研究活動が成功裏に完了:電気自動車に搭載される電子システムの信頼性・堅牢性が向上、将来的な制御ユニットの耐久性が現行の4倍に
自動車の処理するタスクは増え続けています。相互に通信を行い、深刻な交通状況を回避し、将来的には自動運転も考えられます。そして、こうした要素のすべてに求められるのが、燃費の向上とCO 2排出量の削減です。独インフィニオンテクノロジーズはこの度、同社の主導プロジェクト「RESCAR 2.0」の研究成果を発表しました。自動車の複雑化が進み、車載用エレクトロニクスシステムや、こうしたシステムの内蔵チップの信頼性に関してより厳格な要件が求められる中、こうした課題とイノベーションサイクルのさらなる短縮化の間で折り合いをつける必要がありますが、今回の研究成果は、自動車業界がこうしたジレンマの解決策を見出すことができるものとなっています。「RESCAR」の研究作業は3年間に及び、電子部品の要件が特に厳しい電気自動車が中心分野となりました。
RESCAR 2.0 の取り組み:電気自動車部品の信頼性・堅牢性の大幅な向上
パワートレインや電子制御ユニット(ECU)、自動車のボディ&コンビニエンスエレクトロニクスでは、電子部品の点数の増加と複雑化が進んでいます。今日の中型自動車には、約70個のECUが搭載されていますが、今後5年でその数は約100個に達する見込みです。これらの小型PCはネットワークに接続されており、常にエラーのない、高い信頼性で通信を行う必要があるため、自動車のサイズによって異なりますが、約4,000~8,000個のチップで構成されています。
特に電気自動車の場合、これまでにない厳格な要件を満たす必要があり、抵抗性、信頼性、耐久性に優れたECUが求められます。さらに、運転動作だけではなく、設置される電子部品とチップは、停止時にもストレスを受けます。一例としては、クイック充電や夜間充電時のバッテリー管理が挙げられます。そのため、電子システムには3万時間以上の動作を持続可能な設計が求められます。燃焼エンジンを搭載した今日の標準的な自動車の動作時間は約8,000時間であることから、これは約4倍の長さにあたります。現在まで、電気自動車のECUは、こうした課題の克服に向けた特定分野での精巧な手作業によって向上を重ねてきました。
RESCAR 2.0の課題は、自動車のバリューチェーン全体を通じて使用可能で、自動車の複雑化や信頼性に対する要件の高まりを考慮した形で、開発プロセス向けの手法や手順を研究することにありました。RESCAR以前は、独立したソリューションが選択的に最適化されるのが一般的で、この種の手法は存在しませんでした。RESCARの研究成果は、業界横断型のソリューションであり、これまでに比べて大幅に効率的な方法で、ECUをアップグレードできます。
「設計による堅牢性」:自動車のバリューチェーンの全段階に対応した、 RESCAR 2.0 開発の標準プロセス
研究パートナー5団体は、半導体メーカーからシステム製造業者、自動車メーカーまで、自動車のバリューチェーン全体を通じ、標準化されたプロセスと手法を開発しており、これらは、すでに開発活動の極めて初期段階にある誰もが応用可能です。一例を挙げると、特殊な堅牢性分析方法が考案されています。これらは、開発フェーズの段階から、想定されるアプリケーション分野について、計画中のECUやチップの適合性を検証・確認するのに役立ちます。このほか、自動車メーカーに結果を報告する際も役立ちます。そのため、ECUやチップの設計フェーズからすでに、自動車メーカーの要件プロファイルが考慮されています。
要件プロファイルは、ECUの技術仕様の固定要素であり、自動車の関連データすべてが含まれます。こうしたデータには、環境条件(温度、湿度、供給電圧等)に基づくストレス要因、運転動作の特定の状況、それぞれのアプリケーションの移動、保存、処理、連続動作に関する主要データなどがあります。RESCARのパートナー各社は、こうしたデータを、それぞれの価値の枠組みの中で、求められる詳細の度合いまで分解して、全社が一貫してデータを利用可能な形で、標準化を行っています。
RESCARのおかげで、堅牢性と耐久性に関し、これまでにない非常に高い水準を達成するECUの開発作業が、自動車のバリューチェーン全体に即した形で、緊密な連携を実現します。例えば、電気自動車のECUは今後、信頼性と堅牢性に関し、これまでよりも大幅に厳しい要件に対応できます。ステアリングやブレーキの完全機械式/油圧式から電子機械システムへの移行など、自動車の中心的なECUの転換についても、RESCARの成果は、最高の安全基準への対応を後押しします。ECUとチップの開発時には、安全性に関する側面や、部品同士の多種多様な相互作用、これらの相互依存性についても、すでに現時点で考慮できます。このほか、各アプリケーションの要件に合わせた調整も可能です。
RESCAR のプロジェクトパートナー
RESCARプロジェクトのパートナーは、自動車メーカーのAUDI AG、システムサプライヤーのRobert Bosch GmbH、FZI情報技術研究センターと、半導体企業のElmos Semiconductor AGとインフィニオンの5団体で構成され、自動車のバリューチェーンの全段階を網羅しています。インフィニオンは、プロジェクトマネジメントも担当しています。このほか、ドイツ人工知能研究センター(DFKI)、フラウンホーファーIIS(集積回路研究所)、フラウンホーファー信頼性マイクロインテグレーション研究所(IZM)、ハノーバー大学、ドレスデン工科大学、テュービンゲン大学も参加しています。
RESCARとは、「電気自動車分野のアプリケーション向け新型電子部品の堅牢設計」のドイツ語の頭文字です。プロジェクト全体を通じた投資総額は、約1,330万ユーロに上りました。RESCAR 2.0は、「STROM」(「電気自動車向け主要技術」のドイツ語の頭文字)プログラムの一環として、独連邦教育研究省(BMBF)より約650万ユーロの資金援助を受けました。
ドイツ連邦政府では、電気自動車の市場・供給元として、世界をリードする存在になることを目標に掲げています。RESCAR 2.0研究プロジェクトの成果は、この目標の達成で欠くことのできない貢献を果たしています。最終的には、電気自動車の性能、安全性、快適性が燃焼エンジン型の自動車と同等になりさえすれば、市場での広範な採用が見込まれます。
「RESCAR」についての詳細は、https://www.edacentrum.de/rescarをご覧ください。
インフィニオンについて
インフィニオンについて
インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2013会計年度(9 月決算)の売上高は38億4000万ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,700人です。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQX に株式上場しています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト:http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
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インフィニオンテクノロジーズジャパン株式会社
広報グループ 佐々木 洋子
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INFXX201410-004
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Thanks to the Infineon-headed R&D project “RESCAR 2.0” the reliability and robustness of electronic systems in electrical cars can increase and future electronic control units (ECUs) can be four times more durable.Logo RESCAR
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