インフィニオンが消費電力と実装面積を30%低減した局用ADSL2+チップセットを発表
ブロードバンドアクセス向け半導体ソリューションの先導サプライヤである独インフィニオンテクノロジーズは本日、業界最高の集積度と最低の消費電力を備えたADSL2+チップセット「GEMINAX PRO」を発表しました。このチップセットは、16チャネルADSL2+デジタルフロントエンド(DFE)と、低電力D級回線ドライバを内蔵した4チャネルアナログフロントエンド(AFE)とで構成され、現 在供給されている他のチップセットと比較して、消費電力、実装面積、システムの全体コストを最大30パーセント低減します。電力、面積、バッテリバックアップなどの厳しい制約があるリモートユニット(RU)で は特に、新しいチップセットの適用によって運用コストの大幅な削減がはかれます。また、北米のNEBS(Network Equipment Building System)規格など、消 費電力値が規格によって制限されている環境でも、通信事業者は局舎装置をより効率的に活用できます。
現在供給されているADSL2+回線ドライバは高い消費電力のため、1個のデバイスへの集積化を2チャネルに制限しています。D級アンプを採用したインフィニオンの革新的な回線ドライバ技術は、回 線ドライバの損失電力を50パーセント低減し、チャネルあたり350mW以下に抑えています。これによって、4つの回線ドライバおよびAFEを1個のデバイスに集積化することが可能となりました。市 場に供給されている通常のリニアデバイスと対照的に、D級デバイスはパルス幅変調(PWM)を使用して高効率のアナログ信号を発生します。これによって、出力段の消費電力が大幅に低減されます。音 響機器に広く使用されているD級アンプは、kHz領域の低い周波数レンジに制限されています。これに対してADSL2+は、動作帯域幅2.2MHzを必要とします。イ ンフィニオンが導入した幾多の革新技術によって、性能を犠牲にすることなく、この課題を克服することが可能となりました。
インフィニオンのクリスティアン・ヴォルフ(通信事業グループ・バイスプレジデント兼有線アクセス事業ユニット・ゼネラルマネージャ)は、「顧客企業の声を聞くことによって、さ らなるシステムコスト低減の鍵は、局舎装置1台あたりのポート増設であることを知りました。インフィニオンのGEMINAX PROは、D級技術を採用した業界初のADSL2+チップセットであり、2 つの制約要素である実装面積と消費電力を同時に克服するように設計されています。従来のソリューションは、その革新ポテンシャルをほとんど使い果たしています。新しいD級アプローチによって、消 費電力と集積密度を次のレベルへ推し進めることが可能となりました」と、述べました。
DSLフォーラムの最新のレポートによれば、ブロードバンドアクセス市場において、既存の銅線インフラを介したデジタル加入者線(DSL)は約65パーセントの圧倒的なシェアを占めています。そ の約1億回線のうち、ADSLおよびADSL2+システムは90パーセント以上にのぼります。ADSL2+は、ADSLに対して下方互換性を持っているので、次 世代DSLネットワークへの円滑な移行を可能としています。家庭に設置されている既存のADSL加入者宅内装置は、アップグレードされたADSL2+局舎(CO)システムへ、ADSLモードの適用により、シ ームレスに接続できます。
アイサプライの主席アナリスト、スティーブ・ラゴ氏は、「インフィニオンは、競争の激しいADSLインフラ市場で2004年中に市場シェアを6ポイント高め、同年末に14パーセントを占めました。G EMINAX PROの発表によってインフィニオンは、同じく競争の激しいことが予測される2005年に、その伸張を続けるのに良いポジションにあるといえるでしょう。この市場では、世界中のPTT( 電気通信主官庁)やILEC(既存地域電話会社)がビデオサービスの提供を約束し、従って、信頼できるADSL2+技術が必要とされています」と、述べました。
アイサプライは、2005年中に5000万のADSLチップセットが出荷され、その大多数はADSL+になると予測しています。2006年には需要は14パーセント増加し、世 界中のサービスプロバイダがADSL+技術へ向かうと予測しています。
GEMINAX PROチップセットについて
「GEMINAX PRO」チップセットは、「GEMINAX-D16 PRO」=16チャネルADSL2+デジタルフロントエンド(DFE)と、「GEMINAX-AL4 PRO」=低電力D級回線ドライバ内蔵4チャネルアナログフロントエンド(AFE)で構成されます。「GEMINAX PRO」搭載システムは、1 6本のフルレートADSL2+チャネルを提供するのにデバイスを5個しか必要としません。ラインカードは、寸法が標準化され、システムの過熱や完全な故障を防止するために電力も制限がされています。従って、チ ャネル容量を増加させるには、通常はラインカードの追加と投資が必要となります。「GEMINAX PRO」による消費電力の低減、チップ数の減少、チャネルあたり僅か500平方mmの実装面積によって、ラ インカードおよびシェルフあたりのチャネル容量が大幅に増加します。
「GEMINAX PRO」チップセットは、局舎のDSLAM(DSLアクセス多重装置)、DLC(デジタルループキャリア)、MSAP(マルチサービスアクセスプラットフォーム)な どの高密度システム用に設計されています。このチップセットはADSL full-rate(G.992.1)、ADSL-lite(G.992.2)、ADSL2(G.992.3)、 ADSL2-lite( G.992.4)、ADSL2+(G.992.5)の各標準をサポートします。このチップセットは、広く採用されているADSL2+チップセット「GEMINAX MAX」とソフトウェア互換性があります。
「GEMINAX-D16 PRO」は PG-LBGA-484パッケージ(23×23mm)、「GEMINAX-AL4 PRO」はPG-BGA-192パッケージ(13×17mm)に 収納されています。サンプル供給は5月、量産は2005年の第3四半期に開始する予定です。「GEMINAX PRO」チップセットのサンプルの参考価格は、1チャネルあたり6.00米ドルです。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の子会社を拠点として活動しています。2004会計年度(9月決算)の売上高は71億9,000万ユーロ、2004年9月末の従業員数は約35,600名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト:http://www.infineon.com
日本サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFCOM200503.045
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GEMINAX PRO is the industry`s highest-integration and lowest-power ADSL2+ chipset.Press Photo
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Consisting of a 16-channel ADSL2+ Digital Front End (DFE) and a 4-channel Analog Front End (AFE), with integrated low-power Class D line drivers, the GEMINAX PRO chipset reduces power dissipation, footprint and overall system costs by up to 30 percent, in comparison to other chipsets currently available.Press Photo
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GEMINAX PRO is the industry`s highest-integration and lowest-power ADSL2+ chipset.Press Photo
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