スマートシティでの生活

都市化によって、ますます多くの人々が、都市でのより良い生活を求めるようになります。人々は、近代的な都市の良好なインフラ、さまざまな文化的魅力、職業のメリットを求めて、村や町を離れます。しかし、どんどん増加する人々は、どうすれば、限られた空間で、豊かな生活を送ることができるのでしょうか。

その1つの答えは、スマートシティです。目的は、都市をより効率的で、先端技術を使った、環境にやさしいものにする一方で、社会から誰も取り残されないようにすることです。では、将来の都市は、どのようなものであるべきでしょうか。

スマートシティでのモビリティ

人々は、職場や学校や病院に行かなければなりません。また、田舎へ逃避したくなるときもあります。したがって、モビリティは、将来の都市の重要な要素です。理想的なスマートシティでのモビリティは、省エネルギー、高速、効率的、低排出、低価格です。だからこそ、進歩的な都市は、エレクトロモビリティに重点を置いているのです。しかし、電気自動車は、まだ高価であり、現時点では誰でも買えるものではありません。フォルクスワーゲンの取締役会長であるハーバート ディエス氏は、可処分所得の低い人々がモビリティの現代的形態から取り残されないようにするため、非常に小さな電気自動車に対して政府の補助金を出すことを提案しています。しかし、現代の要求に適合しなければならないのは、自動車だけではありません。スマートシティのインフラも、インテリジェントになり、道路の混雑、事故、交通の混乱、電車の遅延を通勤する人にお知らせし、代わりの交通手段を選択できるようにします。

切符(紙)のかわりにスマートフォンとスマートカード

混雑した自動販売機で待たなくても、住民はスマートフォンのアプリを使って、あるいは追加入金可能なスマートカードを使って、バスや電車の切符を買うことができます。これにより、紙や事務作業をなくすことができますが、多数の人々が自動改札を通過したり、バスに迅速に乗車できるようにするためには、信頼性が高く、簡単に使えるものでなければなりません。そうすると、特別な課題が発生します。電子発券システムは、乗客データを非接触、高速、高信頼性で処理できなければなりません。セキュリティチップおよびセキュリティテクノロジーは、データを数ミリ秒で送信できるので、バーチャルチケットをカードやスマートフォンに移すのに役立ちます。

顧客のメリットを拡大するために、一部の都市や銀行では、複数のアプリケーションを1つのソリューションにまとめています。すなわち、カード1枚で、コーヒーの代金を払ったり、切符を買ったり、レンタカーを借りたり、社会福祉サービスを利用したりできるのです。これにより、財布のスペースや支払カウンターでの時間を節約できます。

自転車、自動車、商用車を電気で駆動

エレクトロモビリティに関して、オスロ(ノルウェー)は、すでに欧州でのモデル都市であり、先駆者でもあります。今では、登録された新車の40%が電気自動車です。それは、驚くことではありません。電気自動車を買うと、大幅な減税があるからです。たとえば、自動車税や付加価値税を払わなくてもよいのです。また、購入者は、ノルウェーで内燃機関を使った車両に課税される税金を免除されます。電気自動車が増加すれば、充電する場所が多数必要になります。したがって、オスロでは、充電ステーションの数が毎年25%増加しています。全面的なエレクトロモビリティ推進の姿勢が明確に示されています。ノルウェーは、2025年までに、ゼロエミッション車だけが走行できるようにすることを目指しています。

しかし、エレクトロモビリティは、電気駆動の乗用車だけにとどまりません。バス、トラック、ショベルカー、貨物バンなどの商用車は、交通によるCO2排出の25%、すなわち温室効果ガス排出全体の5%を占めています。これらの商用車を電動モータに転換されると、人々と環境の保護に著しく貢献することになるでしょう。特別な課題は、バッテリ技術の分野にあります。商用車のバッテリは、多くの場合、乗用車のバッテリよりも大型で強力でなければなりません。さらに、建設現場や農業で使用する車両用としては、バッテリおよびパワートレイン全体の部品は、より堅牢でなければなりません。インフィニオンは、振動や機械的ストレスに耐える電動パワートレイン向けの堅牢なパワー半導体を開発し、商用車での利用にカスタマイズしています。これに加えて、インフィニオンは、新しい半導体材料をベースにした製品を開発し、エネルギー効率を改善しています。

商用車のバッテリは、夜のうちに完全に充電され、全作業時間にわたって十分な電力を供給できれば理想的です。日中に再充電が必要になる場合には、バスやバンを長時間止めなくてもすむように、迅速に充電する必要があります。車両や充電インフラは、それを実現できるものでなければなりません。インフィニオンは、その充電インフラに適した半導体ソリューションも開発しています。

自動運転車で時間とエネルギーを節約

職場で1日の仕事を終えた後、車で買い物に行くために時間とエネルギーを使うのは、本当に効率的ですか。いいえ。将来は、仕事と楽しみを結びつけるようになります。仕事に向かう途中で食品をオンライン注文し、夕方に配達してもらうことが、まったく普通になっているでしょう。配達サービス業者は、その車両の道順ができるだけ効率的になるように計画します。それぞれの車両が地域全体に配達するので、個人がスーパーマーケットまで行く必要がなくなります。これにより、時間および道路上の交通量を削減できます。

自動運転も、仕事に向かう途中での注文を可能にします。オンライン注文に注意を集中できるのは、通勤者がバスや電車に乗っているときだけではありません。自動車を運転する人もそれが可能になります。最初は、ロボタクシーが自動移動の主要な手段になるでしょう。現在のカーシェアリングサービスと同じように、ロボットカーを予約して乗車し、目的地で下車します。自動運転車は、利便性を向上し時間を節約するだけでなく、燃料消費を低減し、渋滞や大気汚染を減少させます。その理由は、車両相互間および車両とインフラの間が接続されて、効率的かつ臨機応変に対応する方法を知ることができるからです。渋滞した道路を効率的に避けて、直接、次の乗客のいる場所まで、あるいは、あなたがその車の所有者であれば、駐車場の空きスペースまで走行します。

もう一つの重要な要因は、安全です。自動運転車は、危険な状況において人間よりも迅速に反応できます。広い範囲にわたるさまざまなセンサー間の相互作用によって、自律運転が可能になります。超音波センサーは、自動的に駐車するときに障害物を認識し、レーダーセンサーは、物体を検知して車両に対する速度を計測します。さらに、カメラのイメージセンサーは、視覚データを提供します。すべてのセンサーからの情報を組み合わせると、周辺環境の完全なイメージが作成されます。そして、これが自律運転のベースになっています。

IoTシティ

モノのインターネット (IoT)は、関連ある スマートホームとともに、将来の都市で私たちが生活する上で、重要な役割を果たします。広い範囲にわたるさまざまなデバイス、車両、インフラは、センサーを備えていて、相互接続されるでしょう。発生したデータは、クラウド経由で記録、保存され、許可された人およびシステムが利用できます。このデータの接続性と可用性は、スマートシティの根幹となるものです。人々は、スマートフォンや情報タッチスクリーンなどの機器を使って公共データを取得し、IoTテクノロジーを活用します。

スマート街路灯が日常生活および緊急時のサポート

街路灯は、スマートシティで利用できる、効率が良く、汎用性が高い重要な事例です。歩道、自転車道、一般道路の照明は、はるかに効率的かつ低消費電力になります。街路灯が、センサーによって気象条件を検出し、その照明強度を調節するからです。霧や強い雨のときは、光がより強くなります。自動車、自転車、人が近くにいないときは、光量が低下します。スマート街路灯は、住民にWi-Fiを提供し、大気汚染状況を計測します。計測結果と環境データは、クラウドに報告され、スマートシティ全体の大気状況の詳細イメージが得られます。基準値を超えると、担当機関に通知され、たとえば、ある地域で速度制限したり、個別の道路を通行止めにしたりするなどの対策を実施できます。また、主要地点では交通量を計測し、交通管制センターに送信することもできます。これにより、たとえば、渋滞回避のための対策をとることができます。その他に考えられる用途は、事故その他の緊急事態発生時に、通行人が助けを呼ぶために使用できる警報ボタンです。街路灯は、完全自動運転ではない車の運転者に対して、そのスマートフォンに、駐車場を探す手がかりを知らせたり、駐車場の空きスペースや充電ステーションの位置を表示したりすることもできます。街路灯自体も、充電ステーションとして利用できます。

IoTシティを不正操作から保護

デジタル化およびインターネットを通じた接続において、セキュリティは重要な要素の1つです。攻撃者は、たとえば電力系統を崩壊することができます。DoS(Denial of Service)攻撃も、潜在的な脅威です。特定の対象へのリクエストを殺到させることにより、データネットワークが過負荷になります。その結果として、必要なインターネットサービスが利用できなくなってしまいます。適切なセキュリティソリューションを組み込むことにより、モノのインターネット(IoT)経由で接続されたデバイスや、車両、工場を、データ盗難、その他の不正操作から保護しなければなりません。

ソフトウェアだけでは十分ではありません。ソフトウェアは、書き換えられ、不正操作されるかもしれません。バーチャル化が進む世界では、セキュリティチップ、すなわち1個のハードウェアが、デジタルデータの金庫のような役目を果たします。デバイスIDや暗号キーをその中に保管して、保護することができます。ネットワークからのアクセスは制限されており、チップ自体への攻撃は、非常に多大な技術的労力を必要とし、めったに成功しません。この原理は、ICチップ搭載の銀行カードや電子パスポートでよく知られているもので、今では、新しいコネクテッドデバイスとなった自動車、ネットに接続された製造機械、さらにはデジタルドアロックにも適用されつつあります。

スマートシティでのセキュリティ

あらゆるスマートシティの概念の中で最も重要な側面は、セキュリティです。これは、すべての市民が持っている最も重要な文書の1つ、すなわち、身分証明書にもあてはまります。

電子IDカードおよびパスポート

今日のIDは、厳しい要件を満たしていなければなりません。証明書は、出入国審査や通関を迅速化するため、機械読み取りできなければなりません。それと同時に(たとえば電子パスポートについては)、個人情報、生体データ、取得済みビザを保護できるようにするために、ICAO(国際民間航空機関)などの団体、組織が制定した規格に適合していなければなりません。これにより、必要なレベルのセキュリティと利便性を確保できます。

身分証明書の1つの課題は、地域ごとに違いがあり、場合によっては、その差が非常に大きいことです。いくつかの国では、身分証明書の一部を保険データの保管に使っていたり、選挙権の証明に利用していたりします。したがって、将来の生体身分証明書は、さらに厳格化したセキュリティ要件を満たすだけでなく、デジタルサービスと連携できるように設計しなければなりません。インフィニオンは、半導体チップとソフトウェアで構成されたセキュリティソリューションによって、このような課題に対処し、身分証明書のセキュリティ、機能、長いサービス寿命を理想的に調和させる方法を提供します。

スマートシティでは市民が非接触型決済

カフェ、週末の買い物、あるいは運賃の支払いでも: 非接触型決済が急速に増加しています。外出中にNFCを使って迅速かつ手軽に決済することは、特に若い世代に広まっています。ドイツの16~29歳の77%は、一瞬で決済できることが実用的だと考えています。このテクノロジーに対する興味は、高い年齢のグループでは徐々に低下しますが、それでも60歳を超える人々の45%が、現代的な決済手段に興味を持っています。これは、アレンスバッハ世論調査研究所(IfD)が2018年にドイツで実施した、giroカード所有者に対する調査で明らかになりました。

しかし、取引は、迅速かつ容易であるだけでなく、十分にセキュアでなければなりません。だからこそ、インフィニオンは、さまざまな側面を統合するソリューションを提供しているのです。全面的に非接触インフラを採用している国は、ほとんどありません。 したがって、カードは、カードリーダーにも挿入できなければなりません。非接触および接触ベースのテクノロジー(すなわちデュアルインターフェイス)を実現する半導体チップが、新旧のテクノロジーのギャップの橋渡しをします。しかし、インフィニオンは、データ転送の柔軟性を提供するだけではありません。インフィニオンは、国際的に認められたベンダーに依存しない規格に関与しています。クレジットカード、携帯電話やNFCリングでの決済サービスは、欧州だけでなく、アジアやアフリカでも利用できるべきものです

消費者は、今でも個人識別にPINを使っています。しかし、生体認証を使えばもっと簡単になります。最新のスマートカードは、指紋による識別が可能です。インフィニオンのToF(time-of-flight)ソリューションは、スマートフォンで決済する際に、顔認証による利用者認証を実現します。

スマートシティ:環境にやさしくて省エネルギー

将来の都市は、多くのエネルギーを必要とします。1つの都市で1,000万人を超える市民に対して、十分な電源を確保しなければなりません。これは、再生可能資源で実現可能です。自動車、地域の公共交通機関、街路灯、建築技術、ITインフラ、5Gモバイル通信、大規模産業工場。現代のインフラは、スマートなエネルギー配送および消費だけに注力するべきではありません。エネルギーも、できるだけインテリジェントに、そして再生可能資源から生成するべきです。

効率的かつ消費者の近くで – 太陽熱システムおよび垂直農法

気候変動と有限な資源を考えると、持続可能性が不可欠です。現在の世代は、そのニーズを満たすにあたって、将来の世代が同じ生活をする可能性を損なってはなりません。また、商品は、できるだけ消費者の近くで生産されるべきです。たとえば、都市に近い野菜畑のそばの屋外マーケットは、地域によって米や芋など、住民が新鮮な食品を手に入れるのに役立つでしょう。その一方で、都心部の建物の垂直農場は、成長の早い高品質な作物、たとえば、もやしなどに適しています。すぐ近所にある都市型屋上庭園は、小規模であっても、消費者の個別の食品ニーズへの対応に役立ちます。State-of-the-art LED technology helps vegetables grow. 雨の日や夜でもLEDの光があるので、トマトやサラダ菜がより早く成長します。太陽熱システム、太陽光発電、地熱暖房は、資源を保護できる方法によって地元でエネルギーを得るためのアプローチです。

 

トロント、サンタンデール、シンガポール:スマートシティに関する先駆者?

グーグルの持株会社であるアルファベットは、すでに、将来に向かって第1歩を踏み出しました。アルファベットの都市建設子会社、サイドウォークラボ(Sidewalk Lab)は、トロントのウォーターフロントに12エーカー(約4.9ヘクタール)の土地を取得しました。そこでは、同社版のスマートシティの実現を目指しています。革新的な建設技術とエネルギーシステム、さらに、住民の自家用車の代わりに自動運転車が計画されています。

スペインの海沿いの都市、サンタンデールは、2010年以来、スマートシティの概念を多数利用してきました。たとえば、ゴミ容器にはセンサーが付いていて、満杯になるまでは、中身を回収しないようになっています。そうすることで、その市営サービスの事業費を大幅に削減しました。公園のスプリンクラーは、日照りが続く期間だけ動作します。タクシーにもセンサーが装備されています。これにより、タクシーを利用しようとする人は、近くにいる空車の数や位置を前もって知ることができます。

モスクワは、シンガポールをお手本として、2030年までにスマートシティになることを目指しています。このロシアの首都は、たとえば5Gやブロックチェーンなどの最新テクノロジーを利用して、市民にとってより魅力的な都市になろうとしています。担当官庁は、数年前にその基盤を構築しました。たとえば、地下鉄のフリーWi‑Fi 、バスや電車の中および停留所でのスマートフォンの充電ステーションは、今では一般的になっています。

「小型版」としてのスマートホーム

スマートホームは、小さな都市に不可欠な要素です。そこでは、小規模なスマート電力消費が家電製品の形をとって始まっています。センサー、マイクロコントローラ、パワー半導体の組み合わせにより、冷蔵庫などの家電製品は、省エネルギーになっています。たとえば、冷蔵庫の消費電力は、可変速コンプレッサーを使って最大40%低減することができます。家電製品やエアコンから始まったこのような試みは、さらに街路灯、モビリティ、および都市全体のインフラにまで展開することができます。そして、都市をエネルギー効率の良いスマートな都市に変えていきます。

さらにトピック

NFC

NFC(近距離無線通信)は、近距離用の無線通信テクノロジーであり、デジタルおよびモバイルを利用するライフスタイルにおける多くの要件に適合しています。このテクノロジーは、スマートフォン、スマートカード、ウェアラブル機器による非接触型決済の実現に大きな役割を果たしています。小さなICチップを組み込むことにより、情報交換が容易になり、さらに迅速でセキュアな金銭取引を実現します。インフィニオンは、NFCが、拡大する個人のモビリティニーズを満たす重要なテクノロジーだと考えています。