インフィニオンの新しいチップが超低コスト携帯電話ハンドセットの業界標準を刷新電子コンポーネント数を50個以下に、材料費を16米ドルに削減

2006/02/13 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、標準的な携帯電話の電子部品数をこれまでの約100個から50個以下に削減できる新しいチップを発表しました。基本的な通話機能に加えてSMS(ショート・メッセージ・サ ービス)の送受信や、多重和音による着信音再生にも対応したインフィニオンのシングルチップ・ソリューションE-GOLDvoice™は、ベースバンド・プロセッサ、RFトランシーバ、パワーマネジメント・ユ ニット、RAMをわずか8mm x 8mmの面積に組み込み、モバイル通信機器としては最高のシリコン集積度を実現しています。従来これらのコンポーネントは個別複数のチップに分かれ、E -GOLDvoiceチップの約2倍の面積を必要としていました。

E-GOLDvoiceは、インフィニオンの超低コスト携帯電話ハンドセット用第2世代プラットフォームULC2の中核をなすチップです。この新しいプラットフォームでは、超 低コスト携帯電話の材料費を約20%引き下げることが可能で、インフィニオンの従来のプラットフォームでは約20 米ドルかかっていたコストを16米ドル以下に削減できます。このコストには電子部品、プ リント回路板、コネクタ、ケース/キーパッド/ディスプレイ、全ソフトウェア・コンポーネント、充電式バッテリ、チャージャ、パッケージ、取扱い説明書などが含まれます。

現在GSMチップとして市場最高の集積度を持つE-GOLDvoiceは、携帯電話ハンドセットの電子部品をわずか4平方cmの面積に組み込むことができます。その結果、イ ンフィニオンはGSMのチップサイズ縮小とコンポーネント数の削減でさらに業界をリードしています。インフィニオンは2005年に面積わずか9平方cmの第1世代プラットフォームを投入しており、こ れを使った低コスト携帯電話ハンドセットは2006年半ばに登場する予定です。

超低コスト電話機の予想市場規模
米市場調査会社ストラテジー・アナリティクスの最新調査報告(『Worldwide Cellular User Forecasts, 2005-2010』、2006年1月)によると、携 帯電話の加入者数は2006年末までに25億人、2010年末までには35億人に上ると予測されています。多くの携帯電話利用者は移動中に通話したいと考えており、カメラやゲーム、インターネット・ブラウザ、ビ デオ録画・再生といった高機能への関心が必ずしも高いとは限りません。そのため、シ ョートメッセージ機能と着信メロディや壁紙のダウンロード程度に機能を絞った安くて使いやすい携帯電話ハンドセットへの需要が高まっています。

ストラテジー・アナリティクス社では、卸売価格40米ドル以下の超低コスト携帯電話ハンドセットの販売台数が2010年までに世界中で1億5千万台を超えると予測しています。

E-GOLDvoiceとULC2リファレンス・プラットフォームの技術詳細
E-GOLDvoiceには携帯電話用のベースバンド・プロセッサ、無線周波数(RF)トランシーバ、RAMメモリ、パワーマネジメント・ユニットが含まれ、多 重和音による着信音、最新のモバイル無線ソフトウェア、AMR(Adaptive Multi Rate)、SAIC(Single Antenna Interference Cancellation)を サポートします。AMRは音声データ圧縮コーデックで、音声の録音・再生に利用されるほか、無線セルの使用状況に応じて音質を調整できます。SAICは通話音質の乱れを抑えると同時に、無 線セルの利用率を高めます。AMRとSAICを利用することで、ネットワーク事業者はネットワークの運用コストを最適化しながら、優れた通話音質を確保することができます。

インフィニオンの超低コスト携帯電話ハンドセット向けULC2リファレンス・プラットフォームは、GSM900/1800標準とGSM850/1900標準に準拠し、携 帯電話に必要な電子ハードウェアとソフトウェアのコンポーネントを完備しています。コンポーネントにはE-GOLDvoice、各種RFコンポーネント、フラッシュ・メモリ、オペレーティング・システム、ハ ードウェア・ドライバ、SMSや通話機能の使い勝手を高めるリファレンスMMI(Man-Machine Interface)を含むGSMプロトコル・スタックなどが含まれます。このプラットフォームは開発、生 産、サービス用の様々なツールを提供し、多数の欧米言語に加えてアラビア語、中国語、ヒンディー語にも対応しています。このツールの利点の1つは、生 産工程が完了して携帯電話がターゲットとなる市場に投入された後でも言語やフォント、アイコンの変更が行える点です。その結果、携帯電話会社はロジスティクス費用を軽減することができます。

ULC2プラットフォームはモノクロとカラーのディスプレイに対応し、インターネットから着信音や画像をダウンロードすることも可能です。電 源には充電式単4ニッケル水素電池など入手しやすい安価なバッテリを使用できます。一般的な携帯電話用電池を使った場合、着信待ち受け時間は10日間以上、通話時間は4時間以上に達します。

E-GOLDvoiceとULC2の提供開始時期
E-GOLDvoiceチップ189ピン鉛フリーパッケージのサンプル供給は2006年半ば、ULC2プラットフォームの提供は2006年末を予定しています。

インフィニオンのモバイル通信製品の詳細については、 www.infineon.com/ulc2をご参照ください。


インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。2005会計年度(9月決算)の売上高は67億6,000万ユーロ、2005年9月末の従業員数は約36,400名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト: http://www.infineon.com
日本サイト: http://www.infineon.com/jp

Information Number

INFCOM200601.031