インフィニオンがインダストリー4.0を推進します:ロボットのスタートアップ企業との協業

グローバル化とデジタル化の進展に伴って、インダストリー4.0という言葉の意味が広がっており、バズワードが現実になっています。ロボット工学はこの発展の重要な要素です。ワークフローの自動化、システムのネットワーク化、マシンのスマート化によって、生産プロセスが迅速かつ効率的になり、サプライチェーン全体を通じて最大限の柔軟性を実現しています。生産プロセスに関する情報は、世界中の拠点でリアルタイムに共有されます。その結果として、グローバルでスマートな未来の仮想工場が実現します。

産業用ロボットからコボットへの進化

その数字は明らかに上昇傾向にあります。2016年には世界全体のロボット市場は400億ドル規模でしたが、2025年までに870億ドルに拡大すると見込まれています。2019年まで、産業用アプリケーションでの世界全体のロボット設置台数は、毎年12%増加すると見られています。従来の産業用ロボットによって始まった成長は、今ではコボット (協働ロボット)に受け継がれています。ロボット工学の揺籃期には、産業用環境で使用されるロボットの大部分は、製品の大量生産を目的としていました。

しかし、今では、従来の産業用ロボットは、しだいに協働ロボットに置き換えられたり、機能拡張されたりしています。コボットは、2020年までに23%以上増加すると見込まれており、ロボットの中でも最も急速に成長している分野です。

人に対する安全

過去には、従来の産業用ロボットは、非常に高価である上に、時間のかかるプロセス統合が必要であり、一部の限られた専門家だけがプログラムできるものでした。ロボットの機能や、ロボットが実行する作業の範囲は、ほとんど変更できませんでした。さらに、「感覚」がないので、ロボットを利用できる分野が限られており、また、安全柵、その他の障壁のような安全対策が必要でした。その理由は、工場で働く人との衝突を防止するためには、人と機械を空間的に厳格に隔離しなければならないからです。

人とロボットの協調作業

コボットは、人の腕と同様に自由に動き、人と同様の触覚を持っているため、人とロボットの協調作業を安全に行うことができます。衝突検知および防止機能を内蔵しているので、複雑な作業のプログラムを簡素化できます。直観的で使いやすいプログラミングインターフェイスを使えば、わずか数分でプロセス統合が可能になります。センサーの利用によって、高度な柔軟性を持った対話型学習を実現します。コボットは、ある種の作業を自律的に処理することができます。

デジタル化の可能性

デジタル化のおかげで、プログラムされたワークフローは、ネットワーク経由で他のコボットと共有できます。大部分のコボットは、鋭い端部がなくて柔らかいので、人との協調作業においては、たとえ直接接触する場合であっても、負傷のリスクを最小化しています。

コボット:ユーザーであり開発者でもあるインフィニオン

ロボットテクノロジーという観点では、インフィニオンは、他に類を見ない立場にあります。生産にロボットを利用する一方で、ロボットテクノロジー向けの幅広い製品ラインを提供しています。これにより、供給側および利用側の両方の視点から、この分野を見ることができます。その結果として、新製品について幅広く系統的に理解し、完全に統合化したソリューションを提供することが可能になっています。

半導体製造およびサプライヤーとして、インフィニオンは、インダストリー4.0の重要な要素をお客様に提供します。それは、多くの分野で使われています。

  • データは、センサーで収集され、マイクロコントローラで処理されて、パワー半導体デバイスによって物理的に実現されます
  • チップベースのセキュリティソリューションは、ロボットのキャリブレーションデータなどの重要なデータを保護します
  • 特殊3Dカメラレーダーシステムは、高性能な物体位置特定、周辺環境認識、ジェスチャーおよび音声認識によって、人と機械の協調作業を簡素化します

インフィニオンのドレスデン工場(ドイツ)でのデジタル化

新しい技術的選択をするユーザーとして、インフィニオンは、過去何年にもわたって重要な知識を得てきました。20年以上操業しているドレスデン工場では、自動化率が92%に達しています。200台を超えるロボットが、従業員の補助をしています。ドレスデン工場は、デジタル化が最高レベルに進んでおり、インダストリー4.0の多くの側面をすでに実現しています。年間365日、24時間にわたって、人と機械がスロットル全開で働いています。

オートメーション化によって、生産性は約70%向上しました。高度なオートメーションにもかかわらず、ここ数年間、従業員数は2千人のままで変わりません。オートメーションの高度化により、工程設計を常に最適化するとともに、継続的イノベーションを実施する能力が得られました。

将来においても、イノベーション、品質管理、システムの問題解決の分野においては、常に進歩し最適化できる個人の経験や創造力を活用する必要があるため、人間の従業員を置き換えることは不可能でしょう。

2011年以来、インフィニオンの従業員は、インダストリー4.0に伴う変化や課題に対処できるように、準備し、訓練を受けています。スキルをあまり必要としない仕事は、データ分析や製品開発のように、新しくて高度なスキルを必要とする仕事に置き換えられています。従業員と機械それぞれの強みを結合しています。要するに、人とロボットは相互に反抗するのではなく、協力して働くのです。

先進的活動およびスタートアップ企業との協力契約:インフィニオンとコボット

欧州のインダストリー4.0の分野で史上最大の研究プロジェクトである「プロダクティブ 4.0(Productive4.0)」が2017年中頃に活動を開始しました。インフィニオンによる調整の下に、欧州19ヵ国の100社を超えるパートナーが、産業のデジタル化およびネットワーク化に尽力しています。BMW、ボッシュ、フィリップス、ボルボなどの企業の他にも、有力研究機関、たとえばフラウンホーファー協会やドレスデン工科大学が参加しています。

スタートアップ企業との協力契約のメリット

インダストリー4.0およびコボット分野の発展に追随するために、また、デジタルの未来を築く積極的役割を担い続けるために、インフィニオンは、スタートアップ企業との協業を進めています。スタートアップ企業は、有名企業があまり持っていない資産、すなわち厳格なプロセスが必要なために扱いにくい資産を持っている場合があります。

  • 顕著な創造力
  • デジタル化進展のための新たなアイデア
  • 延々と続く調整の繰り返しのない、迅速で実際的なアプローチ
  • 既存の枠にとらわれない自由な思考

国際協力

インフィニオンは、ドイツおよびシリコンバレーのスタートアップ企業をさまざまなレベルで支援しています。

一方では、豊富な経験、グローバル市場への理解、システムの知識、顧客ネットワークを通じて、あるいは、アイデアやコンセプトを拡張し、必要な品質を持った製品を世界中に売り出す専門知識を通じて、支援を行っています。

また、他方では、インフィニオンは、若い技術者や経営者に対して、センサー、マイクロコントローラ、パワー半導体デバイスの分野の新しいテクノロジーに接する機会を提供しています。これによって、彼らは自分たちのアイデアやイノベーションを実際の市場性のある製品として実現できるのです。

そして、その経験を共有します。このようにして能力のある人たちが、互いに触発されてイノベーティブになります。それと引き換えに、インフィニオンは、自社の製品開発にとって貴重なフィードバックを得ています。また、インフィニオンは、デジタルイノベーションや起業の分野での才能を伸ばすために、ドイツのミュンヘンにあるデジタルプロダクトスクールなどの施設やプロジェクトを支援しています。

スタートアップ企業、フランカ・エミカ社

その一つの例が、ドイツのミュンヘンにあるスタートアップ企業、フランカ・エミカ社との協業です。フランカ・エミカ社は、2016年に設立され、2017年末に最初のロボットを発売しました。このスタートアップ企業は、感覚を持ち効率的で安価なコボットの開発、設計、販売を専門としています。

(写真提供:フランカ・エミカ)

「ロボットは、一般に利用可能な多機能ツールになるべきだ」という創始者の考え方が、同社の開発の中核を占めています。この会社は、感覚があり軽量で高速なロボットを開発しています。そのロボットは、直観的に操作可能なインターフェイスを使って、わずか数分でプログラムすることができます。

ロボットと協働する人が、ロボットが実施するべき作業を実演して見せるだけです。機械が学習して独自に得た知識は、他の作業やプロセスで利用することができます。フランカ・エミカ社のコボットが従来の産業用ロボットよりすぐれているのは、この機能だけではありません。従来の産業分野以外でも、多大な可能性があります。コボットは、従来のロボット環境(大量生産など)と無関係の企業の注目も集めています。

(写真提供:ドイツ未来賞)

ドイツ未来賞2017

2017年に、ドイツ大統領フランク=ヴァルター・シュタインマイアーは、フランク・エミカ社の開発者たちにドイツ未来賞を授与しました。その賞金は、25万ユーロです。受賞したのは、ハノーファー大学自動制御研究所長のサミ・ハッダディン教授、フランカ・エミカ社長のシモン・ハッダディン博士、フランカ・エミカ社チーフエンジニアのスヴェン・パルセル氏です。

授賞式で、サミ・ハッダディン教授は次のように述べています。

「ロボット工学と人工知能は、人口構造の変化、熟練労働者の不足のような現代社会のさまざまな問題を解決できるだろう。」

サミ・ハッダディン教授
(写真提供:フランカ・エミカ)

フランカ・エミカ社のパンダは、簡単な操作と、高度な俊敏性および感覚機能を結合した、80cmの動作範囲を持つ7軸ロボットグリッパです。そのデザインとユーザーインターフェイスにより、直観的なプログラミングと柔軟な活用が可能になっています。たとえば、このようなロボットの利用で通常必要とされる金額と比べれば、ごくわずかな金額で、自動化プロセスへの組み込みを容易に実現できます。開発者たちは、パンダは、さまざまな業界の人々によるさまざまな作業の実行をお手伝いするスマートなツールだと考えています。

生産に関して言えば、パンダは、研究室レベルでも物流企業でも、同じくらい容易に利用できます。作業対象としては、組立作業、単なる物体の移動、機器のテストなどがあります。動作にはソフトウェアを必要としません。操作は、ごく普通のウェブブラウザから開けるユーザーインターフェイスを通じて行います。

「ガルミ」という名前は、ロボットを使用する場所に由来します。2018年に、ドイツのガルミッシュ=パルテンキルヒェンにある高齢者介護施設で、ロボットの試験運用を行う予定です。身長1.4mのロボットに、2台の「パンダ」グリッパを取り付けてあります。テスト期間の最初のうちは、ガルミは遠隔操作され、常に監視されています。

ロボットは、車輪で移動します。電子レンジの操作、食器洗い機からの食器取り出し、玄関ドアの開閉のような作業を実施することにより、高齢者の日常生活を支援するように設計されています。居住施設では、食事の配膳や緊急時の支援に利用することを計画しています。

シモン・ハッダディン博士は、ガルミを使うことで、介護士が実際の介護や精神的支援により多くの時間を使えるようになり、介護士の負担軽減に役立つことを期待しています。このロボットアシスタントは、高齢者が、自宅で自立して生活できる期間をより長くするのにも役立つでしょう。

フランカ・エミカ社とインフィニオン

フランカ・エミカ社は、そのロボットにインフィニオンのソリューションや製品を使っています。両社は、将来のコボット発展を促進するため、専門知識の共有化を進めています。

スタートアップ企業、KEWAZO社

スマートなロボット足場部品運搬システム開発の最初のアイデアは、ミュンヘン工科大学(ドイツ)で開催された若いビジネスマン向けの2週間コースの中で、2016年3月に生まれました。2017年に、そのアイデアは、さらに発展したものになりました。ビジネスのアイデアが進化しました。その背後にある考え方は、従来の足場組立は、足場部品の運搬が作業時間の80%を占めており、きわめて非効率で、時間がかかり、危険だということです。

(写真提供:KEWAZO)
(写真提供:KEWAZO)

この問題を解決するために、KEWAZO社は、組立作業中に水平および垂直に移動して、足場部品を適切な場所に配送できるロボットシステムを開発しました。このロボットは、据付や移動が容易です。大規模な足場でも、たった2人で組み立てることができます。

これにより、組立コストは、少なくとも30%低減できます。それと同時に、ロボットによる水平運搬で資材が常時流れているため、組立速度も40%以上速くなります。危険な運搬作業を自動化することで、事故率も低下するでしょう。次の開発ステップの目的は、KEWAZOが全く自律的に足場を組み立てられるようにすることです。

さらにその先には、KEWAZOは他の状況でも使えるようになるでしょう。たとえば、ロボットが屋根瓦やれんがの敷設を支援することもできるでしょう。塗装や建物の断熱材設置作業に利用することも考えられます。また、KEWAZOが倉庫内の運搬作業を引き受けたり、屋根の上に太陽電池を設置するお手伝いをしたりすることもできそうです。

KEWAZO社との協業

インフィニオンは、電子ハードウェアインフラ全般、たとえば、センサーとマイクロコントローラによるモータ制御、ロボットの安全動作およびKEWAZO社の重要な知的財産保護のためのハードウェアベースのセキュリティソリューションを通じて、KEWAZO社を支援しています。KEWAZO社の創業者たちは、適切な電子部品を選んだり組み立てたりすることは気にせずに、プログラミングおよびプロジェクトの最適化だけに集中することができました。インフィニオンの製品を使った最初のロボット試作品は、設計着手から6週間後に動作試験をすることができました。

(写真提供:KEWAZO)

インフィニオンとヴァンデルボッツ社

ヴァンデルボッツ(Wandelbots)社は、ドイツのドレスデンにあります。ドレスデン工科大学の研究プロジェクト「スマートシステムハブ」から生まれた最初のスタートアップ企業です。ドレスデン工科大学ソフトウェアテクノロジー学科の6人の大学院生が提示したコンセプトが、展示会で非常に高い評価を受けて、2016年にそのコンセプトに基づいて会社を設立することになりました。2017年末に、ヴァンデルボッツ社は、有名なイノベーションコンテスト「テッククランチ ディスラプト バトルフィールド」で決勝に進出しました。

ロボットプログラミングプロジェクト

(写真提供:Wandelbots)

そのアイデアは、ウェアラブル機器に関する論文に基づいています。そのアイデアから大学院生たちは、スマート衣料を使ってロボットを制御して、プログラミングの経験がない人でも機械をプログラムできるようにするというコンセプトを開発しました。その背景は、デジタル化という展望の中で、IT専門家が不足しているということです。IT業界では、デジタル時代に競争力を維持するために、60%の企業がプログラマーを求めています。

その解決策として、ヴァンデルボッツ社の創業者たちは、センサージャケットを開発しました。これにより、特別なツールやプログラミング技術を使わなくても、ロボットが必要な動作を追従して学習します。ロボットと協働する人は、動作や作業を実演します。ロボットはその動作シーケンスを自動的に学習して、微調整または最適化します。

ロボットをプログラミングする時間とコストが大幅に削減され、新しい作業をわずか数分で導入することができます。ロボットのセンサーおよび外部のセンサーは、トレーニング時の周辺状況を取得します。これにより、ロボットは、変化する状況に対して、迅速かつ自動的に適合できます。

協業

(写真提供:Wandelbots)

ヴァンデルボッツ社のロボットシステム制御に関する幅広い知識によって、インフィニオンは、3D ToF(Time-of-Flight)カメラによる新たなセンサーテクノロジーを検討するための協業を開始しました。その目的は、変化する環境における移動ロボットプラットフォームのナビゲーションを、最小個数のセンサーコンポーネントで実現する、より効率的で費用対効果の高いセンサープラットフォームを作ることです。

ドレスデンにあるインフィニオンのクリーンルームでの初期テストでは、非常に有望な結果が得られました。従来型スキャナーでは感知できない、途中まで開いた引き出しなど、従来は障害物であるとうまく識別できなかった周囲の状況でも、3D構造で取得することにより、今では識別して回避することができます。さまざまな障害物を識別することにより、最小個数のセンサーを使って、ロボットが生産関連の職場でより安全に動き回れるようになって、作業実施時のロボットの堅牢性や耐久性を高めることを目標としています。

インフィニオンとボイスコントロール:XMOS社との協業

XMOS社は、スマートアシスタントなど家庭用電子機器市場およびIoTデバイス向けの、音声およびオーディオソリューションのリーディングプロバイダーです。2017年に、インフィニオンおよびXMOS社は、人間が話す声と人工音源とを識別できるソリューションを発表しました。このソリューションには、インフィニオン製の、存在とジェスチャーを認識するマイク、レーダー、マイクセンサーが使われています。

これらのセンサーは、話者の位置およびマイクからの距離を認識します。音声の取得には、XMOS社の音声処理テクノロジーが使われています。

インフィニオンと人工知能:Roboyプロジェクト

インフィニオンは、ロボットにおける人工知能を研究しているRoboyプロジェクトを支援しています。それは骸骨型の機械であり、人体の筋肉の機能をモータ、ジョイント、ワイヤ、ケーブルを使ってを模擬したものです。Roboyプロジェクトの目的は、動作、認識、感覚について、人間の身体に限りなく似せた身体を持つヒューマノイドロボットを開発することです。

( 写真提供、著作権:クリエイティブコモンズライセンス)

これにより、人体の動作シーケンスを理解できるでしょう。そのために、学生、科学者、企業、芸術家を集めて、ロボット開発用プラットフォームを設立しました。

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