ソフトウェアデファインドビークル(SDV)

ゾーンコントロールユニット (ZCU) を備えたSDV対応E/Eアーキテクチャ

ソフトウェアデファインドビークル (SDV) という用語は単純化されて、新しい自動車プラットフォームの開発におけるあらゆるものに対して使用されているようです。しかし、それだけではなく、SDVは自動車業界にとって、ハードウェアベースのエンジニアリングから、サービス指向アーキテクチャのソフトウェア中心の開発へのパラダイムチェンジです。古典的な電気/電子アーキテクチャ (E/Eアーキテクチャ) とモノリシックソフトウェアアーキテクチャは、この新しいトレンドにはもはや適しません。その結果、E/Eアーキテクチャは、車載ネットワーキング (IVN) と電源分配システム (PDS) の両方でセントラルコンピューティングを備えたゾーン構造に変わりつつあります。

SDV対応E/Eアーキテクチャの変革

ソフトウェアデファインドビークル (SDV) のトレンドは、E/E アーキテクチャに2 つの大きな影響を与えています。1つ目は、主にIVNに関連するもので、ソフトウェアの複雑さを軽減する、集中型コンピューティングとイーサネットバックボーンを備えたゾーンE/Eアーキテクチャの導入です。2つ目は、主にPDSに関連するもので、ワイヤーハーネスの複雑さの軽減によってもたらされた分散型の電動化された配電の導入です。これら2つの共通点が、IVN と PDS をつなぐ役割を担うゾーンコントロールユニット (ZCU) であり、セントラルコンピューティングとエンドポイントの間で変換や集約のレイヤーを構築します。

SDV 対応 ZCU の紹介

ゾーンコントロールユニット、または一般にゾーンコントローラーと呼ばれるものは、特定のドメインとは無関係に、物理的な場所に関連する一連の車両機能を集約します。ゾーンコントローラーは、イーサネットバックボーンを介して相互にリンクされ、中央のカーコンピューターに接続されます。そのため、ゾーンコントローラーにはゲートウェイ、配電、負荷作動機能が備わっています。さらに、48 Vの一次配電がE/Eアーキテクチャに導入されると、48 V/12 V DC-DC機能が統合される可能性があります。インフィニオンのチップセットソリューションの詳細については、対応するゾーンコントローラーアプリケーションのページをご覧ください。

SDV対応ADAS/AD

先進運転支援システム (ADAS) と自動運転 (AD) は、ソフトウェアデファインドビークル (SDV) のコンセプトの中心を担っています。どちらも革新性、適応性、機能性においてソフトウェアに大きく依存しているためです。AI、センサーフュージョン、リアルタイムデータ処理、接続性を組み合わせたこれらのシステムは、車線維持、アダプティブクルーズコントロール、自動運転などの機能を可能にします。これは、継続的な改善を保証するためにモジュール式ソフトウェア設計、クラウド統合、無線アップデートを重視するSDVのコンセプトと当然一致します。SDVアプローチは、スケーラブルな展開、頻繁な更新、高度なコンピューティングおよびデータ管理機能の統合をサポートすることで、ADAS/AD を強化します。一方、ADAS/AD システムの複雑さと安全性の要求により、SDV プラットフォームの進化が促進され、高性能プロセッサとサイバーセキュリティの進歩が推進されています。ADAS/ADとソフトウェアデファインドビークルは、相互に補完し、相互に影響を与えながら、ADAS/ADをSDV変革の主要な推進力として位置づけています。

信頼性の高い配電

電源分配とは、電源からあらゆる種類の負荷に、電源分配システムを介してエネルギーを制御して輸送することです。ソフトウェアデファインドビークルにける配電システムは、ADASや自動運転のみならず、シャーシ制御や安全性、中央コンピューター向けにおいては特に、ISO 26262に準拠して常時利用可能な電源またはフェイルオペレーションの電源を確保し、ASIL Dシステムへの準拠を確保する必要があります。インフィニオンのチップセットソリューションの詳細については、対応する配電アプリケーションページをご覧ください。

SDV対応コックピット

ソフトウェアデファインドビークル (SDV) の基盤となるソフトウェアに焦点を当てた、サービス指向のE/Eアーキテクチャにおいて、コックピットはダイナミックなハブになります。シームレスな無線アップデートにより、リアルタイムの適応性と高度にパーソナライズされた運転体験が可能になります。スケーラブルなコネクテッドプラットフォームを搭載した SDV アーキテクチャは、コックピットコンピューターを、コネクテッドモビリティの未来へのドライバー中心のゲートウェイに変えます。インフィニオンのコックピットコンピューターソリューションの包括的なポートフォリオは、セントラルコンピューティングユニットの一部として、またはスタンドアロンソリューションとして、SDVアーキテクチャへの柔軟な統合をサポートします。これにより、お客様は次世代のインテリジェントなソフトウェアデファインドビークルを設計できるようになります。

車両アーキテクチャの変革: ソフトウェアデファインドビークル (SDV) におけるイーサネットの役割

インフィニオンのイーサネットソリューションは、SDVのアプリケーションに必要な高速で信頼性が高く、スケーラブルな通信を可能にするソフトウェアデファインドビークル (SDV) への変革をサポートする上で重要な役割を果たしています。イーサネットソリューションは、ゾーン制御ユニットを相互に接続したり、セントラルカーコンピューターや将来のスマートエンドポイントに接続したりすることで、ゾーンアーキテクチャのバックボーンを形成します。

車両機能の複雑さが増し続け、データ集約型アプリケーションに対する需要が高まる中、インフィニオンのイーサネットソリューションは、必要な帯域幅と接続に対応し、リアルタイムのデータ処理と意思決定を可能にします。当社のソリューションは、さまざまなプロセッサ/コンピューティングユニットとアプリケーション間における効率的な通信基盤として機能し、ゾーン車両E/Eアーキテクチャと集中型ソフトウェアアーキテクチャをシームレスに統合します。さらに、イーサネットネットワークの標準化された規格により、互換性のあるコンポーネントやシステムの開発が簡素化されます。また、冗長性、耐障害性、暗号化など、高度な安全性とセキュリティ機能も提供します。

インフィニオンのイーサネットソリューションは、堅牢な信頼性を備えたスケーラブルなマルチギガビットソリューションを提供することで、ソフトウェアデファインドビークル (SDV) が、インフォテインメントや先進運転支援システム (ADAS)、自動運転 (AD) からコックピット、テレマティクスアプリケーション、コネクテッドゾーンコントローラーに至るまで、幅広いアプリケーションをサポートできるようにします。また、当社のソリューションは、ISO 26262やサイバーセキュリティISO 21434などの厳しい自動車規格を満たし、重要なアプリケーションに必要な信頼性と安全性を保証します。

インフィニオンのイーサネットソリューションの詳細については、インフィニオンのイーサネットポートフォリオをご覧ください。