インフィニオン、第4四半期に純利益を計上、フリーキャッシュフローも好調

2009会計年度末のバランスシートと手持ち現金残高も堅調

2009/11/19 | 四半期レポート

ノイビーベルク(ドイツ)

独インフィニオンテクノロジーズは本日、2009年9月30日を末日とする2009会計年度第4四半期ならびに通年の業績を発表しました。(1)

第4四半期:コスト抑制策と経済回復により純利益を計上、フリーキャッシュフローも好調
2009会計年度第4四半期のインフィニオンの売上高は8億5,500万ユーロで、前四半期比では12%の大幅増を達成しました。前年同期比では18%減でした。事 業部業績合計は5,200万ユーロの利益で、前四半期の損益分岐点から大きく改善しました。継続事業からの利益は2,400万ユーロで、前四半期の継続事業からの損失2,600万ユーロから改善しました。純 損益も、前四半期は2,300万ユーロの純損失でしたが、これに対し1,400万ユーロの利益を達成しました。第4四半期の継続事業からのフリーキャッシュフローは1億5,100万ユーロで、こ れに対し前四半期の継続事業からのフリーキャッシュフローは1億4,300万ユーロでした。

インフィニオンテクノロジーズのピーター・バウアーCEOは次のように述べています。「純利益や、継続事業から1億5,100万ユーロのフリーキャッシュフローを達成するなど、第 4四半期の業績改善は、コスト削減努力と厳しいコスト規律の継続、すべての事業部門にわたる需要の回復を反映したものです。この勢いをさらに発展させ、極 めて厳しいながらもインフィニオンの歴史において最も驚くべき改善を達成したこの会計年度を振り返りたいと思います。2010年度については、ターゲットとする4つの市場においてシェアを拡大し、持 続可能な業績改善を達成する準備が整っています。」

この売上高の拡大は、経済回復に加え、サプライチェーンとエンド顧客サイドでの需要改善に支えられ、4つの事業部門すべてにわたる成長が反映されています。

第4四半期の事業部業績合計は、前四半期の損益分岐点から大幅に改善して5,200万ユーロとなりました。インフィニオンの4つの事業部すべてが利益を計上しました。こ の利益改善の原動力となったのは、売上高の拡大、厳しいコスト管理の継続、工場負荷率の上昇でしたが、一部は米ドルの対ユーロ安によって相殺されました。

第4四半期の継続事業からの利益は前四半期から大きく改善して2,400万ユーロとなり、継続事業からの基本および希薄化後一株あたり利益は0.03ユーロでした。前 四半期の継続事業からの損失は2,600万ユーロで、継続事業からの基本および希薄化後の一株あたり損失は0.03ユーロでした。

第4四半期の非継続事業からの法人税差引後損失は1,000万ユーロでした。この金額には、有線通信事業部(ワイヤーライン・コミュニケーション:WLC)からの純利益も含まれていますが、こ の事業がGolden Gate Private Equity Inc.の関連会社であるランティク(Lantiq)へ売却されたのに伴い、イ ンフィニオンの連結財務諸表では2009年度通年および前四半期とも非継続事業に分類されています。この売却は2009年11月6日に完了しました。

第4四半期の純利益は1,400万ユーロで、前四半期の2,300万ユーロの純損失から大きく改善しました。第4四半期の基本および希薄化後一株あたり利益は0.02ユーロで、こ れに対し前四半期の基本および希薄化後一株あたり損失は0.03ユーロでした。

第4四半期のインフィニオンの継続事業からのフリーキャッシュフローは1億5,100万ユーロで、これに対し前四半期の継続事業からのフリーキャッシュフローは1億4,300万ユーロでした。前 四半期と比較してフリーキャッシュフローが拡大したのは、業績が改善したこと、運転資金の厳格な管理を継続したこと、設備投資(CapEx)が減少したことを反映しています。資 産化された無形資産を含む第4四半期のCapExは4,000万ユーロで、これに対し前四半期は2,500万ユーロでした。有形および無形資産の原価償却額は1億1,400万ユーロで、こ れに対し前四半期は1億2,800万ユーロでした。継続事業からのフリーキャッシュフローには、IFX10+コスト削減プログラムに伴う1,200万ユーロの支出も含まれています。

第4四半期末のグロス現金残高は、前四半期末から6億3,600万ユーロ増の15億700万ユーロでした。これには、8 月に完了した第三者割当増資の成功と好調なキャッシュフローが反映されていますが、簿 価総額1億1,500万ユーロの2010年付け転換社債および他社株転換社債を任意で買い戻し償却したことで一部相殺されました。この金額には、他 社株転換社債の最終的償還を任意で前倒ししたものも含まれています。さらに、第4四半期のグロス現金残高は、その他の負債6,800万ユーロを償還したことで一部相殺されました。イ ンフィニオンの現金残高は第3四半期末時点では1億5,100万ユーロの純債務でしたが、2009年9月30日時点では6億5,700万ユーロの純現金残高に黒字転換しました。

2009年度末は堅調なバランスシートと純現金残高を達成
インフィニオンの2009年度の売上高は30億2,700万ユーロで、ターゲットとする市場すべてにおいて半導体需要が縮小したことを反映して、前会計年度から22%減となりました。2 009年度の事業部業績合計は1億6,700万ユーロの損失で、これに対し前年度は2億3,700万ユーロの利益でした。継続事業からの損失は2億7,300万ユーロで、前 年度の継続事業からの損失額2億400万ユーロから拡大しました。2009年度の継続事業からの基本および希薄化後一株あたり損失は0.32ユーロで、こ れに対し前四半期の基本および希薄化後一株あたり損失は0.23ユーロでした。

2009年度の非継続事業からの法人税差引後損失は3億9,800万ユーロで、前年度の非継続事業からの法人税差引後損失35億4,300万ユーロから改善しました。この前年度からの変化は、主 にキマンダ関連の費用が減少したことを反映しています。キマンダの倒産手続に伴い、インフィニオンは2009年度第2四半期付けでキマンダを連結対象から外しました。非 継続事業からの基本および希薄化後一株あたり損失は0.41ユーロで、これに対し前四半期の非継続事業からの基本および希薄化後一株あたり損失は3.38ユーロでした。2 009年度の純損失は6億7,100万ユーロで、前年度の純損失37億4,700万ユーロから大きく改善しました。2009年度の基本および希薄化後一株あたり損失は0.73ユーロで、こ れに対し前年度は3.61ユーロでした。

他社株転換社債の任意早期償還などの負債償還を含め、2010年付け他社株転換社債および転換社債を任意で買い戻し償却したにもかかわらず、2 009年度末に向けたフリーキャッシュフローの大幅な改善と資本調達の成功により、インフィニオンの2009年9月30日時点のグロス現金残高は15億700万ユーロとなり、2 008年度末時点の8億8,300万ユーロから改善しました。2009年度には、短期および長期負債が総額3億2,000万ユーロに減少し、2 009年9月30日時点での純現金残高は6億5,700万ユーロとなりました。これに対し2008年度末時点の純現金残高は2億8,700万ユーロの負債でした。

2010年度第1四半期の見通し
為替の悪影響と一時的人件費削減策終了にもかかわらず売上高と事業部業績合計は横ばい
2009年11月6日にランティクへの有線通信事業売却を完了した後、インフィニオンとランティクは各種製品供給と事業移行サービスに関する契約を締結しました。こ の売却完了時点から、ランティクとの事業は、継続事業内のその他の事業部門(Other Operating Segments)に計上されます。

2010年度第1四半期について、製品供給契約に基づくランティクへの販売を含め、グループとしての売上高が2009年度第4四半期からほぼ横ばいになると予想しています。車載製品(ATV)事業部、 産業・マルチマーケット(IMM)事業部の売上高は引き続き拡大する見込みです。チップカード&セキュリティ(CCS)事業部の売上高には季節的な低下が発生すると予想されます。ワイヤレス・ソ リューション(WLS)事業部の売上高には、米ドルの対ユーロ安による引き下げ効果が発生する見込みです。

一時的人件費削減策(操業短縮と無給休暇)の終了により、2010年度第1四半期の営業経費は2009年度第4四半期と比較して約2,500万ユーロ増加する見込みです。この経費拡大と、1 .50と想定される米ドル/ユーロ比にもかかわらず、第1四半期の事業部業績合計が第4四半期からほぼ横ばいになると予想しています。需要拡大と低い在庫水準に基づき、イ ンフィニオンは第1四半期を通じて生産水準をさらに引き上げます。設備稼働率改善による利益押し上げ効果が前述の悪影響を相殺すると予想されます。

2010会計年度の見通し
売上高は10%以上拡大、事業部損益は1桁台半ばの利益

世界経済の安定または成長を前提として、米ドル/ユーロ比を1.50とした場合、2010年度の売上高は、現在の好調な需要と受注水準により10%以上の成長を遂げる見込みです。当 社の全事業部門において売上高が拡大することでこの売上高増加が推進されますが、特にATM事業部での成長が牽引する一方、WLSとIMM事業部の売上高拡大は比較的小さく、C CS事業部の成長は最も低調と予想されます。その他の事業部門(Other Operating Segments)の売上高には、Lantiqとの製品供給契約により、5 ,000万~1億ユーロ程度の押し上げ効果が予想されます。

2010年度の事業部業績合計が2009年度から大幅に改善し、事業部合計の利益率も大きく改善して1桁台半ばを達成すると予想しています。売上高の見通しと同様、こ の予想でも世界経済が安定または成長し、生産能力の稼働率が大きく低下することはないことを前提としています。一時的コスト削減策の終了、米ドルの対ユーロ安による悪影響にもかかわらず、売上高の拡大、製 造施設稼働率の大幅な拡大、コスト管理の継続により、事業部業績合計が好調に回復すると予想しています。

2010年度の見通しにおいては、インフィニオンがフランスの製造合弁であるALTISの売却を2010年度上半期中に完了することが想定されています。これが実現しない場合、イ ンフィニオンはすべての選択肢について再検討を余儀なくされます。想定可能なすべてのシナリオにおいて、いずれの事業部にも属さないこの業績の一部として、一時的な費用の計上を予定しています。

2010年度の資産化された無形資産を含むCapExは、2009年度の1億5,400ユーロから約2億2,000万ユーロ~2億5,000万ユーロに増加する見込みです。2 010年度の有形および無形資産の原価償却額は、2009年度の5億1,300万ユーロから約4億ユーロに減少する見込みです。

「2009年度に行った大規模なコスト削減策と資本調達の成功により、バランスシートが安定すると共に、財務的な自由度と柔軟性が高まりました。売上高と利益率を持続可能な形で拡大し、株 主などの利害関係者にも等しく価値を生み出すことが、今後も変わらぬ目標となります。」とCEOのバウアーは述べています。

第4四半期には売上高拡大とすべての事業部での利益計上を達成
第4四半期のATV事業部の売上高は、需要とサプライチェーンの在庫補充が安定化または成長したことで、前四半期から大きく拡大しました。ATV事業部の利益は、売 上高の大幅増と、生産水準拡大という好影響により、前四半期から大きく改善しました。

IMM事業部の売上高は、一般的な季節変動に加え、コンピューティング、通信、産業用製品に対する顧客需要がアジアを中心に好調であったため、前四半期から大きく拡大しました。売 上高拡大には世界的なサプライチェーンの在庫補充も貢献しましました。IMM事業部の利益は、売上高拡大と工場負荷率改善により、前四半期から大きく改善しました。

CCS事業部の売上高は、同事業部のほぼすべての事業で販売個数が増加したことにより、前四半期から拡大しました。CCS事業部は利益を計上しましたが、前四半期をわずかに下回りました。売 上高と工場稼働率が拡大しましたが、研究開発プロジェクトの費用増大、製品ミックスの大量生産品への移行を完全に相殺するには至りませんでした。

第4四半期のWLS事業部の売上高は、超低コスト携帯電話、エントリークラスの携帯電話、無線受信装置を中心に、大手携帯電話関連の顧客から需要が拡大したため、前四半期比で拡大しました。第 3四半期の同事業部の売上高にはライセンスフィーも含まれていたため、WLS事業部の利益は前四半期からわずかに減少しました。この影響を除外した場合、売上高拡大を主要因として、同 事業部の利益は前四半期比で増加しました。
本プレスリリースの時点において、インフィニオンは近く発売予定の65ナノメートルHSUPAプラットフォームのXMM™6160に関して4社の主要顧客から契約を獲得しています。

(1) Golden Gate Private Equity Inc.の関連会社であるランティク(Lantiq)へのワイヤーライン・コ ミュニケーション事業部の売却は2009年11月6日に完了しました。本プレスリリース中の記載は、特に注記のない限り、この事業部を除いた業務に基づくものです。

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INFXX200911.011

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