5G – 未来の高速モバイルネットワーク

モバイルネットワークの次の開発ステージは、5Gです。この新しい技術により、データ容量の大幅な向上と、きわめて速い応答時間を実現します。すべてがつながる社会で、まったく新しいアプリケーションの可能性が開けてきます。

超高速の5Gモバイル無線規格が、つながるギガビット社会の基盤を形成します。とくに、データ交換については、要求の厳しいアプリケーションが活性化するでしょう。スマートシティでは、5Gによって、たとえば、渋滞や事故の警告、駐車場の空き情報などを運転者に提供できます。車両は、他の車両と、またはインフラとの間で通信できます。高速で信頼性の高いデータ通信が、高度な自動運転における運転者の機能を果たします。車の新機能のためのソフトウェア更新も、モバイル無線インターフェイスを使って数秒で実施できます。

その他の重要な5Gアプリケーション例として、インダストリー4.0があります。インダストリー4.0では、ネットワーク化された価値創造とサプライチェーン、生産システムや相互に連携するロボットの広範囲なセンサー監視などにおいて、効率的な通信が重要視されています。

超高速モバイル通信のおかげで、将来のメディア利用は、より個人的で、フレキシブルで、汎用性の高いものになるでしょう。たとえば、コンサートやサッカーの試合で、何千人もが同時にモバイルインターネットにアクセスするような場合を考えてみましょう。スマートフォンを使って、リアルタイムの対話形式で、さまざまな視点から4K/8Kの超高画質のイベントを見ることができます。5Gでは、データ容量はLTEの100倍大きくなり、通信速度は、1000倍高速になります。待ち時間がほとんど知覚できない程度になるため、携帯電話の標準規格は、きわめて高速なネットワーク応答を実現し、処理に要する電力も少なくなります。この優れた性能は、四つの革新によって生まれたものです。

5Gとは?

5Gとは?

5Gはモバイル通信の「第5世代」となる規格です。次世代となる5Gは、現在のLTE(4G)を継承するものです。それ以前の規格は、UMTS(3G)とGSM(2G)でした。5Gは毎秒最大10Gbpsという、より大きな帯域幅と超低レイテンシを可能にします。これにより、より高速な伝送レートを実現し、今後さらにネットワーク化される社会の通信ニーズを満たすことができるようになります。また5Gでは、データ伝送の消費電力を大幅に抑えることが可能になります。従来の規格と比較した場合、1ビットあたりの伝送消費電力は、わずか1,000分の1になります。

概要:5Gによるスマートなネット接続

グリーン:基地局(マクロセル、Massive MIMO)< 6GH
ピンク:スモールセル(ビームフォーミング) > 6GHz

100倍の高速化

5Gの実用化により、デバイスでリアルタイムのデータ送受信が可能になります。Industry 4.0にとって不可欠な要素となるだけでなく、日々使用するアプリに魅力的なユーザーエクスペリエンスをもたらします。

1,000倍のデータ大容量化

5Gは大勢のユーザーが同時に、高速かつ安定的に送受信することを可能にします。特に大きなイベントでは利点となります。

2020年までにコネクテッドデバイスの数は500億へ

5Gはスマートホームへの道を切り開くものです。冷蔵庫はインターネットと接続され、無線LANルーターやテレビをリモートで操作することができるようになります。

安定的なネットワーク

5Gは安定的な接続を可能にします。時速600キロで移動する電車内でも、他のモバイル機器が使用している無線領域内でも、安定的な接続ができるようになります。

スマートな接続

5Gを活用するスマートシティでは、信号を目的のデバイスに向けて直接発信します。

高いセキュリティ基準

5Gでは、より多くのデータがより多くのデバイスに伝送されます。そのため、すべてのデバイスとデータに不正アクセスを防止する対策を施す必要があります。

消費電力の低減

5Gは消費電力を抑えます。送信側は受信側を検知すると、オンデマンドで信号を発信します。通信を終えると、瞬時に接続を遮断します。

低レイテンシ

5Gはリアルタイムの通信を可能にします。1ミリ秒という応答速度は、コネクテッドカー、Industry 4.0、遠隔医療にとって不可欠な要素となります。
5Gがもたらす恩恵とは?

5Gがもたらす恩恵とは?

モバイル通信規格5Gは、最大10Gbpsという伝送レートにより、従来のLTEより約100倍速いデータ通信を可能にします。4K解像度のビデオ再生も、あっという間に開始し、DVD1枚分のコンテンツをダウンロードする際にも、5秒もかかりません。テレビ会議などでよく見られる遅延は過去のものとなります。これにより、インターネット上で医師が手術を行うといった遠隔医療アプリの実現も夢ではありません。また新規格である5Gは、より大きな帯域幅を持つため、大勢のユーザーに対して同時に、より高速で、より高品質なコンテンツを提供することが可能になるだけでなく、より安定した信頼性の高い通信もできるようになります。

概説:5Gの働きとは

ミリ波

今までスマートフォンやその他の電子機器は、3kHzから3GHzの非常に狭い周波数範囲を利用してきました。しかし、急速に増加するモバイル機器、つながる機器やモノも、この周波数範囲を利用します。その結果、データ通信速度低下、接続不良発生率増加などが必ず発生します。その解決策は、6GHz未満の周波数範囲を利用することです。しかし、とくに30~300GHzあたりの周波数のミリ波領域は、モバイル機器のデータ通信にはまだ使われていません。この領域であれば、モノのインターネットのために十分な帯域幅を確保できます。しかし、ミリ波には欠点があります。石造りの家の壁を通り抜けられないこと、樹木や強い雨に吸収される場合があることです。

スモールセルネットワーク

ミリ波領域でのデータ通信不感地点をなくすため、加入者に近接した場所に小規模な無線局を多数設置します。これでスモールセルネットワークを構築し、既存の携帯電話ネットワークを拡張します。この方法によるネットワーク拡張であれば、低い送信出力レベルであっても、利用者の近くに無線局を配置できます。無線局の間隔が小さいので、携帯電話やIoT機器は、必ず近くの無線局と良好な接続を得ることができます。インフィニオンは、その実現に必要な最大周波数領域の製品を提供しています。現在の市販品では最大40GHzが主流ですが、MMIC(モノリシックマイクロ波集積回路)は、最大90GHzの周波数でのデータ通信を実現します。

Massive MIMO(マッシブマイモ)

MIMO(Multiple Input Multiple Output)技術を使った通信システムでは、データの流れは、複数の送受信アンテナを使って送られます。これにより、受信信号状態の改善、通信可能距離の拡大、全体のデータスループット向上を実現します。LTEでは、通常は最大8本のアンテナを組み合わせて使用しますが、5Gではより多くの電力が必要となります。ミリ波の場合には、送受信局で数百本のアンテナがよく使用されています。最適化された複数アンテナ技術、すなわちMIMOは、携帯電話ネットワークの能力を何倍にも拡張します。しかし、ミリ波の利点を活用するためには、Massive MIMOの他に、もう一つの技術が必要となります。すなわち、ビームフォーミングを利用することによって初めて、信号を集中させて送信することができるのです。

ビームフォーミング

従来のアンテナを使うと、信号は全方向に均一に放射されます。信号が他の無線局からの信号と重なり合うと、干渉が発生して信号レベルが大幅に低下します。Massive MIMOによる複数アンテナ技術とビームフォーミングの組み合わせにより、この問題を解決します。同じ信号を時間的にずらして複数のアンテナで送信することで、利用者の位置付近に狙いを定めて、送信機はそれに合わせた電力で送信するのです。これが信号ビームの生成、すなわちビームフォーミングです。つまり、ビームフォーミング送信機は、異なる方向に存在する個別の受信者に対して、それぞれ別の信号を送信することができます。これにより通信可能範囲が拡大し、より安定な接続、通信速度の向上、さらには、迷惑な無線障害の低減を実現できます。

半導体ソリューションによるデータセキュリティ

接続性が向上すれば、データセキュリティのニーズも増加します。スマートホーム、コネクテッドカー、およびインダストリー4.0では、不正アクセスに対する保護、さらには、セキュアなデータやプロセスが必要になります。革新的な半導体ベースのセキュリティソリューションにより、インフィニオンは、増大するセキュリティ脅威から将来の5G携帯電話ネットワークを保護します。

5Gが市場に投入されるのはいつでしょうか?

5Gが市場に投入されるのはいつでしょうか?

新しい携帯電話インフラを開発するには、多くの技術的、経済的課題があります。現在、初期的なアプリケーションがあるものの、まだ試験段階にすぎません。たとえば、韓国では、2018年冬季オリンピックで初期的な5Gミリ波アプリケーションを披露しました。欧州初となる四つの無線セルが、2017年にベルリンで運用を開始しました。それは、実際の生活環境で5G通信をしています。米国では、ベライゾンが2018年に28GHzミリ波のパイロットプロジェクトを開始する予定であると発表しました。AT&Tは、2019年に米国の数都市で、39GHz帯の5G通信テストを開始する予定です。しかし、広く利用できるようになるには、さらに数年かかるでしょう。たとえば、欧州連合理事会が設定した目標では、2025年までに、よく発達した5Gネットワークが欧州の主要都市に普及しているとしています。

使用例:日常生活での5G

スマートシティでの帰宅

夜遅くまで続いた販売担当とのミーティングを終え、イザベル・グレインジャーさんは車で家路に向かっています。「渋滞が解消していてよかったわ。ラッシュの時間帯なら大変だったかも」と思いながら、彼女は夜の街を運転しています。街の北側からイザベルさんが住む南側の郊外へは、夕方だと一時間以上はかかります。

夜遅く帰宅する難点は、街中の駐車スペースがほとんどないことです。しかしイザベルさんは心配していません。彼女が住む地区はスマートシティの試験プロジェクトに含まれているからです。レーダーセンサーと無線ID(RFID)チップを内蔵する街灯が近所の空いている駐車スペースを探し出し、モバイルネットワークを介して、その情報をセントラルサーバーへ送信します。

イザベルさんの車には、その情報を受信するアプリがインストールされています。そして街灯のある安全な駐車スペースをナビに表示します。イザベルさんはすぐに駐車スペースを見つけ、無事に彼女の家から約150mの場所に駐車することができました。「便利になったものね。時間と燃費の節約にもなるし、ご近所を何度も行き来して迷惑をかけることもないわ」と、彼女は駐車しながら思うのでした。

スマートな街灯“eluminocity”に関する詳しい情報は、こちらをご覧ください。

夜間駐車の新しいあり方

ジョン・スペンサーさんもまた、駐車しようとしている最中です。ほんの数ヶ月前に彼がリースした自動車です。渋滞の中でも完全に自動運転するといった新しい機能に、いまだ彼は驚きを隠せない様子です。「まるで車輪のついたコンピューターのようだ」と、ディーラーから機能の説明を受けている時にジョンさんは思いました。

エンジンを停止させると、メッセージがディスプレイに表示されました。運転をより安全に、より便利にする多くの新機能を含むアップデートが自動車メーカーから通知されているのです。整備工場まで運転する必要はありません。スマートフォンと同じように、テレマティクスユニットという自動車に搭載されているモバイルインターフェースを利用し、アップデートをダウンロードすることができるのです。また、内蔵されているセキュリティチップにより、承認されたサービスプロバイダーのみが自動車のシステムにアクセスすることができます。

高速な5Gネットワークにより、ソフトウェアの新しいバージョンをダウンロードしてインストールするまでに20分もかかりません。翌朝まで自動車を使う必要がないので、ジョンさんはアップデートをすることにしました。車外に出て自動車をロックした時には、すでにアップデートが開始されています。数秒以内には新しいユーザーガイドが自動的にジョンさんのスマートフォンに直接送信されます。こうしてジョンさんは、すぐに新機能の詳しい情報を知ることができるだけでなく、翌朝には機能向上した自動車を利用することができます。

決定的瞬間を逃さない

完璧な正確性でセンターフォワードにパスが渡りました。トラップしてそのままシュート。ゴール!7万人以上の観衆が歓声を上げています。グレゴリー・ウェストさんは息子と一緒にサッカースタジアムにいます。いつものように息子のジュリアンはスマートフォンを手にして、ピッチ上の試合展開を観ています。ジュリアンは同時にスマートフォンの画面も見ています。国営のテレビ局大手がインターネットでライブ実況をしているのです。

ジュリアンは目の前のピッチで行われている試合を観戦しながら、別のカメラアングルの映像をスマートフォンでも見ているのです。しかも5Gの高速ネットワークによって遅延がありません。さらにジュリアンは小型のワイヤレスイヤフォンを装着し、同時にテレビ局の実況も聞いています。

一方、スタジアムの雰囲気に浸ることを好むグレゴリーさんが周りを見渡しています。多くの観戦者がスマートフォンを片手に、二つの方法で試合を楽しんでいます。これが大きなイベントでは現実的なトレンドになっているのです。「数千の人が同時に、何の障害もなくモバイルネットワークにアクセスできるとは、実に素晴らしいことだ」と、グレゴリーさんは思うのでした。

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