インフィニオンが台湾のファブレス半導体企業を買収初のアジア企業買収で通信事業を一層強化

2004/01/28 | ビジネス&フィナンシャルプレス

世界第6位の半導体メーカーでブロードバンド・アクセスICの先導プロバイダの1社である独インフィニオンテクノロジーズは、台湾のファブレスIC設計会社、上元科技(ADMtek、本社:新竹)に 約8,000万ユーロの現金により同社を買収する契約を締結したと発表しました。8 ,000万ユーロのなかには手続き完了後2年以内に業績や開発成果が所定の目標に到達した時に支払われる報奨金約2,000万ユーロが含まれます。この買収に伴い、インフィニオンは新竹に本社を置く新会社「 Infineon ADMtek(Infineon ADMtek Co. Ltd.)」を設立します。新会社はブロードバンドCPE(顧客構内装置)用ICの開発を専門とし、そ れを足がかりにインフィニオンはホームゲートウェイ市場に参入します。インフィニオンがアジアの半導体企業の経営権を取得するのは初めてです。

CPE製品に関する上元科技のノウハウと局用分野でのインフィニオンの強力な立場とノウハウを結合し、さらに双方の顧客基盤を補完し合うことで、急成長するブロードバンド・ア クセス市場でインフィニオンの先導的地位は一段と強化されます。今後、インフィニオンは顧客企業に、豊富な機能を持つマルチメディア・ホームゲートウェイ向けの完結したICソリューション・パッケージを提供し、高 速有線および無線通信の先進的サービスを支援します。今回の買収で、インフィニオンはさらに広い市場に参入し、ADSLやVoice over Internet(VoIP)な ど鍵となる分野で新規ビジネスを開拓できるようになり、有線通信グループのアクセス分野の活動に一層拍車がかかります。

また、今回の取引の一部として、インフィニオンは智邦科技(Accton Technology)とその子会社にブロードバンドCPEソリューション用の製品を供給し、智 邦との間で互恵的な長期提携関係を築きます。現時点では、智邦科技はその子会社と合わせて上元科技の筆頭株主です。

今回の買収はまた、強力な研究開発センター、有利なコスト構造をインフィニオンにもたらすと同時に、世界のブロードバンド・モ デムやルータCPE市場の70パーセント以上を押さえる台湾の主要オリジナル機器メーカー(ODM)各社と近接することになります。台湾に設立されるInfineon ADMtekは、中国や日本など、世 界で最も急成長している多くの市場に近接した地の利を活かします。これは、アジアにおける強力な地盤を一層強固にするインフィニオンの成長戦略に沿った布石です。

インフィニオンのトーマス・ザイフェルト(有線通信グループ最高責任者=CEO)は、「最近の調査によれば、ブロードバンド・アクセス市場のユーザ数はざっと1億を超えます。そ れらユーザは先進的なブロードバンド・サービスを求めていますが、そうしたサービスを提供するには、使いやすく、安価な単一のホームゲートウェイが必要です。このたびの買収で、イ ンフィニオンはますます増加する顧客企業に対して、局用製品やCPE製品を含む、フル機能のエンド・ツー・エンド・ブロードバンド・アクセス技術を提供する体制が整います。インフィニオンは、そ の市場を担うシステムメーカー向けのマルチメディア・ゲートウェイ・ソリューションのリーディング・プロバイダを目指して、好位置につけています」と、語りました。

上元科技のトニー・チャン(Tony Chang)最高経営責任者(CEO)は、「当社はブロードバンド通信のグローバル・リーダーであるインフィニオンと力を結集する機会を得たことをうれしく思います。当 社の経験豊富な技術陣はかねてより、世界中の新しい仲間と協力できることを楽しみにしています。その仲間と共に、当社はInfineon ADMtekを次のレベルへ前進させ、ブ ロードバンドCPE市場の主力としての当社の地位を一段と強化します」と、述べました。

今回の買収は、台湾の法律では合併とみなされ、2004年4月に完了する予定です。完了には、上元科技の株主の承認や所轄の独禁当局を含む各種行政認可を必要とします。

アクセス市場に関しては、規模や成長度の点で最も魅力的な分野と目されるのがxDSLです。xDSL製品の販売は2003年から2007年の間に年平均12パーセントの成長をみせ、2 007年までに約12億米ドルの規模に達すると予測されています(iSuppliの報告による)。その間、ADSLチップセットの販売が、下位区分として最大の割合を維持する見通しです。x DSLのうちCPE分野は2007年のxDSL市場でおよそ3分の2を占める見込みです。次期アップグレード・サイクルでは在来の音声機器はデータ機器に取り替えられるとみられ、従 ってxDSLは2007年以降も需要増大が期待されます。

銅線回線数に関しては、世界中のその回線設置数は約15億回線といわれており、銅線を介したインターネットの利用者数を考えるとDSLには長期的に膨大な将来性があります。

上元科技について

上元科技(ADMtek Inc.)は1997年に設立されたネットワークキングおよび通信専門のファブレスIC設計会社で、特 にアジアの主要なODMやOEMメーカーを含めて幅広い顧客基盤を有しています。本社は台湾の「シリコンバレー」といわれる新竹科学工業園区にあります。従業員数は約175人で、大半は研究開発要員です。2 003暦年の上元科技の未監査売上高は4,320万米ドルで、うち同年第4四半期は1,240万米ドルでした。

智邦科技について

智邦科技(Accton Technology Corporation)は1988年に設立され、やはり台湾の新竹に本社を置き、ハブ、スイッチ、インターネット・アクセス・ デバイス、無線ソリューションなど、Ethernet、Fast Ethernetおよびギガビット級の各種先進通信製品を提供しています。世界従業員数は2,000人以上、うちエンジニアは約1,000人で、 2 002会計年度(12月期)の売上高は4億7,600万米ドルでした。同社は、台湾証券取引所に上場しています。
http://www.accton.com

なお、一般的なビデオ材料は下記サイトからダウンロードできます:
http://www.thenewsmarket.com

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

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INFXX200401.032