充電インフラ

充電インフラ

シームレスな充電インフラを普及させる

バッテリー駆動の電動車両は、eバイクから大型トラックまで、持続可能なモビリティの原動力となっています。しかし、エレクトロ モビリティの機会を活かして脱炭素社会に貢献するためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。電気を再生可能な資源から供給し、自動車を手頃な価格で提供すること、包括的なネットワークで充電ポイントが利用可能であること、充電時間が可能な限り短いことも重要な条件です。パワー エレクトロニクスのマーケットリーダーであるインフィニオンは、ユビキタスでエネルギー効率の高い充電インフラの実現に貢献しています。

充電ネットワークの拡充

重要な充電インフラの拡充を推進

今後数年間はエネルギー効率に優れた高速充電インフラのネットワークを幅広く拡充することが、交通機関の電動化を達成する大きな原動力となります。地方政府では利用者にシームレスな体験とグリーン モビリティを提供するために、相互運用可能な決済ソリューションを備えた公共充電インフラを定義し、設置することを目指しています。充電ポイントだけでなく、自動車自体も可能な限りエネルギー効率よく走行し、充電できる必要があります。充電ステーションの種類は、自宅、職場、外出先などユーザーが充電する場所や時間によって異なります。SiCベースのデバイスをはじめとするインフィニオンの製品とソリューションは、急速充電の鍵を握っています。インフィニオンの提供する完全なワンストップショップ ソリューションと個別サービスは、電力変換、マイクロコントローラー、セキュリティ、補助電源、通信に至るまで、さまざまな製品範囲を網羅しています。

オンボードとオフボードの充電

さまざまな充電タイプ: 違いを知る

電気自動車の充電では、直流 (DC) と交流 (AC) のどちらかを選択できます。ただし電気自動車の駆動系は直流なので、交流に変換する必要があります。直流に変換する場所によって、オンボードとオフボードの2つの充電モードがあり、どちらもスピード (直流充電) とコスト (交流充電) の面でメリットがあります。

オンボードの場合は、コンセントや充電ステーションを通じて交流を車内に給電し、車載充電器で直流に変換してバッテリーを充電します。オフボードの場合は、内部で交流電力を直流電力に変換し、車両に供給してバッテリーを直接充電します。

インフィニオン半導体はオンボードとオフボードの両方の充電設計を可能にします。ディスクリート型またはモジュール型、あるいは従来のシリコンベース (Si) または最先端のSiCトポロジーなど、お客様は業界をリードするパワー半導体サプライヤーの幅広いポートフォリオから選択し、EV充電インフラ普及を推進することができます。

インフィニオンの半導体はEV充電インフラにおいて、自動車の未来を見据えた重要な役割を果たしています。高電力定格により、超高速充電をサポートし、バッテリー システムの効率的な充電とモニタリングのためのバッテリー管理ソリューションを開発しました。充電ステーションでは、グリッドからの電力をバッテリーに貯蔵するために変換しており、半導体が高効率で、送電網から可能な限り多くのエネルギーが自動車に届き、ドライバーが利用できるようにしています。さらに、新世代の半導体では、従来よりも大幅に高速な充電が可能になっています。

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充電場所

家庭で充電

家庭で充電する場合は、ガレージか家の外のどこかに充電ステーション (ウォールボックス) を設置するのが一般的です。充電ケーブルをつなげば一晩で充電が完了します。最近のトレンドは太陽光発電です。屋根の太陽光発電を利用して電気自動車を充電する家庭が増えつつあります。そこでは太陽光発電システム、充電ステーション、エネルギー マネージメント システムが使用されています。蓄電装置を追加すると日中の明るい時間帯以外でも充電できるようになります。

職場で充電

職場で用意されている充電インフラで充電するという選択肢もあります。車のユーザーは、自分の充電ケーブルさえあれば充電可能です。

外出先での公共充電

長時間の出張や移動の際には、高速道路などで公共の充電インフラを利用する必要があります。この場合、充電速度が非常に重要になります。現在、一般的な電気自動車は10分以内にバッテリー容量の約80%を充電することができます。内燃機関を搭載した従来の自動車を給油するのに必要な時間とあまり変わりません。

eバイクは快適性やスポーツ性を追求するタイプがありますが、いずれも人気が高まっています。eバイク人気が突然終わってしまうことはないでしょう。

双方向充電

真のゲーム チェンジャー: 双方向充電

電気自動車に双方向充電を導入すると、電気自動車が補助的な電力貯蔵システムとして余剰電力を蓄え、必要なときに利用できるようになります。このように、電気自動車のバッテリーを他の機器のエネルギー供給源として利用することができるのです。双方向充電は、バッテリーの充電と放電の両方を可能にします。それはスマートDC充電の重要かつ革新的な側面です。太陽光発電を利用した住宅用ソリューションは、ドライバーの自立性を高め、スマート グリッドの安定化に貢献します。電力は双方向に流すことができるため、さまざまな応用例が考えられます。たとえば、電力不足の解消や個人宅の予備電源としても役立ちます。将来的にはVehicle-to-Grid (V2G) オプションで電力会社に余剰電力を売電することも可能になるでしょう。つまり、この電気自動車向け充電技術は、使用しなかったエネルギーを電力網に戻す役割を果たすことができるのです。大きな視点で見ると、自動車のバッテリーは巨大なパワー バンクとして機能します。

効率的な急速充電のためのエコシステム.

EV充電ステーション: 30kWから150kWまでの充電器

350kWまでの高出力直流充電器は高速道路での急速充電に適していますが、150kWまでの充電器は都市部での日常的な使用に適しており、家庭用と高速道路用の間のニーズに応えることができます。

30kwから150kwまでの充電器について詳しくはこちら

EV充電ステーション: 50kWから350kWまでの充電器

350kWまでの高出力直流充電システムを使えば、約7分間、つまりコーヒーを1杯飲む間に200km分の充電をすることが可能です。このように効率的な急速充電器を実現する技術は、ドライバーの「航続距離不安」を解消するのに役立ちます。

50kwから350kwまでの充電器について詳しくはこちら

軽自動車の充電

バッテリー モジュールとは、すべての軽電気自動車に搭載されているサブ システムであり、最高トルクと航続距離の面で車両の性能を左右します。高効率のバッテリー マネージメント システムは、ドレイン ソースオン抵抗が最も低いOptiMOS™とStrong IRFET™ MOSFETを利用し、最大の短絡電流能力と最小の連続動作伝導損失を実現します。

バッテリー 充電器について詳しく見る

(H)EV ハイブリッド/電気自動車用車載充電器

オンボード チャージャー (OBC) とは、自動車に内蔵され、駐車中に交流系統から高電圧バッテリーを充電するシステムです。プラグイン ハイブリッド車 (PHEV) やバッテリー電気自動車 (BEV) は、バッテリーの大容量化や電装品のエネルギー効率化により、航続距離の延長を実現しています。

オンボード バッテリー充電器について詳しくはこちら

DCウォールボックス

DCウォールボックス技術は、充電インフラの重要な要素であり、スマートな急速充電を可能にします。

DCウォールボックスについて詳しくはこちら

充電方法

充電ソリューション

インフィニオンはCharIN initiative (Charging Interface Initiative e.V.)のメンバーです。この世界的なイニシアチブは、あらゆる種類のバッテリー駆動電気自動車のための世界的な充電インフラ規格を開発、確立、推進することを目的としています。

各種EV用半導体

あらゆるタイプの電気自動車に適した半導体

インフィニオンの半導体ソリューションは、純粋な電気自動車、プラグイン ハイブリッド車、48ボルト技術のマイルド ハイブリッド車など、あらゆるタイプの電気自動車に適しています。さらに、インフィニオンのコンポーネントは、新興の水素技術をベースとする自動車にも対応しています。

統合されたインフィニオンのコンポーネントは、オンボード充電器、DC-DCコンバーター、バッテリー管理ユニット、ドライブトレイン コントローラー、電気ブレーキ システム、パワー ステアリング、エアコン、熱管理、リアライト制御、ワイパー、ウィンドウ リフトなど、電気自動車に代表されるコントローラーやシステムの中核となる構成要素です。これらのコンポーネントは以下の製品ファミリーが該当します。

HybridPACK™ Drive IGBTパワーモジュール、AURIX™マイクロコントローラー、EiceDRIVER™ドライバーIC、センサー、マイクロコントローラー、パワー半導体、Wi-Fi®/Bluetooth®コネクティビティ ソリューション

各製品ファミリーのポートフォリオについてさらに詳しく知る

 

半導体ストーリー

買い物中に超急速充電

多くのスーパーマーケット、DIY店、家具店に充電施設が整備されたため、電気自動車を充電しながら買い物をすることができるようになりました。

店舗やショッピングセンターのオーナーにとって、急速充電器の設置は、ケーブル敷設や基礎工事などの大掛かりな工事を伴います。

南チロルのメーカー、alpitronic社は、工事費を大幅に削減できる電気自動車充電ソリューションを開発しました。新しいハイパーチャージャー「HYC50」は初の壁面設置型システムです。50dBA以下の超低騒音を実現しています。そのため、ハイパーチャージャーは住宅地やその周辺でも使用することができます。

ハイパーチャージャーには2つの急速充電ポートがあり、50kWで1台、または25kWで2台同時の充電が可能です。この機器はSiCパワーモジュールMOSFET 1Bおよび2Bと、インフィニオンのEiceDRIVER X3をベースに構成されています。

 

事実と数字

電気自動車用双方向性50kW (25kW×2) 直流充電ステーション

HYC50は、この電力レンジでは初めての壁面設置型DC充電器です。インフィニオンのCoolSiC™テクノロジーを採用することで、電力密度は50%向上し、ノイズレベルは65dBから50dB未満に低減しています。重量100kg未満のコンパクトな設計により、駐車場やスーパーマーケットの壁面に設置することができ、基礎部分を補強するなどの大きな追加工事は不要です。

インフィニオンの統合製品

  • EasyPACK 1Bと2B CoolSiC™ モジュール、NTC温度センサー付き
  • EiceDRIVER™ X3ドライバーIC

HYC50の技術データ

  • 50kWで1台の充電、25kWで2台の並列充電が可能
  • 連続150A充電電流
  • 出力電圧50V~1000V
  • クラス最高の効率97% (*)
  • 屋内、屋外設置
  • 重量 < 100 kg (*)
  • 超低騒音レベル<50dBA (*)
  • V2G対応 (**)

(*)検証中の暫定データ

(**) V2Gとは、"Vehicle-to-Grid"の略。電気自動車のバッテリーからエネルギー系統に電力を戻すことを可能にする技術。

急速充電について詳しくはこちら

太陽光発電の蓄電設備として機能する電気自動車: インフィニオンとDelta社が家庭での双方向性充電を実現

環境とお財布に優しい双方向性充電

電動モビリティが脱炭素化にできるだけ大きく貢献できるようにするためには、全体論的な考え方が必要です。そのためには環境に配慮した発電、送電から、効率的な消費、インテリジェントな蓄電まで、エネルギー サプライ チェーン全体を整備しなければなりません。特に蓄電システムは、変動する再生可能エネルギーの供給力を補い、電力網を安定させるための重要な構成要素です。

さらに、大きな違いをもたらす革新的な技術の1つが、双方向充電です。これは次のような仕組みです。たとえば、自宅の所有者は太陽光発電システムの電力をまず電気自動車や家庭用バッテリーに蓄え、夕方の時間帯や太陽が照っていない時に電力が必要な家電製品に電力を供給し、余剰電力を家庭用送電網に戻すことができるのです。一戸建て住宅の1日の平均消費電力が10〜15kWhと仮定すると、30〜100kWhの容量を持つフル充電のカー バッテリーは、理論上、数日間バックアップ電源として利用可能です。このように、自宅で電気を安く手に入れられるだけでなく、電源の独立性も高めることができます。

3 in 1システムで双方向性の充電が可能

インフィニオンの双方向充電用ソリューションにより、電気自動車ユーザーは自宅の太陽光発電を使用して低コストで充電し、同時に自動車を予備の蓄電システムとして使用することが可能になります。これを可能にするため、インフィニオンは、台湾を拠点とする電源およびエネルギー管理ソリューションの大手プロバイダーであるDelta Electronics社と共同で、3 in 1システムを開発しました。このシステムは、太陽光発電装置、家庭用蓄電池、充電ステーションを統合したものです。双方向性インバーターのおかげで、自動車は予備の蓄電池や家庭用バックアップ電源にもなるのです。今後、双方向性充電はVehicle-to-Home (V2H) 、Vehicle-to-Grid (V2G) ソリューションを実現すると考えられます。

複合材料SiCで電力変換時のロスを約半分に削減

Delta社の新システムは約10kWの出力で、最大連続電流34Aを可能にし、97.5%以上のピーク効率を実現します。電力密度を高めるために、エネルギー効率の高いインフィニオンのシリコン カーバイド (SiC) パワー半導体部品が使用されています。化合物材料であるSiCは、シリコン系半導体と比較して、電力変換時のエネルギー損失を約半分に抑え、充電ステーションを約30%小型化することができます。また、太陽光発電システムの効率を高め、急速充電器やウォールボックスでの充電時間を短縮し、電気自動車の航続距離を5~10%伸ばすこともできます。