インフィニオンとメタリンクがVDSLの新技術を開発QAM方式により伝送速度150Mbpsと伝送距離4kmを可能に

独インフィニオンテクノロジーズとイスラエルのメタリンク社は、両社がそれぞれ、標準VDSL技術の5番目の帯域（バンド）を使用可能にする新技術「VDSLPlus」を開発していると発表しました。V DSLのリーチのさらなる延長とシングルペア銅線上での帯域幅の一層の拡大を求める市場ニーズに応えるのが狙いです。「VDSLPlus」を利用すれば、サービスプロバイダは、同じラインカードと同じCPE（ 顧客構内装置）設計を用いて、最大データ伝送速度150Mbpsまでの短距離アプリケーションから、4kmの伝送距離で4Mbps以上のデータ伝送速度が可能なロングリーチ・アプリケーションに至るまで、ス ケーラブルなDSLサービスを提供できます。

「VDSLPlus」は、標準ツイストペア銅線上でかつてない最高速のデータ伝送速度を達成するため、国際的な各種VDSL標準で定義されている現行の12MHzの限界を超える、新しい周波数「帯域（ バンド）」を利用します。この拡張版QAM方式VDSL技術は、次のような長所を持っています：

• 長さ300m（1,000フィート）以上のシングルペア銅線上で、トータル150Mbpsのデータ伝送速度を達成
• 4km（1万3,200フィート）のリーチで、4Mbpsを超える伝送速度を達成
• 関連するすべてのVDSL標準の要件に対応。例えば、バンド割当プラン998、997や、中国の電気通信標準化機構CTSI（Chinese Telecommunication Standard Institute）が定義したバンド割当プランのほか、あらゆるプロプライエタリなバンド割当プランにも対応
• ナローバンドサービスや従来型DSLサービス（POTS、EuroISDN、TCM-ISDN、ADSLなど）とスペクトル互換性を持ち、共存可能
• Ethernet over VDSLおよびATM over VDSLの両方をサポート

メタリンクのツビカ・シュークマン会長兼最高経営責任者（CEO）は、「インフィニオンとメタリンクは、QAM方式VDSLの能力向上に継続的に取り組んでおり、両 社ともその技術進歩において大きな成果をあげています。QAM方式のVDSLが実用化されて4年経ちましたが、その間、サービスプロバイダと通信事業者はQAM方式VDSLを本格運用し、それに精通した結果、さ らにコスト効率が高く、スケーラブルな運用性を持つQAM方式の長所を維持しつつ、VDSLのさらなる帯域拡大とリーチ延長を求めています。メタリンクとインフィニオンは、各 種国際標準との厳密な互換性を維持しながら、そのニーズを引き続き満たしていくため、他の業界リーダーと協調して、オープンなQAM方式VDSLの仕様と定義の一層の拡充に取り組んでいきます」と、語りました。

メタリンクとインフィニオンは、様々な標準化団体における「VDSLPlus」の標準化を促すとともに、両社がすでに立証しているこの新技術の相互運用性をより高めるため、他のQAM 方式PHYおよびシステム関連企業との協力をさらに推し進めます。完全な相互運用性を持つ商業利用可能なVDSL製品を実証したサプライヤは、メタリンクとインフィニオンだけです。

インフィニオンのクリスティアン・ヴォルフ（有線通信グループ担当副社長兼アクセス事業ユニット・ゼネラルマネージャ）は、「強化版VDSLを求める市場ニーズの増大が、イ ンフィニオンとメタリンクの協力の原動力となっています。特にQAM方式VDSLの大きな成功例が続くアジア太平洋地域と日本において、それがあてはまります。V DSLPlusはフィールドで実績のあるQAM方式VDSL技術の拡張版であり、集積レベルが一段と向上し、帯域幅がより広く、リーチがより長いのが特長です。こ れまで200万以上のQAM方式VDSL回線が運用され、通信事業者に収入をもたらしており、また、すでに100社を超えるシステムベンダがQAMベースのVDSLプラットフォームを提供していますが、そ の実績を背景に、QAM方式はVDSLのデファクト・ラインコードとして受け入れられています」と、述べました。

ITU、ETSI、CTSIおよびANSIの各バンド割当プランをサポートするQAM方式VDSLチップセットおよびシステムは、高 いノイズ耐量を持つ堅牢なQAMリンクを介して超高速のデータ伝送速度を実現し、シングルペア銅線上でビデオ、データおよび音声の同時伝送サービスを行えます。Q AMラインコードはその固有の簡便性が実証されており、その際、競合するVDSLラインコードと比べてコストと消費電力の面で優れ、し かもQAMが持つ洗練された機能と長所を発揮できるというメリットをもたらします。「VDSLPlus」技術を使えば、こうした利点が、リーチの延長とデータ伝送速度向上によってさらに補強されますが、そ れが可能なのはQAM 方式VDSLにおいてだけです。

メタリンク社について
メタリンク社（Metalink Ltd.）は、テレコミュニケーションおよびネットワーキング機器メーカーやテレコミュニケーション・サービスプロバイダが利用する、高性能ブロードバンド・ア クセスDSLチップセットの開発を行っている市場リーダーです。メタリンクのVDSL、SHDSLおよびHDSLシリコン・ソリューションは、ATM、TDMおよびEthernet-IPネットワーク・イ ンフラを介した、費用効果の高い、超高速ブロードバンド・アクセス・デリバリを可能にします。メタリンクが持つDSP、通信およびミクストシグナルにおける先進的能力は、世 界中の標準化団体におけるその指導力と相まって、同社をブロードバンド・アクセス分野の世界的なパイオニアとして成長させました。アジア、北米および欧州の主要なOEMメーカーが、メタリンクのVDSL、S HDSLおよびHDSLxの次世代製品を選んでいます。1992年創業のファブレス半導体企業であるメタリンクは、イスラエルのヤクムに本社を置き、米国カリフォルニア州フォルソムにオフィスを構えています。詳 しくは下記ウェブサイトをご参照ください：

http://www.metalinkDSL.com 

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度（9月決算）の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。