決済方法を変革する5つの技術の進歩

2021年12月17日

未来の決済はどのようになるのでしょうか?簡単に言うと、デジタル化が進むグローバル社会に、決済方法の選択肢が増えます。

しかし、信頼を犠牲にするようなことがあってはなりません。必要なときに、いつでも自分の口座にアクセスでき、商品やサービスをシームレスに購入できることに対して、消費者は完全な信頼を寄せていなければなりません。また、使用する決済手段がシームレスに統合され、安全であると、信頼できなければなりません。

新たな市場参入者やOEMが現れたときは、信頼性が不可欠です。信頼とは、苦労して獲得するものの簡単に失われてしまう、あらゆるブランドの成功にとって最も大切な要素です。だからこそ、信頼は決済の未来全体を支え、カード決済、生体認証、グリーン認定、デジタル通貨、量子コンピューティングに先進性を取り入れていくことでしょう。

1. 生体認証

認証とセキュリティは常に進化し続けて、詐欺師の一歩先を行かなければなりません。パンデミック以降、非接触型による対面取引が増えており、非接触型決済カードが犯罪者に悪用されないようにするには、さらに認証を追加しなければなりません。

セキュアエレメントに組み込まれた生体認証セキュリティは、デュアルインターフェースカードの生体認証センサーに接続されており、便利さとセキュリティの効果的な組み合わせで、近接型決済の次なる大きなトレンドとなる可能性があります。その魅力は、生体認証データはカード保持者が忘れることがなく、完全に非接触の体験が可能という点です。

これは銀行、加盟店、消費者にとって大きなメリットであり、非接触型決済の上限引き上げによる詐欺リスクが懸念される現時点で、詐欺防止を大幅に強化するものです。非接触型生体認証センサーカードは、近接決済におけるこのリスクを軽減し、セキュリティを本物のカード所有者の手に取り戻すことができます。

2. グリーン認定

銀行やその他の金融機関は、決済スキームや企業の社会的責任 (CSR) への取り組みが、これまで以上に環境に配慮したものになるよう強く求められています。こうしたカードの最終的な目標は、カードが財布以上の地位を維持し、銀行がさらに環境に配慮した取り組みにコミットメントできれば、顧客維持率を向上できます。これにより、カード発行会社や銀行がカーボンニュートラルになるのを支援できます。

競争の激化に対抗することは容易ではありませんが、再生海洋プラスチックや木材など、より環境に優しい材料を提供することで、エンドユーザーにとって魅力的な選択肢を提供することができます。ABIリサーチによると、2025年までにPVCカードの出荷数が4億枚減少すると予想され、その要因に消費者の環境配慮型への需要が増加することが挙げられています。

より環境にやさしい非接触型カードの製造を支援する画期的な技術革新としては、カードに統合された小型アンテナが、オーバーザエア接続 (OTA) で大型アンテナと通信することが挙げられます。カードメーカーは、アンテナとIC間の物理的な接続を避けることにより、非接触型の通信性能やセキュリティに影響を与えることなく、アンテナをはるかに簡単にカードに組み込み、望む部品を使ってカードを作成できるようになります。

カード所有者に優れた体験を提供することが重要です。高級な金属素材でできたカードは、高級感ある外観と (重厚感があり、頑丈で、価値がある) 手触りを備えたデバイスを提供できるため、カード発行会社が裕福な顧客を維持するのに役立ちます。一方、テクノロジーに精通した消費者は、通信範囲にカードが入るとLEDが点灯するタイプのカードを選ぶことができます。

カード決済は大きく洗練され、安全で魅力あるものになっていきますが、デジタル化が進むグローバル社会にいる私たちは、今後数年内にさらに多くの決済方法の選択肢を手にすることになるでしょう。

3. ウェアラブル機器とコネクテッド デバイス

タッチレス決済は、コネクテッドデバイスの新たな世界も実現します。 市場調査会社IDCは、2020年第4四半期におけるウェアラブル端末の世界出荷台数が1億5350万台に達したと報告しました。この数字は増加し続けるでしょう。

指輪やブレスレットも、スマートウォッチやフィットネストラッカーと同様に、近距離無線通信 (NFC) 対応の決済デバイスとして利用されるようになるでしょう。さらに、BLE (Bluetooth Low Energy)、UWB (Ultra-Wideband)、Wi-Fiなどのインターフェースが、超低消費電力で動作する超小型のウェアラブル端末向けに導入されるでしょう。

これによりデバイスメーカーは、自動化された位置情報に基づいた支払いなど、顧客に魅力的な新しい体験を提供することで、顧客拡大の大きなチャンスを得ることとなり、タッチレス決済を真の非接触型決済へと変えることになります。超広域無線 (UWB) のような技術で可能になる新たな利用事例は、顧客と販売業者間のシームレスなやり取りを強化するだけでなく、公共交通機関、移動手段、イベントのチケット販売など、新たに加わる多数の決済取引を促進することにもなるでしょう。

トークン決済 (顧客のクレジットカード情報 (プライマリアカウント番号 PANと呼ばれる) を「代理」値に置き換えることで、口座番号がプレーンテキストで開示されないようにする) はすでに広く利用されており、ウェアラブル端末で決済を行う消費者にさらなる信頼をもたらします。

4. デジタル通貨

現在、世界中の政府が新形態のデジタルマネーをどのように規制するか検討しており、今後10年以内に一部の国でデジタル通貨が事実上の通貨になることが予想されます。

しかし中央銀行は、金融システムに対する主権を維持するうえで、デジタル台帳技術 (DLT) とデジタルウォレットのサポートが必要になります。中央銀行は、個人間決済向けに「ステーブルコイン」(米ドルなどの法定通貨と価値が連動するデジタル通貨) の提供を目指すFacebookなどの組織との競争に直面しています。

ハードウェアベースのセキュリティメカニズムの役割の一つは、デジタル通貨のウォレットに必要な秘密鍵 (パスワード) を生成し、保存することです。これは、デジタル通貨を大量普及させ、消費者がパスワードを忘れて多額の損失を被ることを避けるのに不可欠です。CBDC(Central Bank Digital Currency、中央銀行デジタル通貨)を格納するチップカードは、安全な鍵の生成や管理、署名方法、PIN保護/認証、DLTや電子ウォレットソリューションに必要なその他の機能など、セキュリティ機能に対応していなければなりません。

中央銀行デジタル通貨 (CBDC) ウォレットを保護するもう一つの賢明な方法は、「コールドウォレット」の機会を提供する生体認証センサーカードの導入です。コールドウォレットは、カードのセンサーに接続されたセキュアエレメントに保存された生体認証データで安全に保護された、オフラインの物理的な「財布」です。オフラインでユーザーの秘密鍵を安全に保管し、ウイルスやマルウェアによる漏洩リスクを低減します。

5. コンピューティングの変革

現在、世界中の電子暗号化データ (支払い情報など) の大部分は、数式によって保護されています。これらの暗号化モデルを現実的な時間で破ることは、コンピュータにとっては難しすぎます。しかし、量子コンピュータがもたらす驚異的な能力は、今後、決済におけるセキュリティのあり方を完全に変えていくでしょう。

DESやRSAセキュリティのような一般的なデータ暗号化は、AES-256のような高度暗号規格に引き継がれると予想されていますが、それだけでは十分ではありません。AES-512のような高度暗号化技術は、多くの人の予想よりも早く必要になるでしょう。

 つまり、量子耐性のある暗号化サポートが必要だということです。買い物客や販売業者が、タッチ決済の利便性を損なうことなく、こうした新しい仕様に対応するには、決済カード、ウェアラブルなどのデバイスのプロバイダーが耐量子暗号チップセットを使用することが不可欠になります。

 これらは、今後数年、決済の世界で予想される、重要でエキサイティングな変化のほんの一部です。インフィニオンは、毎年何十億ドルもの研究開発費を投じ、イノベーションの最先端に立ち続けています。これにより、銀行、加盟店、デバイス製造業者は、消費者に対してより安全で便利な決済手段を提供できるようになり、デジタル取引における信頼と選択肢の創出を実現しています。

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