インフィニオン、サイプレス社を含む初の業績値となる第3四半期決算を発表。強固な収益性と通期見通しを確認

2020/08/04 | ビジネス&フィナンシャルプレス

2020/8/4 | 四半期レポート

  • 2020会計年度第3四半期:売上高は21億7,400万ユーロ、事業部合計利益は2億2,000万ユーロ、事業部合計利益率は1%。
  • 2020年4月16日の買収完了を受け、サイプレス社を統合。予備的な取得原価配分(PPA)により約55億ユーロののれん代が発生。
  • 2020会計年度第4四半期の見通し:平均為替レートを1ユーロ=1.15ドルとする想定に基づき、売上高は23億ユーロから26億ユーロの範囲と予想。売上高が予想範囲の中心値の場合、事業部合計利益率は約14%と予想。
  • 2020会計年度通期見通し:第4四半期の売上高が予想範囲の中心値と想定した場合、2020会計年度通期の売上高は約85億ユーロと予想。同売上高水準での事業部合計利益率は約13%と予想。 

2020年8月4日、ノイビーベルク(ドイツ)

独インフィニオンテクノロジーズは本日、2020会計年度第3四半期(至2020年6月末)の業績を発表しました。

インフィニオンの最高経営責任者(CEO)、ラインハルト プロス(Dr. Reinhard Ploss)は、次のように述べています。「インフィニオンはこれまで、新型コロナウイルスパンデミックによって引き起こされた困難な状況に適切に対応してきました。この新たな事態に迅速に対応し、企業として事業の安定化を可能とする枠組を構築しました。インフィニオンの多様なビジネスモデルはサイプレス社の統合によってさらに強化され、特に収益性の面でその強固さを裏付けるものとなりました。パンデミックは当社がターゲットとする市場に引き続き大きな影響を及ぼしており、多くの製品分野において需要減退を引き起こしています。幸いなことに、特に影響の大きかった自動車関連の分野では具体的な回復の兆しが見えてきています。またデータトラフィック量の拡大、モノのインターネット、およびモバイル通信を通じた、デジタル化の拡大も回復に貢献しています。今会計年度第4四半期については慎重ながらも楽観的な見通しを立てています。それでも、当社の業績は、新型コロナウイルスパンデミックが世界中でどのような経緯を辿るか、またこれまでに実施された経済刺激策の影響、およびさまざまな地政学的要因等に大きく左右されます。」

 

2020 会計年度第3四半期のグループ業績

インフィニオングループの2020会計年度第3四半期の 売上高は、前四半期の19億8,600万ユーロから21億7,400万ユーロに増加しました。サイプレス社(Cypress Semiconductor Corporation)の買収は2020年4月16日付で成功裏に完了しました。これに伴い、サイプレス社は同日付で完全にインフィニオンと統合されました。サイプレス社が持つさまざまな業務分野は、オートモーティブ (ATV) 、パワー&センサーシステムズ (PSS)、およびコネクテッドセキュアシステムズ(CSS) [1]の各事業部に振り分けられました。売上高の大部分はATV事業部とCSS事業部に配分され、PSS事業部への配分は小規模なものとなりました。グループ売上高の9%増は主にCSS事業部とPSS事業部によるものでした。インダストリアルパワーコントロール(IPC)事業部の売上高は横ばいでしたが、ATV事業部の売上高はサイプレス社を初めて統合したにもかかわらず減少しました。

第3四半期の 粗利益率は前四半期の34.5%に対して27.0%でしたが、 調整後粗利益率は前四半期の35.6%から35.9%に改善しました。 事業部合計利益は前四半期の2億7,400万ユーロから2億2,000万ユーロに低下しました。 事業部合計利益率は前四半期の13.8%から10.1%に低下しました。

非事業部損益は前四半期の4,800万ユーロの純損失に対して3億1,300万ユーロの純損失となりました。この損失の拡大はサイプレス社の買収と統合に伴う、主に取得原価配分(PPA)によるものでした。第3四半期の数値の内訳は、1億9,300万ユーロの売上原価、7,900万ユーロの販売費および一般管理費、および800万ユーロの研究開発費でした。これに加え、第3四半期には純営業費用として3,300万ユーロが発生しました。

その結果、前四半期の2億2,600万ユーロの営業利益から一転、第3四半期は9,300万ユーロの 営業損失計上となりました。

財務収支は前四半期の2,700万ユーロの純費用から7,900万ユーロの純費用に悪化しました。この大きな変化は、サイプレス社買収のための資金調達関連費用、およびサイプレス社の金融負債を統合したことによるものでした。財務収支にはこれらに加え、サイプレス社買収に伴う借り換えに関連した金利リスクヘッジを目的とする1,500万ユーロの費用が含まれています。 

サイプレス社を初めて統合したことに伴う取得原価配分、および関連する繰延税金負債の計上の結果、第3四半期には4,400万ユーロの 税金収益が発生しました。前四半期には2,100万ユーロの税金費用が発生していました。

継続事業からの利益/損失は、前四半期の1億7,800万ユーロの利益から1億2,800万ユーロの損失に転じました。 非継続事業からの損益は前四半期と同じくプラスマイナスゼロでした。このため第3四半期は1億2,800万ユーロの純損失となり、これに対し前四半期は1億7,800万ユーロの純利益でした。

継続事業からの1株当たり利益/損失は0.11ユーロ(基本的および希薄化後とも)の損失となり、これに対し前四半期は0.13ユーロの利益でした。 調整後1株当たり利益 [2](希薄化後)は前四半期から横ばいの0.13ユーロの利益でした。

インフィニオンが有形固定資産および無形資産の購入額、ならびに資本化された開発費用の合計として定義する 投資額は、前四半期の2億4,700万ユーロに対して2億6,600万ユーロでした。 減価償却費および償却費は前四半期の2億4,900万ユーロから3億8,100万ユーロに増加しました。この増加は主にサイプレス社に関連した減価償却費が統合されたことによるものであり、サイプレス社関連の内訳は新たに公正価値で評価された資産、あるいは取得原価配分に関連して公正価値で再評価された資産に伴う5,200万ユーロ、ならびに継続中の減価償却による7,800万ユーロです。

継続事業からの フリーキャッシュフロー [3]は、サイプレス社の購入価額支払いに伴いマイナス71億3,700万ユーロに減少しました。サイプレス社買収に関連した現金支出と、サイプレス社から取得した現金に基づく調整を除外した場合の有機的フリーキャッシュフローはプラス4億3,900万ユーロとなりました。前四半期のフリーキャッシュフローはプラス1億800万ユーロで、サイプレス社買収に関連した現金支出を除外した場合にはプラス1億1,600万ユーロでした。 継続事業での営業活動によるキャッシュフローは5億3,300万ユーロで、前四半期の3億5,400万ユーロから増加しました。

第3四半期末現在の グロスキャッシュポジションは34億5,000万ユーロで、これに対し前四半期末現在は45億8,800万ユーロでした。第3四半期末現在のネットキャッシュポジションは、サイプレス社買収の影響と、それに関連してグロス有利子負債額が前四半期の15億3,700万ユーロから77億4,600万ユーロに増加したことを反映し、前四半期末現在のプラス30億5,100万ユーロからマイナス42億9,600万ユーロに減少しました。

サイプレス社買収 – リファイナンス(借り換え)について

サイプレス社の買収は2020年4月16日に完了しました。IFRSに従い決定された購入価額である約83億ユーロ(取得現金を差し引いた金額)に基づく予備的な取得原価配分により、55億ドルののれん代が発生しました。

上記買収金額の借り換えのため、2020年5月26日に約5,500万株の新株発行による増資を行い、約10億ユーロを確保し、この金額がサイプレス社買収のため銀行から調達した買収資金の一部返済に充当されました。この株式発行により、サイプレス社買収資金借り換えのうちのエクイティ部分が完了しました。 

同じく借り換えのため、総額29億ユーロの固定金利の社債を2020年6月17日に発行しました。それぞれ満期と金利の異なる以下の4本のトランシェで構成されています。

  • 7億5,000万ユーロ、3年満期、表面利率0.75%
  • 7億5,000万ユーロ、6年満期、表面利率1.125%
  • 7億5,000万ユーロ、9年満期、表面利率1.625%
  • 6億5,000万ユーロ、12年満期、表面利率2.00%

これらの増資と社債発行による調達資金は、すでにサイプレス社買収のためのつなぎ融資の全額返済に充当されています。当初の買収資金調達のうち、総額33億米ドルの3本のタームローンが残っています。

2020 会計年度第4四半期の見通し

平均為替レートを1ユーロ=1.15ドルとする想定に基づき、インフィニオンは、サイプレス社からの売上高が初めて四半期全体に反映され、前四半期比での成長に寄与することにより、本年度第4四半期の売上高が23億ユーロから26億ユーロの範囲になると予想しています。またATV事業部では大幅な増加、PSS事業部とCSS事業部では微増、IPC事業部では横ばいを予想しています。地政学的要因と新型コロナウイルスパンデミックによる経済混乱のため、信頼性の高い予測が困難になっています。売上高に影響を及ぼすパンデミック関連の主要な要因には、グローバルな感染率の経時的推移と経済活動制限の可能性、および政府による支援策がどの程度奏効するかがあります。

売上高が予想範囲の中心値の場合、 事業部合計利益率は約14%と予想しています。

2020 会計年度通期見通し

第4四半期の売上高を見通しの中心値と想定した場合、2020会計年度通期の売上高は約85億ユーロと予想されます。この売上高水準での事業部合計利益率は約13%となります。

2020会計年度には、有形固定資産、無形資産、および資本化された開発費用を含む総額約12億ユーロの 投資を計画しています。 減価償却費および償却費はサイプレス社の予備的取得原価配分の影響を含めて約13億ユーロの見込みです。

2020会計年度期初から現在まで、 フリーキャッシュフローにはすでにサイプレス社買収ならびに新型コロナウイルスパンデミックに伴う経済への圧力から大きな影響を受けており、2020会計年度全体として大きなマイナスになると予想しています。しかしながらサイプレス社買収に関連した現金を除いた有機的フリーキャッシュフローは6億ユーロを超えるプラスとなる見込みです。

2020 会計年度第3四半期の事業部別業績

ATV 事業部の2020会計年度第3四半期の売上高は、サイプレス社の統合にもかかわらず8億4,600万ユーロから8億1,500万ユーロに減少しました。従来サイプレス社に属していた分野(主にマイクロコントローラーと特殊メモリ)は、当該事業部第3四半期売上高のほぼ4分の1を占めました。前四半期からの売上高減少は、新型コロナウイルスパンデミックによって引き起こされた、すべてのアプリケーション分野での需要減退によるものでした。唯一、電気自動車向けコンポーネントの売上高は前四半期からわずかに増加しました。売上高が大きく低下したことにより、 事業部利益/損失も2,400万ユーロの損失となりました。前四半期は5,100万ユーロの利益でした。 事業部利益率は前四半期のプラス6.0%からマイナス2.9%に低下しました。

IPC 事業部の当会計年度第3四半期の売上高は、前四半期の3億5,800万ユーロから3億6,600万ユーロに微増となりました。この2%増は主に産業用ドライブと風力発電タービンへの需要拡大を反映しています。太陽光発電と家電品の売上高もわずかに増加しましたが、駆動装置関連の製品では一部のプロジェクトが延期されたことにより減少しました。 事業部利益は6,300万ユーロで、これに対し前四半期は6,200万ユーロでした。 事業部利益率は前四半期の17.3%から17.2%に低下しました。

PSS 事業部の当会計年度第3四半期の売上高は10%増の6億8,100万ユーロとなりました。この売上高にはサイプレス社のUSBコントローラー事業が含まれていますが、これが売上高全体に占める割合は10%未満でした。前四半期の売上高は6億1,700万ユーロでした。AC-DCとDC-DC電源事業の売上高は、サーバーおよび5Gインフラストラクチャ向け製品への活発な需要が続いていることを反映して大きな成長を記録しました。モバイル機器向け製品は、スマートフォンへの需要減少を中心として新型コロナウイルスパンデミックによる悪影響を受けました。 事業部利益は前四半期の1億3,800万ユーロから1億4,300万ユーロに増加しました。 事業部利益率は前四半期の22.4%から21.0%に低下しました。

CSS 事業部の当会計年度第3四半期の売上高は、サイプレス社の産業用マイクロコントローラーとコネクティビティ関連事業が統合されたことにより、前四半期の1億6,200万ユーロから2倍近い3億700万ユーロに増加しました。新型コロナウイルスパンデミックの影響により、多数のアプリケーション分野で需要がわずかに低下しました。これに対し非接触型決済ソリューションへの需要は拡大しました。 事業部利益は前四半期の2,300万ユーロから3,700万ユーロに増加しました。 事業部利益率は前四半期の14.2%から12.1%に低下しました。

 

[1] 2020年8月1日付けで「Digital Security Solutions(デジタルセキュリティソリューションズ)」事業部の名称が「Connected Secure Systems(コネクテッドセキュアシステムズ)」事業部に変更されました。この名称変更はサイプレス社の「IoT, Compute & Wireless」事業部門の統合、およびそれに関連した同事業部の製品ポートフォリオと事業範囲拡大を反映したものです。

[2]調整後純利益と調整後1株当たり利益(希薄化後)は、代替指標または上位の業績指標とみなすべきものではなく、IFRSに準拠して決定した純利益および1株当たり利益(希薄化後)に関する追加的情報とみなすべきものです。調整後1株当たり利益の計算方法については、英語原文14ページに詳細が記載されています。

[3] フリーキャッシュフローとグロスおよびネットキャッシュポジションの定義と計算方法は、英語原文17ページをご覧ください。

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INFXX202008-085j

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