される高スイッチング周波数では、その差が顕著です。

ほとんどの電力用途では、NチャネルMOSFETが好まれます。同等のダイ面積では、シリコン中の電子の移動度が正孔より高いため、NチャネルデバイスはPチャネル品よりも低いオン抵抗 (RDS(on)) を実現します。PチャネルMOSFETは、ブートストラップ回路なしのハイサイド スイッチング、および相補型ハーフブリッジやHブリッジ トポロジーで使用されます。

MOSFETには大きく分けて2種類あります。

構造的に言えば、MOSFETはドーピングされた基板上に構築された金属酸化膜半導体FETです。たとえばNチャネルFETは、P型基板上のP型半導体材料にチャネルを形成します。

JFET (接合型電界効果トランジスタの略称) も電圧制御型ですが、ゲートとして絶縁酸化膜ではなく逆バイアスされたPN接合を使用します。これにより、JFETはデプレッションモード デバイスとなります。つまり、デフォルトでは導通しており、ゲート電圧を印加することでオフになります。JFETにはNチャネル品とPチャネル品があり、Nチャネル品の方が一般的です。

接合型電界効果トランジスタはパワー エレクトロニクス分野では広く使用されていませんが、非常に低ノイズで入力インピーダンスが高いため、スイッチング効率よりも信号の完全性が重要な高感度アナログ用途でよく選ばれます。

JFETはゲート電圧がゼロのときに導通するため、デプレッションモードMOSFETとよく似た動作をします。どちらも「ノーマリーオン」のデバイスであり、オフにするにはゲート電圧が必要なため、この2つはよく比較されます。

FETの種類によって構造は異なるものの、共通する特徴がいくつかあります。

  • 電圧制御: ゲート-ソース間電圧によってチャネル電流が決まり、ゲート自体にはほとんど電流が流れません
  • 非常に高い入力インピーダンス: ゲートは、それを駆動する段にほとんど負荷をかけません。
  • 単極動作: 電流は1種類の電荷キャリアのみが担います
  • 高速スイッチング: ゲート駆動電力が小さいため、高周波で動作できます

動作時、MOSFETは次の3つの領域を経ます。

    • カットオフ: ゲート電圧がしきい値電圧VGS(th) 未満の場合、デバイスはOFFです。
    • 線形 (オーム) 領域: デバイスは可変抵抗器のように動作します。
    • 飽和領域: デバイスは増幅のために定電流の流れをサポートします。

    FETは、効率的かつ高速にスイッチングでき、非常に高い入力インピーダンスを示すため、現代の電子機器のほぼあらゆる分野で使用されています。MOSFETはパワー エレクトロニクスおよびデジタル エレクトロニクスで主流の選択肢である一方、JFETは高感度なアナログ用途で特定の役割を担います。

    MOSFETが主流の分野:

    • 電力スイッチングおよびDC-DC変換
    • モーター制御 (Hブリッジ、インバーター)
    • デジタル ロジック (CMOS)
    • バッテリー管理システム
    • 高周波用途 (数百kHz~MHz)

    一方、JFETは、オーディオ プリアンプ、計測機器、高インピーダンス センサのフロントエンドなど、スイッチング電力よりも信号の完全性が重要となる低ノイズのアナログ用途で選択されます。

    電力用途の詳細については、以下の「パワーエレクトロニクスにおけるFETの利用方法」を参照してください。

    FETには多くの利点がありますが、コスト、速度、電力の面で極端な条件になるほど重要となる、いくつかのトレードオフもあります。

    BJTと比較すると、FETには次の利点と欠点があります。

    • スイッチング速度が速い
    • 入力インピーダンスが非常に高く、前段にほとんど負荷をかけない
    • ゲート駆動に必要な電力が少ない
    • オン抵抗が低く (MOSFET) 、スイッチとして高い効率を実現
    • 集積が容易 (単一のCMOSチップに数十億個のFETを集積可能)
    • 静電気放電 (ESD) に弱い (MOSFETの薄いゲート酸化膜は静電気で損傷しやすい)
    • ゲート容量はサイクルごとに充電と放電が必要で、非常に高いスイッチング周波数ではエネルギー損失になる
    • 低電力 低コスト用途では、単純なBJTより高価になることが多い
    • オン抵抗 (RDS(on)) などの特性は温度で変化するため、高出力設計では慎重な熱設計が必要

    どちらが有利かは用途によって異なります。高周波の電力変換やデジタル ロジックでは利点が明確に上回りますが、シンプルで低コストかつ低消費電力のスイッチ用途では、BJTの方が依然として適した選択肢となる場合があります。

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    FETの主な端子 (ゲート、ソース、ドレイン) は?

    MOSFETおよびJFETの場合:

    • ゲート (G): 電圧制御入力
    • ソース (S): 基準端子
    • ドレイン (D): 出力電流端子

    FETは、現代技術において最も重要な電子部品の一つです。小型で効率的なスイッチとして、FETはデジタル回路の論理回路を構成します。すべてのプロセッサとメモリ チップは、CMOS技術のMOSFETで構成されています。

    電力デバイスとして、FETは携帯電話の充電器から電気自動車のドライブトレインまで、非常に幅広い電子機器やアプリケーションにおいてエネルギー変換を高効率化します。

    FETは1つのチップ上に数十億個単位で製造できるため、今日のコンピューティングおよびパワー エレクトロニクスのほぼすべてを支えています。

    バイポーラ接合トランジスタ (BJT) は電子と正孔の両方を用いて伝導するのに対し、ユニポーラFET (MOSFET、JFET) は1種類のキャリアのみを使用します。実用上は、BJTは電流制御型であるのに対し、FETは電圧制御型です。その結果、FETはゲート電流がほぼゼロで、入力インピーダンスが非常に高く、スイッチングが高速です。一方、BJTは低コストかつ低消費電力の用途で優位性を保っています。

    完全な比較については、 MOSFETとトランジスタ(BJT)の比較を参照してください。

    どちらも電圧制御型FETですが、JFETのゲートはPN接合 (通常オン、デプレッション モード) であるのに対し、MOSFETのゲートは絶縁された酸化膜層 (通常オフ、エンハンスメント モード) です。MOSFETは汎用性が高く、JFETは超低ノイズのアナログ回路で好まれます。

    MOSFETトランジスタは、次のような多くのパワー エレクトロニクス システムで主流となっています。

    • DC/DCコンバーター
    • モーター制御回路
    • Hブリッジ ドライバ
    • バッテリー管理システム

    MOSFETは高周波で効率的にスイッチングするため、エネルギー効率の高い電力変換システムに広く用いられています。