無停電電源(UPS)
無停電電源(UPS)は、バッテリまたはバッテリバンクのDC電圧をAC電圧に変換して電源を確保するものです。
サブカテゴリーを選択

UPSは、工業生産プロセス、通信、データセンター、医療機器、スモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)など、さまざまなアプリケーションで使われています。
典型的なUPSでは、12Vまたは24Vの鉛蓄電池で駆動されるMOSFETベースのインバータを使用しています。定格電力の大きいシステムでは、電流を制限するためにより高いバッテリ電圧が必要になります。そのため42Vおよび72Vのシステムも存在しますが、あまり一般的ではないので、このリファレンスデザインでは、12Vバッテリをベースにしています。バッテリの設置場所は、UPSの外部または内部どちらの場合もありますが、外部の場合は自動車用バッテリ、内部の場合は密閉型鉛蓄電池が使われます。UPSシステムは次の3つのカテゴリに分類されます。オフライン/スタンバイ無停電電源(UPS)、ラインインタラクティブ無停電電源(UPS)、オンライン/ダブルコンバージョン無停電電源(UPS)。

3. オンライン/ダブルコンバージョン:AC入力はバッテリを充電するレベルのDC電圧に変換され、さらにもう一度ACに変換されます。したがって、AC電源が停電した場合には、シームレスにバッテリバックアップに切り換えられて、システムは中断することなく動作を継続します。このシステムでは、常に安定できれいなAC出力が供給されますが、本質的に、変換段による効率低下が発生します。より高度なシステムでは、この効率低下を軽減するために、AC電源が供給されているときには2つの変換段を部分的にバイパスすることにより、ごくわずかな電力だけが変換段を通過するようになっています。AC入力が停電した場合は、出力を中断することなく、インバータ段が全負荷を受け持つことができます。
オフライン無停電電源

オフライン(スタンバイ)UPSは、主にスモールオフィス・ホームオフィス(SOHO)で使われています。一般的なオフラインUPSは、0~10kVAです。主にディスクリートパワー半導体ソリューションで対応する領域ですが、通常は、低周波トランスをベースにしたシステム、高周波トランスをベースにしたシステムの2種類に分類されます。AC電源電圧が供給されているときは、リレーによってインバータがバイパスされており、インバータはオフの状態になっています。バッテリ充電器が働いて、フル充電を維持します。AC電源が停電するとリレーが切り換えられて、UPS出力はインバータに接続されます。インバータは10~20msの短い中断の後に起動して、バックアップ電力を供給します。
オンラインUPS

世界中で二酸化炭素の排出削減に対する意識と責任が拡大するのに伴って、より厳しい法令遵守が要請されています。その結果としてエネルギーコストの高騰という脅威が増大するため、市場がより効率の高いUPSを求めるようになっています。同じレベルの保護を備えながら、より小型のUPSユニットを顧客が要求するという市場のトレンドもあります。のトレンドは、不動産価格の高騰および所有コストの増大によるものです。UPSユニットのフットプリントが小さくなり、また重量が軽くなれば、その運用コストが低下するとともに、より多くの空間を中核的なビジネスやプロセスに利用できるようになります。Easyパワーモジュールの利点、すなわち業界標準となる低い浮遊インダクタンスと、インフィニオンの1200V CoolSiC™ MOSFETチップの利点を組み合わせることにより、お客様はシステムコストや運用コストを大幅に低減できるだけでなく、今までにないレベルの効率と電力密度を活用できるようになります。
技術トレンド:
サーバ、データセンター、産業用オートメーションなどのアプリケーションでは、ダブルコンバージョンUPSトポロジが必要になります。UPSシステムは、2段階のプロセスによって、接続された機器に電力を供給します。最初に、入力されたAC電力をDC電力に変換し、次に、そのDC電力を調整された純正弦波のAC電力に変換します。停電時には、UPSシステムは貯蔵されたDCバッテリ電力をAC電力に変換します。さらに、内部故障または過負荷状態の場合は、内部の部品を自動的にバイパスして、接続された機器へ電源を直接供給します。
このDC-ACシステムは、DCを調整された純正弦波のAC電圧に変換します。このステージでは、2レベルまたは3レベルのNPC 1/ NPC 2トポロジがよく使われます。特に、より効率が高いため3レベルNPC 1/ NPC 2が広く使われています。3レベルNPC 1では、600Vデバイスを使用できるので、20kHzを超えるスイッチング周波数での動作や高出力電圧UPSモデルに最適です。3レベルNPC 2では、600Vおよび1200Vデバイスを使用できるので、20kHz以下のスイッチング周波数での動作や低出力電圧UPSモデルに最適です。
インフィニオンの1200V CoolSiC™ MOSFETは、シンプルな2レベルトポロジのままでも複雑な3レベルトポロジよりも高効率かつ高電力密度を得ることができ、インバータ設計における新しい可能性を切り開きます。
コネクテッドデバイス、スマート産業、IoTの急速な成長により、私達の個人生活および職場が以前よりも接続されるようになり、堅牢で安定した電源に依存するようになってきています。そのため無停電電(UPS) の保護に対する要求もさらに高まる可能性があります。現在の無停電電源装置(UPS)システムの信頼性の向上とダウンタイムゼロへの要求は、メーカーがより堅牢なコンポーネントをUPSシステム用に設計することにつながります。インフィニオンの高品質な製品は、UPSアプリケーションの電力範囲全体を対象としたソリューションを提供します。インフィニオンの半導体を搭載したUPSシステムは、最高の電力変換効率と最先端の電力密度を達成できます。
SOHO用UPS(無停電電源)の給電方式には常時商用、常時インバータ、ラインインタラクティブがあり、それらは低周波トランスを使用したシステムとフェライトコアをベースにした高周波トランスを使ったシステムに大別されます。最も基本的な UPSは 50~60 Hz の矩形波を出力しますが、周辺の機器への影響を考慮すると正弦波出力のインバータを使用するのが好ましいです。また、システムによっては大きく歪んだ正弦波を出力する場合があります。ここで取り上げる評価ボードは、低周波トランスをベースに、低い歪み率の正弦波出力波形を生成します。
ARM® Cortex®-MコアをベースにしたXMC™マイクロコントローラファミリは、業界標準のコアが必要なリアルタイム性の求められるアプリケーションに最適です。XMC1000シリーズは、電力変換、工場およびビルのオートメーション、交通機関、家電製品などの分野で使用されるアプリケーションに特化しています。XMC1000シリーズは、ARM® Cortex®-M0コアと、市場実績のある差別化されたペリフェラルを、最先端の65 nm製造プロセスで実現しています。
XMC13xのオプションは、CCU8タイマ/PWMモジュールの機能を提供します。必要なゲート駆動信号を提供する必要があります。32MHzのクロック速度で、20kHzでスイッチングするPWM出力に十分な粒度の調整を提供します。MATHコプロセッサとBCCU LED照明エンジンは、オフラインUPSアプリケーションなどでは不要なため、XMC1301で十分です。例えば、16ピンPG-TSSOP-16-8パッケージのXMC1301-T016F0032バリアントは、32KBのフラッシュメモリと16KBのSRAMに、必要なオフラインUPS機能をサポートするのに十分なI/Oピンを備えています。
ファームウェアは、無料でダウンロードできるDAVETM IDEを使用して開発できます。プログラミングとデバッグは、XMCTM Link絶縁デバッグプローブを使って行います。デバイス定義、設定、コンパイルおよび実行コードのビルドに必要なソースファイルが含まれたDAVETM IDE内でプロジェクトを作成し、XMCTMコントローラのフラッシュプログラムメモリにダウンロードできます。複数のプログラミング/デバッグ・プロトコルが利用可能です。

本eラーニングでは、無停電電源装置 (UPS) アプリケーション向けのパワーソリューションの位置づけについて解説します。また、さまざまなタイプのUPSや一般的に使用されるトポロジーについても説明しています。