インフィニオン、2022会計年度は過去最高の業績:長期財務目標を大幅に引き上げ、ドレスデンの新工場への大型投資を計画

2023会計年度も好調な見通し

2022/11/25 | 四半期レポート

このリリースは、独インフィニオン テクノロジーズ社が11月14日付けで発表した資料の抄訳です。全文は原文 (英語)の PDF版をダウンロードしてご覧ください。 

  • 今後の事業モデル:売上高成長率は10%超 (以前は9%超) 、事業部合計利益率は25% (以前は19%) 、調整後フリーキャッシュフロー の対売上高比率は10%から15% (いずれも景気変動の周期を通した目標値)
  • 生産能力の拡張:監査役会は300mmアナログ / ミックスド シグナルおよびパワー半導体の新工場の建設計画を承認。建設費用は約50億ユーロで、予定地はドレスデン (ドイツ) 。十分な公的資金の調達が条件。
  • 2022 会計年度第4四半期:売上高は41億4,300万ユーロ、事業部合計利益は10億5,800万ユーロ、事業部合計利益率は25.5%、フリーキャッシュフローは7億900万ユーロ。
  • 2022 会計年度通期:売上高は前年度比29%増の142億1,800万ユーロ、事業部合計利益は前年度比63%増の33億7,800万ユーロ、事業部合計利益率は23.8% (前年度:18.7%) 、フリーキャッシュフローは16億4,800万ユーロ (前年度:15億7,400万ユーロ) 。
  • 2023 会計年度第1四半期見通し:平均為替レートを1ユーロ=1.00ドルとする想定に基づき、売上高は約40億ユーロと予想。この売上高に基づく事業部合計利益率は約25%と予想。
  • 2023 会計年度通期見通し:平均為替レートを1ユーロ=1.00ドルとする想定に基づき、売上高は約155億ユーロ (±5億ユーロ) と予想。売上高が予想範囲の中心値の場合、調整後粗利益率は約45%、事業部合計利益率は約24%と予想。約30億ユーロの投資を計画。フロントエンド施設の拡張計画を考慮に入れると、フリーキャッシュフローは約8億ユーロ、調整後フリーキャッシュフローは約15億ユーロとなる見込み。
  • 2022 会計年度の配当案:1株当たり0.32ユーロに引き上げ (2021会計年度は0.27ユーロ) 。

 

2022年11月14日、ノイビーベルク (ドイツ)

インフィニオン テクノロジーズ (FSE: IFX / OTCQX: IFNNY) は事業モデルを上方修正し、2022会計年度第4四半期および2022会計年度通期 (いずれも至2022年9月30日) の業績を発表しました。


インフィニオンの最高経営責任者 (CEO) 、ヨッヘン ハネベック (Jochen Hanebeck) は「脱炭素化とデジタル化が半導体需要を構造的に押し上げています。インフィニオンは、その戦略的ポジショニングにより、こうした動向から多大な恩恵を受けるでしょう。このトレンドはますます加速しており、より野心的な事業モデルを掲げる好機と考えます。当社はさらに、新工場への投資計画を通じて戦略を着実に実行し、将来を見据えて利益ある成長を加速させるための基盤を拡大しています。ドレスデン (ドイツ) の工場への投資には政治的支援があり、European Chips Act (欧州半導体法) を通じた十分な資金調達が期待されます。第4四半期の業績は極めて好調で、2022会計年度は厳しい環境の中で素晴らしい成功を収めました。2023会計年度も好調なスタートを切っています。現在のマクロ経済および地政学的な不確実性を踏まえ、今後の数四半期は警戒が必要です。当社は必要に応じて迅速かつ柔軟に対処する準備ができています」と述べています。

当社のターゲット市場である自動車、産業用およびIoTアプリケーション、ならびに再生可能エネルギー分野では、ダイナミックで力強い構造的成長要因が見られます。これを受けて当社は、景気変動の周期を通して財務目標を設定する事業モデルを上方修正しました。今後、為替レートを1ユーロ=1.00ドルと想定した場合の 売上高成長率予想を平均 10%超 (以前は9%超) とします。成長の主な要因はモビリティの電動化、自動運転、再生可能エネルギー、データセンター、IoTです。こうした成長は利益率の大幅な改善を伴い、 事業部合計利益率は平均 25% (以前は19%) に達する見込みです。増益に影響を及ぼす主な要因は、システムソリューション比率の上昇、ポートフォリオマネジメントによる製品 / テクノロジー ミックスの高価値化、費用対効果の高い300mmウエハーの生産拡大に加え、デジタル化とスケールメリットにより営業費用の増加が売上高の増加を下回ることです。

インフィニオンは今回の事業モデルで初めて、これまで使用していた対売上高投資比率に代わり、フリーキャッシュフロー目標を設定しました。景気変動の周期を通した フリーキャッシュフロー (フロントエンド施設への大型投資を調整後) の対売上高比率は10%から15%となる見通しです。

 インフィニオンは、アナログ / ミックスド シグナルおよびパワー半導体の成長加速に対応できるよう、引き続き300mm製造能力の拡大を計画しています。予定地はドレスデン (ドイツ) で、投資の決定には十分な公的資金が必要です。投資総額は50億ユーロを予定しており、インフィニオンにとって単一の投資では過去最大規模となります。この投資により、パワー半導体の世界的リーダーとしてのインフィニオンのポジションが強化されるでしょう。フル稼働時には、投資額と同水準の年間売上高が見込まれます。新工場は最大1,000人の高度な専門職の雇用を創出する見通しで、2026年秋の生産開始を予定しています。

 

2022 会計年度第4四半期グループ業績

2022会計年度第4四半期の インフィニオングループの売上高は前四半期の36億1,800万ユーロから5億2,500万ユーロ (15%) 増加して41億4,300万ユーロとなりました。オートモーティブ (ATV) 事業部、インダストリアルパワーコントロール (IPC) 事業部、パワー&センサーシステムズ (PSS) 事業部、コネクテッドセキュアシステムズ (CSS) 事業部のすべてで売上が増加し、前四半期に比べたドル高の進行も売上増に寄与しました。

第4四半期の 粗利益率は前四半期の43.2%から44.4%へ改善しました。 調整後粗利益率は前四半期の45.4%から46.3%に上昇しました。 

事業部合計利益は前四半期の8億4,200万ユーロから10億5,800万ユーロに増加し、 事業部合計利益率は前四半期の23.3%から25.5%に改善しました。

非事業部損益は前四半期の1億5,200万ユーロの純損失に対し1億3,800万ユーロの純損失となりました。第4四半期の非事業部損益の内訳は売上原価8,100万ユーロ、販管費および一般管理費5,600万ユーロ、ならびに研究開発費1,200万ユーロでした。これらの他、その他の純営業収益1,100万ユーロも含まれます。

営業利益は9億2,000万ユーロで、前四半期の6億9,000万ユーロから増加しました。

財務収支は前四半期の4,000万ユーロの純財務損失に対し3,300万ユーロの純財務損失でした。

法人所得税費用は前四半期の1億3,400万ユーロに対し1億6,600万ユーロでした。

継続事業からの利益は前四半期の5億2,500万ユーロから7億3,000万ユーロに増加しました。第4四半期の 非継続事業からの損益は500万ユーロの利益となりました (第3四半期:800万ユーロの損失) 。第4四半期の 純利益は前四半期の5億1,700万ユーロから7億3,500万ユーロに増加しました。

継続事業からの1株当たり利益は0.56ユーロ (基本的および希薄化後とも) で、前四半期は0.40ユーロでした。 調整後1株当たり利益 (希薄化後) は前四半期の0.49ユーロから0.63ユーロへ改善しました。

当社が有形固定資産および無形資産の購入額ならびに資産計上された開発費の合計として定義する 投資額は前四半期の5億4,200万ユーロから8億6,600万ユーロへと予想通り大幅に増加しました。 減価償却費および償却費は前四半期の4億2,200万ユーロに対し4億4,300万ユーロでした。

フリーキャッシュフロー は前四半期の4億4,400万ユーロから7億900万ユーロに改善しました。 継続事業での営業活動によるキャッシュフローは前四半期の9億9,600万ユーロから15億8,000万ユーロに増加しました。

2022会計年度第4四半期末 (2022年9月30日) 現在の グロスキャッシュポジションは2022会計年度第3四半期末 (2022年6月30日) 現在の35億6,900万ユーロから37億1,700万ユーロに増加しました。これはサイプレス社買収に関連し銀行から借り入れたタームローンの最終残高5億5,500万米ドルの早期返済を勘案したものです。この返済により 金融負債は第3四半期末の60億5,400万ユーロから第4四半期末現在56億6,200万ユーロに減少しました。 純金融負債は前四半期末の24億8,500万ユーロから19億4,500万ユーロに減少しました。

 

2023 会計年度第1四半期見通し

平均為替レートを1ユーロ=1.00ドルとする想定に基づき、当社は2023会計年度第1四半期の 売上高を約40億ユーロと予想しています。ATV事業部の売上高成長率はパーセント単位で1桁台前半と予想しており、CSS事業部の売上高は前四半期と同程度を見込んでいます。季節的要因により、PSS事業部の売上高成長率はパーセント単位で1桁台後半の減少、IPC事業部は約10%の減少 (いずれも対前四半期比) を予想しています。この予想売上高の水準が達成された場合、事業部合計利益率は約25%になる見通しです。

2023 会計年度通期見通し

平均為替レートを1ユーロ=1.00ドルとする想定に基づき、2023会計年度通期の 売上高は約155億ユーロ (±5億ユーロ) と予想しています。これは2022会計年度比で9%の成長率に相当します。ATV事業部の売上高成長率はグループの平均成長率を上回る見通しです。IPC事業部とCSS事業部の売上高成長率はグループの平均成長率と同程度を見込んでいます。PSS事業部の成長率はグループの平均成長率を下回ると予想しています。売上高が予想範囲の中心値の場合、調整後粗利益率は約45%、 事業部合計利益率は約24%となる見通しです。

2023会計年度通期では、有形固定資産および無形資産の購入額ならびに資産計上された開発費の合計として当社が定義する 投資額は約30億ユーロを計画しています。クリム工場 (マレーシア) における化合物半導体用第3製造モジュールの建設、上述のドレスデン新工場の建設着工、フロントエンド製造能力の継続的拡大 (特にドイツのドレスデンとオーストリアのフィラッハ) に重点を置きます。

減価償却費および償却費は約19億ユーロと予想しています。このうち約4億5,000万ユーロは、主としてサイプレス社の買収に伴う取得原価配分によるものです。フロントエンド施設の拡張計画を考慮し、 フリーキャッシュフローは約8億ユーロと予想しています。調整後フリーキャッシュフローは約15億ユーロ (通期の予想売上高の約10%) と見込んでいます。

現在、ウクライナにおける戦争、新型コロナウイルスのパンデミック、インフレ率の高止まりと金利の上昇など、地政学的およびマクロ経済的な様々な要因により、今後の売上高および利益を正確に予測することが困難となっています。

 

2022 会計年度配当案:1株当たり0.32ユーロ

当社は、株主が事業の成功からの恩恵を適切に享受できることを配当方針としています。2021会計年度は2020会計年度を0.05ユーロ上回る0.27ユーロの配当を実施しました。2022会計年度は、業績の継続的向上を反映して、2023年2月の年次株主総会で再び0.05ユーロの増額を提案する予定です。配当案が承認されれば2022会計年度の配当は1株当たり0.32ユーロとなります。この結果、配当総額は2021会計年度の3億5,100万ユーロに対し4億1,700万ユーロとなります。

2022 会計年度第4四半期 事業部別業績

2022会計年度第4四半期の ATV事業部の売上高は前四半期の17億100万ユーロから19億3,400万ユーロに増加しました。この14%の増加は主に、エレクトロモビリティ分野の売上と、運転支援システムおよびその他のアプリケーション向けマイクロコントローラーの売上の増加によるものです。 事業部利益は前四半期の3億9,900万ユーロから5億600万ユーロへと大幅に増加し、 事業部利益率は23.5%から26.2%に上昇しました。 

第4四半期の IPC事業部の売上高は前四半期の4億3,600万ユーロから5億4,200万ユーロへ増加しました。この24%の増加は、すべてのアプリケーション分野で売上が増加したことによるものです。特に、再生可能エネルギー、エネルギーインフラ、産業用ドライブの需要が堅調でした。 事業部利益は前四半期の8,200万ユーロから1億3,600万ユーロに増加し、 事業部利益率は前四半期の18.8%から25.1%へと大幅に上昇しました。

第4四半期の PSS事業部の売上高は前四半期の10億2,100万ユーロから11億6,900万ユーロへ増加しました。この14%の増加は、様々なアプリケーション分野における好調な需要によるものです。特に、屋上太陽光システム向けマイクロインバーター、電気自動車用充電ステーション、車載充電器の分野で活発なビジネストレンドが見られました。また産業用バッテリー駆動アプリケーション向けの半導体でも旺盛な需要が続きました。一方、スマートフォン用シリコンマイクロフォンや、PC、ノートブックPC、テレビ、ゲーム機用電源など、消費者製品の需要は低調でした。 事業部利益は前四半期の2億7,700万ユーロから3億3,800万ユーロに増加し、 事業部利益率は前四半期の27.1%から28.9%に上昇しました。

第4四半期の CSS事業部の売上高は前四半期の4億5,600万ユーロから4億9,200万ユーロに増加しました。この8%の増加は、コネクティビティ、マイクロコントローラー、ペイメント、政府系IDの分野の売上増によるものです。 事業部利益は前四半期の8,400万ユーロに対し8,600万ユーロでした。 事業部利益率は前四半期の18.4%に対し17.5%でした。

インフィニオンについて

インフィニオン テクノロジーズは、パワーシステムとIoTにおける半導体分野のグローバルリーダーであり、製品とソリューションを通じて、脱炭素化とデジタル化を推進しています。全世界で約56,200人の従業員を擁し、2022年会計度 (2021年10月~2022年9月) の売上高は約142億ユーロです。ドイツではフランクフルト証券取引所 (銘柄コード:IFX)、米国では店頭取引市場のOTCQX (銘柄コード:IFNNY) に上場しています。

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INFXX202211-025j

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  • Infineon Management Board (f.l.t.r.): Andreas Urschitz (CMO), Dr. Sven Schneider (CFO), Jochen Hanebeck (CEO), Constanze Hufenbecher (CDTO) , Dr. Rutger Wijburg (COO)
    Infineon Management Board (f.l.t.r.): Andreas Urschitz (CMO), Dr. Sven Schneider (CFO), Jochen Hanebeck (CEO), Constanze Hufenbecher (CDTO) , Dr. Rutger Wijburg (COO)
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  • Infineon is planning to continue expanding its 300-millimeter manufacturing capacity, to enable the expected acceleration in growth of analog/mixed-signal and power semiconductors. The intended location is Dresden (Germany).
    Infineon is planning to continue expanding its 300-millimeter manufacturing capacity, to enable the expected acceleration in growth of analog/mixed-signal and power semiconductors. The intended location is Dresden (Germany).
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