インフィニオンが戦略的事業再編を発表- 市場とビジネスプロセスの変化に対応 -

2005/11/17 | ビジネス&フィナンシャルプレス

独インフィニオンテクノロジーズは、2005年11月17日の監査役会にて、取締役会より提案された戦略的事業再編を承認しました。この再編成により、イ ンフィニオンはロジック事業とメモリ事業に注力する各々独立した2社に分かれ、市況やビジネスプロセスの変化に代表されるようなインフィニオンのターゲット市場の構造的変化に対応していきます。また、2 006年7月1日までに、メモリ事業部門は法的に独立した法人として分社化され、インフィニオンはこのメモリ事業会社の新規株式公開も視野に入れています。インフィニオンは、新 設されるメモリ事業会社の親会社として、AIM(自動車・産業・マルチ市場)部門とCOM(通信)部門の2事業部門で構成されるロジック分野に注力した事業を展開します。


戦略的再編の理由について
独インフィニオンテクノロジーズの取締役会会長であるヴォルフガング・ツィーバルトはこう述べています。「この事業再編の理由は大きくふたつあります。ひとつは、ロ ジック事業とメモリ事業とでは、そのビジネスプロセスおよびビジネスモデルが異なった方向に向かって成長していること。もうひとつは、分社化することによってそれぞれの成長力と収益性を高められることです。メ モリ事業については、製品化までの期間短縮、生産性の向上、大きな投資を支える継続的な資本の充足が不可欠です。ロジック事業については、アプリケーションについての深い理解が必要であり、顧 客からの個別の要求を満たす革新的な半導体ソリューションの提供が不可欠です。」


優れた製品ポートフォリオと、技術面・コスト面で市場をリードするメモリ製品
インフィニオンの新規株式公開以来、メモリ製品事業は市場におけるポジションを大きく改善し、今日では世界のメモリ製品市場をリードするサプライヤーとなっています。また、連 結ベースでも、新規株式公開以来メモリ製品はインフィニオンのEBIT(金利税引前利益)に大きく貢献しています。ターゲットとするアプリケーションが拡大し、メ モリ製品市場はまだ大きな成長性と新しいビジネスの可能性を秘めています。製品開発力と規模を備えたメモリ事業者のみが成功することができます。イ ンフィニオンの戦略的な事業再編が生み出す法的に独立したメモリ事業会社は、世界市場をリードしさらなる成長に向けた大きな可能性を持っています。独立した法人となることは、資 本市場への直接的なアクセスと相まって、戦略的提携に向けた柔軟性が向上し、資金調達のオプションを広げることにもつながります。メモリ製品事業ではまず、開発技術の活用によって製品ラインナップを拡充し、サ ーバ、グラフィクス、コンシューマ製品や通信向けアプリケーション分野のような利益率の高い製品の売上を徐々に増加させます。今日、インフィニオンは300mmウェハ製造技術におけるリーダーとなっています。メ モリ製品事業では、製造過程における300mmウェハの占める割合を増加させ、さらなる微細化の実現により、製造コストを大幅に削減する計画です。ま た開発と製造分野における既存のパートナーシップを継続していくことにより、設備投資を最小限に抑えながら、同時に研究開発投資を確保していくことを可能にします。インフィニオンは、メ モリ製品事業部門を独立した法人とすることで、以上に述べたような成功の機会を逃すことなく、メモリ製品事業において最良のポジションを獲得するものと考えています。新会社の本社部門は引き続きドイツに置かれ、技 術開発拠点はドレスデンとなります。インフィニオンの取締役の一人であり、メモリ製品事業グループの責任者であるキン・ワー・ローが、新しいメモリ事業会社を統率していく予定です。


明確に定義されたコアコンピテンシーと、さらに顧客志向が強化されるロジック事業
ロジック事業はAIM部門とCOM部門から成ります。インフィニオンは、アナログ/ミックストシグナル、パワーデバイス、RFチップ、エンベデッド・コントロールの分野において、 その中核技術をさらに強化していきます。インフィニオンは以下の6分野において、アプリケーション開発能力を活かしながら、さらに顧客を第一に考えたソリューションを提供していきます。(1)車載用デバイス( 2) 産業用電子機器およびパワーマネージメント(3)チップカードICとセキュリティ関連デバイス(4)RF用ソリューション(5)モバイル通信用プラットフォーム(6)ブロードバンド通信、です。  加えてインフィニオンは製造における優位性と製品のノウハウを、他のアプリケーション分野にも活用していく予定です。今日、インフィニオンはこうしたアプリケーション分野において市場を牽引するポジションにあり、 競合他社を凌ぐ収益をあげる見込みがあります。インフィニオンは、予想されるメモリ事業会社の新規株式公開による利益を、ロジック事業部門拡大のための投資にも充てる予定です。


選択的な製造戦略が競争力をさらに強化
将来にわたり、インフィニオンはロジック事業において厳選された生産戦略を実行していきます。インフィニオンは今後とも、競 争力の優位性が明確な先端技術の開発および生産能力に対し継続的投資を行います。こうしたインフィニオンの生産戦略の一例として、ドイツのレーゲンスブルグとオーストリアのフィラッハの生産拠点、お よびマレーシアのクリムに設立されるパワー半導体製造の新拠点が挙げられます。標準的なCMOS技術の分野では、インフィニオンは開発及び製造におけるパートナーシップの強化を図りつつ、ド レスデンとフランスのエソンヌにある既存の生産拠点を活用していく予定です。こうしたパートナーシップの例としては、90nm技術でのUMCとの協力、65nmおよび 45nm技術におけるChartered Semiconductors, IBMやサムスンなどとの協力が挙げられます。現時点では、インフィニオンが自社で65nm生産施設を建設する予定はありません。


メモリ、ロジック両事業にとっての成長の可能性
ツィーバルトは、「メモリ事業、ロジック事業の両ビジネスは、それぞれの注力する事業分野で、マーケットリーダーとなる可能性を拡大し、そ れぞれが顧客満足度の向上と力強い成長を達成します」と、述べています。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の子会社を拠点として活動しています。2004会計年度(9月決算)の売上高は71億9,000万ユーロ、2004年9月末の従業員数は約35,600名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト: http://www.infineon.com

Information Number

INFXX200511.017