インフィニオン、コンチネンタル社と効率的で高性能な車両アーキテクチャ開発で協業

2023/03/30 | ビジネス&フィナンシャルプレス

  • コンチネンタル社、インフィニオンのハイエンド マイクロコントローラーAURIX™ TC4を使用したE/Eアーキテクチャの革新的なモジュール プラットフォームを開発
  • ゾーン コントロール ユニットは、複雑なソフトウェア インフラの高性能コンピューターとセンサー/アクチュエーターの間のインターフェースとして機能
  • 車載用RRAM技術を共同で導入

2023年3月13日、ミュンヘン (ドイツ)

インフィニオン テクノロジーズ (FSE: IFX / OTCQX: IFNNY) は、コンチネンタル社のサーバーベースの車両アーキテクチャの開発において協業します。この協業により、従来のような100を超える個別の制御ユニットに代わり、高性能セントラル コンピューター (HPC) と強力なゾーン コントロール ユニット (ZCU) を備えた、整理された効率的なE/Eアーキテクチャ開発を目指します。コンチネンタル社は現在、ZCUプラットフォームにインフィニオンのAURIX™ TC4マイクロコントローラーを使用しています。

 AURIX™ TC4の特別なストレージ技術により、車両ソフトウェアはスタンバイ状態にあります。車両を始動させるとすぐに、駐車支援、冷暖房、サスペンションなどの機能が瞬時に動作可能な状態になります。コンチネンタル社は、そのプラットフォームアプローチにより、自動車メーカーのさまざまな要求をサポートしています。HPCとZCUの数、相互作用の仕方、車両内での配置を個別に設定することで、自動車メーカーは、それぞれのニーズに合わせてアーキテクチャをカスタマイズすることができます。

 コンチネンタル オートモーティブ社の最高技術責任者 (CTO) であるジル マビーレ (Gilles Mabire) は「新しいアーキテクチャ ソリューションによって、私たちは未来にふさわしいクルマを作ることができます。車両機能の多様化に伴い、より多くのコンピューティング パワーと複雑化するソフトウェアアプリケーションを必要とします。当社の新しいアーキテクチャは、ソフトウェア定義型車両への道を切り開くものです。インフィニオンとの協力は、お客様のために迅速に開発を進めるために不可欠なステップです。私たちのプラットフォーム戦略によって、実績のあるアプリケーション ソフトウェアを、例えば新しい車両モデルで使用することができます。その結果、時間のかかる検証作業が大幅に軽減され、新しい機能性をより早く量産に持ち込むことができます」と述べています。

 AURIX™ ファミリーの第3世代であるTC4xは、前世代のAURIX™ TC2xおよびTC3xと同様に、性能、メモリー、パッケージバリエーションなどスケーラビリティを持っています。特に、AURIX™ TC4xは、ZCUやHPCでの使用を想定して設計されています。さらに、フォーカスアプリケーションとしては、レーダー、シャシーと安全、パワートレイン/電動化があげられます。

 この新しいマイクロコントローラー シリーズの重要な要素は、インフィニオンが採用したRRAM (Resistive Random Access Memory) メモリー技術です。この技術は、キャッシュレス決済や安全な認証のためのチップカードですでに成功を収めています。今回初めて、RRAM技術が自動車分野に応用されることになりました。AURIX™ TC4x製品は、車両システムの潜在能力を効果的、迅速かつ安全に引き出すことを可能にします。自動車を始動させると、駐車支援、冷暖房、サスペンションなどの機能が瞬時に利用できるようになります。AURIX™ TC4xのアーキテクチャにより、必要なソフトウェアプログラムは常時スタンバイしています。さらに、ソフトウェア コンポーネントをより速く、より安全にアップデートすることも可能です。

 インフィニオンのオートモーティブ事業部プレジデントであるピーター シーファー (Peter Schiefer) は「コンチネンタル社との協力により、RRAM技術を自動車に導入することが可能になりました。コンチネンタル社のような自動車業界のイノベーションを牽引する企業とともに、私たちは未来のモビリティを形作っていきます。AURIX™ TC4xは、次世代のE/Eアーキテクチャの重要な構成要素であり、将来の自動車世代における効率、安全、快適性に関して、決定的な違いをもたらすことができます」と述べています。

 強力なゾーン コントロール ユニットの使用は、ソフトウェア定義型車両に向けた次の決定的なステップとなります。コンチネンタル社にとって、最初の大きな一歩は、フォルクスワーゲンの電気自動車モデルID.3およびID.4向けのHPC高性能コンピューターの開発と納入でした。

 インフィニオンとの協業の一環として開発されるゾーン コントロール ユニット プラットフォームは、サーバーレベル (HPC) と多数のセンサーやアクチュエーターを備えたベースレベルの間のE/Eアーキテクチャの中間階層を構成します。

 コンチネンタル社のアーキテクチャ&ネットワーキング事業部長であるジャン=フランソワ タラビア (Jean-Francois Tarabbia) は「当社は、ソフトウェア定義車両アーキテクチャに不可欠なすべてのコンポーネントを、単一のソースから提供しています。この新しいプラットフォームは、拡張性に優れ、性能やインターフェースの面でもモジュール化されています。その結果、自動車メーカーが車両アーキテクチャを設計する際に、最大限の柔軟性を提供することができます。さらに、革新的なソリューションを迅速かつコスト効率よく導入するために、サードパーティーのハードウェアやソフトウェアの統合を可能にします」と述べています。

 将来のE/Eアーキテクチャでは、ゾーン コントロール ユニットが、車両のローカルセクションのすべての電子的および電気的な接続を集約します。例えば、ゾーン コントロール ユニットが、右前、左前、後方の各エリアの車両内のすべての制御、データ、通信管理タスクを引き継ぎます。ソフトウェア コンポーネントを一元的に集約することで、サイバーセキュリティと更新性を高めることができます。AURIX™ TC4x製品群は、ISO/SAE 21434の認証を受けたプロセスで開発された最先端のサイバーセキュリティ機能に対応しています。特に、AURIX™ TC4xのサイバーセキュリティのコンセプトは、ポスト量子プロセスをサポートしています。これにより、現在使用されている暗号方式を脅かす量子コンピューター攻撃に対する保護についても強化されています。

 異なる車両ドメインからのデータ ストリームは、ゾーン コントロール ユニットで統合します。その後、データは処理され、安全なイーサネット接続を介してトップコントロールレベルとしてHPCに渡されます。逆に、ゾーン コントロール ユニットは、サーバー レベルからのコマンドを実行するための起点として機能します。

 AURIX™ TC4xファミリーは、全体的な「機能安全」コンセプトにより、ISO26262規格に準拠したASIL Dまでの機能安全に関する最高要件を満たしています。さらに、AURIX™ TC4xファミリーは、EthernetやCAN通信を緩和するネットワーク アクセラレータ(ルーティング アクセラレータ)や、5 Gbit/s ETH、PCIe、10 Base-T1-S, CAN-XLといった最新の通信機能を備えています。これらの機能により、AURIX™ TC4xは、次世代のソフトウェア定義型車両や新しいE/Eアーキテクチャの実現を可能にします。

 タラビアは「少数の強力なゾーン コントロール ユニットと高性能コンピューターで構成される当社の新しい車両アーキテクチャは、ワイヤハーネスを大幅に簡素化し、重量とエネルギーの節約に貢献します。車載エレクトロニクスの明確な役割分担、ハードウェアとソフトウェアの分離、そして最後に必要なインターフェースの標準化により、車両内部のソフトウェアの複雑化と爆発的な広がりを、より良い方法で管理することができるようになっています」と述べています。

 

コンチネンタル社について

コンチネンタル社は1871年に設立。人とモノの持続可能でつながりのあるモビリティのための先駆的なテクノロジーとサービスを開発し、車両、機械、交通、輸送のための安全で効率的、インテリジェントで手頃なソリューションを提供しています。2022年の売上高は394億ユーロ、現在57の国と市場で約20万人の従業員を擁しています。

 

 

インフィニオンについて

インフィニオン テクノロジーズは、パワーシステムとIoTにおける半導体分野のグローバルリーダーであり、製品とソリューションを通じて、脱炭素化とデジタル化を推進しています。全世界で約56,200人の従業員を擁し、2022年会計度 (2021年10月~2022年9月) の売上高は約142億ユーロです。ドイツではフランクフルト証券取引所 (銘柄コード:IFX)、米国では店頭取引市場のOTCQX (銘柄コード:IFNNY) に上場しています。

Information Number

INFATV202303-080j

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