自動車の安全機能の信頼性向上に取り組む産学連携

2012/09/06 | ビジネス&フィナンシャルプレス

ノイビーベルク(ドイツ)

自動車線維持システムやブレーキ支援システムなどの、複雑な車載用マイクロエレクトロニクス システムにより、重大な交通事故の件数は減尐しています。こうした安全システムの多様化・複 雑化が進むことで、サプライヤー各社の提供するハードウェアとソフトウェアのコンポーネントは、極めて大きな需要が存在しているため、安全システムとそのコンポーネントの開発に、連携を向上させる必要があります。 これが、独インフィニオンテクノロジーズが率いる「VeTeSS」プロジェクトの目的です。VeTeSSは、「Verification and Test Support for Safety Standards(=安全規格の検証・試験支援)」の略で、安全システム全体の動作不良を招くサブコンポーネントの障害回避を支援するため、信頼性とコスト効果に優れた開発方法の標準化に取り組んでいます。

現在、VeTeSS研究プロジェクトには、自動車業界と関連分野から、欧州のパートナー企業計24社が参加しています。インフィニオン以外のドイツのパートナーとしては、フラウンホーファーIIS( 集積回路研究所)、TWT GmbH Science & Innovation社、ikv++ technologies社、exida.comが参加しています。本研究プロジェクトには、独 連邦教育研究省(BMBF)から250万ユーロ、欧州連合から320万ユーロの資金拠出が行われています。

VeTeSSのプロジェクト パートナーの目標は、安全システムとサブコンポーネントの開発について、ISO 26262に準拠した形で、新たな自動化プロセスを作成することにあります。V eTeSSでは、今回初めて、安全システムとサブコンポーネントの設計段階で、信頼性とパフォーマンスの試験に関する手順が標準化されることになります。これにより、早期段階でエラーを修正し、自動車の電気・電 子安全システムの品質と耐久性をこれまで以上に向上できるようになります。さらに、安全システムの効率性の実証で求められることの多い認証プロセスでのエラーのリスクが軽減されます。

VeTeSSについて:自動車の将来的な安全基準を満たす新たな設計方法
自動車の安全関連機能を担当する電気・電子システムは複雑化が進んでおり、その機能性を保証するための規格が、2011年末に導入されたISO 26262です。この規格では、自 動車の安全機能 の要件が定められているほか、開発プロセスの指針が盛り込まれています。現在、最新の半導体技術により、車載用電子制御モジュールのシステムのパフォーマンスとエネルギー効率は向上しています。 さ らに、これによって、小型化の進むトランジスタとより高度なシステムの使用が進んでいます。

しかし、複雑化が進むことで、開発プロセスでは設計に関するエラーのリスクが高まります。こうした理由により、この段階を通じ、電子システムとサブコンポーネントの試験と検証を行う必要があります。こ れまでのところ、各メーカーは、それぞれ独自の社内方法を開発してきました。しかし、ISO規格26262は、標準的で自動化された試験方法を規定しており、これは現在、V eTeSSのパートナー各社によって開発中です。これによって、サブコンポーネントを個々に認証して、特定のシステム全体と連携させ、電動パワーステアリングや電子安定性制御システム、ア ンチロックブレーキシステムといった各種システムに組み込むことが可能となります。

VeTeSSパートナーの任務
国際的に認められた認定団体であるexida.com - Excellence in Dependable Automationは、ISO 26262の導入おいてノウハウを共有し、VeTeSSの成果を産業アプリケーションに活用できるようにします。
フラウンホーファーIIS(集積回路研究所)の設計自動化部門は、高度なセンサ技術、マイクロコントローラ付きの電子制御ユニット、パワーエレクトロニクスなど、シ ステム全体を迅速に評価するための手法とツールを開発しています。ikv++ technologiesは、自動車市場向け分析・設計方法のサプライヤーとして、デ モンストレータの使用と開発に関する要件の策定に取り組みます。ISO 26262規格については、TWT GmbH Science & Innovationが、デ ジタル製品の開発に関するノウハウを持ち寄り、考えられるエラーを迅速・確実に特定するための複雑なシミュレーション方法を策定します。TWTは、ISO 2626 2ベースの情報管理向けの要件分析も担当します。インフィニオンは、ハードウェアとソフトウェアのコンポーネントの検証と、試験用ソフトウェアの開発を担当します。

ドイツのパートナーによる成果は、欧州のVeTeSSプロジェクト「ARTEMIS」に採用されます。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率モビリティセキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2011会計年度(9月決算)の 売上高は40億ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,000人です。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場しています。

インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp

Information Number

INFXX201209-060