インフィニオンテクノロジーズが2003年4~6月の四半期業績を発表

2003/07/22 | ビジネス&フィナンシャルプレス

世界第6位の半導体メーカーである独インフィニオンテクノロジーズが、2003年6月30日に終了した2003会計年度第3四半期業績(2003年4~6月)を発表し、売上高(継続事業のみが対象)が 14億7,000万ユーロと対前年同期比で11パーセント増を示し、対前四半期比ではほぼ横ばいを保ったと発表しました。

第3四半期の純損益は、1億1,600万ユーロの欠損でした(前四半期は3億2,800万ユーロの欠損、前年同期は7,600万ユーロの欠損)。前四半期に比べた力強い改善は、生産性向上、一 層の経費削減および在庫評価効果が前四半期ほどではなかったことが主因です。第3四半期の赤字には、カタマラン・コミュニケーションズ社への出資に絡む無形資産(営業権)の特別償却費6,800万ユーロが含まれ、 また、租税特典額1,000万ユーロも算入されています(前四半期は租税負担額が9,600万ユーロでした)。

EBIT(利息・税引き前損益)は1億1,500万ユーロの欠損で、赤字幅は前四半期の2億2,300万ユーロより縮小しましたが、前年同期の1億1,100万ユーロをやや上回りました。

インフィニオンテクノロジーズのウルリッヒ・シューマッハ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「現在、特にDRAMで市場環境に前向きの動きがみられますが、不 利なユーロの対ドル相場や相変わらずの強い価格圧力が響き、第3四半期は依然厳しい状況でした。しかし、大半の事業部門では堅実な収入をあげており、対 前四半期では2億1,200万ユーロの赤字縮小を達成しました。特別償却費を除けば、純赤字は4,800万ユーロに収まりました」と、語りました。

1株当たりの欠損額(基本および希釈)は0.16ユーロでした(前四半期は0.45ユーロの欠損、前年同期は0.11ユーロの欠損)。

研究開発費は前四半期の2億5,400万ユーロを上回る2億7,300万ユーロで、売上総額に対する研究開発費の比率は19パーセントでした。この増加は主に、3 Gや光ネットワーキング関連の追加的な技術投資によるものです。SG&A(販売費および一般管理費)支出は、総売上高の11パーセントに相当する1億5,800万ユーロで、前 四半期の1億6,400万ユーロより低下しました。これは特に経費削減策の効果を反映したものです。

地域別売上高をみると、欧州以外の地域での売上高が総売上高の57パーセントを占め、その比率は前四半期の56パーセントから上昇しました。6月30日現在の総従業員数は世界全体で3万1,600人、 うち約5,700人が研究開発関係に従事しています。

第1~第3四半期の通期決算
第1~第3四半期の通期では売上総額は44億ユーロで、前年同期の36億ユーロに比べて22パーセント増加しました。純 赤字幅は前年同期の5億1,500万ユーロから4億8,400万ユーロに縮小しました。EBITは3億6,900万ユーロの欠損で、赤字幅は前四半期の8億4,500万ユーロから大きく縮小しました。

第3四半期の製品グループ別売上高
第3四半期の事業グループ別業績では、自動車&産業グループの売上高が3億5,100万ユーロで、対前四半期比で1パーセントの微減、対前年同期比では14パーセントの伸びとなりました。対 前四半期比でやや下がったのは、前四半期にはライセンス収入の臨時的な帳簿記入があったことによります。当部門は、200mmウェハ生産への転換継続や設備のフル稼働を背景にした生産性向上により、引 き続き高い収益性を維持しています。

インフィニオンは、次世代エンジン管理分野で「TriCore」マイクロコントローラ技術により、欧州市場でリーディング・ポジジョンを確保しています。また、パワー・マネジメント&サプライ・ア プリケーション分野では、「CoolMOS」および「OptiMOS」技術を軸に、主にPC向けに市場シェアを拡大し続けており、特にアジアで強さを発揮しています。当 社は2003年6月にはセンソノール社を買収し、磁気、圧力および温度センサや加速度センサを含む、先進的な自動車用センサ技術の製品ラインナップを拡充しました。ストラテジー・アナリティクスの調べでは、イ ンフィニオンの自動車&産業グループは2002年には引き続き市場平均を上回る好成績をあげており、欧州市場では15パーセント以上のシェアを押さえて首位を一段と固め、世 界市場では同8パーセントで第2位にランクされています。

有線通信グループの売上高は1億1,900万ユーロで、対前四半期比では6パーセント、対前年同期比では17パーセントの伸びをみせました。対前四半期比で伸びたのは主に、ア クセス製品と光通信製品の販売増によります。ADSL市場では、当社は「Geminax」チップセット技術で主要顧客企業の設計商談の成約が続き、市場地位が大いに強化されています。また、「 Triport-Bidi」トランシーバなどの新しい光通信製品も立ち上げました。「Triport-Bidi」トランシーバは、ファイバ増設なしに、1本の光ファイバ上でアナログTV、テ レフォニおよび高速インターネットを伝送できるようにするものです。

セキュア・モバイル・ソリューションズ・グループの第3四半期の売上高は3億8,700万ユーロとなり、対前四半期比では3パーセント増、対前年同期比でも18パーセントの増加をみせました。前 四半期からの増加は特に、セキュリティ・ソリューションやBluetoothを中心とするLANがけん引したものです。

インフィニオンはドイツの全国IDプロジェクトで先導的立場を一層強めており、ドイツ連邦内務省との間で、公共サービスや民間企業および各家庭で利用されるIT(情報技術)シ ステムのセキュリティレベルを向上させるための、健全な技術基盤を構築するセキュリティ協力の提携関係を結びました。当社はまた、PCや自動車および民生機器などに使用される、高性能「SingleStone」B luetoothモジュールも投入しました。さらに、2003年6月には、エリクソン社との間で、移動電話や無線インフラ技術の広範な分野での戦略提携を強化することを狙いに、インフィニオンがエリクソン・マ イクロエレクトロニクス部門を買収する修正契約に調印しました。

メモリ製品グループの売上高は5億6,900万ユーロで、対前四半期比では7パーセントの低下でしたが、対前年同期比では4パーセントの増加をみせました。前四半期より低下した理由は主に、不 利なユーロ相場、メモリ製品の平均価格がやや下がったこと、ライセンス収入繰り延べ額が3,600万ユーロと低めだったことなどです。シューマッハは、「DRAMの平均販売価格がやや下がったにもかかわらず、当 社メモリ製品グループは採算性を確保し、先行する300mm生産でDRAM市場でのコスト優位性を保っています。ドレスデンの300mm生産拠点では週あたりウェハ投入量が6,400枚近くに達しています」と、述 べました。

インフィニオンは、0.11μm技術による256M DDR DRAM量産製品でインテル社からの認定を受け、その製品のDDR400資格を取得しました。さらに当社は、先進的な110nm CMOSプロセスを用いて製造される、1GビットDDR(ダブルデータレート)シンクロナスDRAM(SDRAM)のサンプルについて、顧客企業から大変よい評判を得ています。インフィニオンはまた、I BMと共同で、先端的なMRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)を開発し、高速128KビットMRAMコアを発表しました。このMRAMコアは、デ スクトップPCやノートPCにアクセス高速化、メモリ増大、消費電力低減のメリットをもたらし、現在の主流であるDRAMやSRAMおよびフラッシュメモリ技術にとって代わる可能性を秘めています。加えて、イ ンフィニオンは、サイプレスおよびマイクロン・テクノロジーズ両社と共同で、将来の移動通信アプリケーションに向けた「CellularRAM」の最初のサンプル出荷開始を発表しました。

2003会計年度下半期の見通し
「第3四半期には、前向きの市場傾向をうかがわせる最初の兆しがみられました。このため、本年度下半期にはロジックとメモリ製品の両分野で需要の力強い改善が期待されます。世界経済の不透明が続き、当 社がターゲットとするアプリケーション分野で消費者需要を予測するのは困難ですが、当社は今後とも、成果をあげている経費削減・事業再構築プログラムの実行に力を入れます」と、シューマッハはコメントしました。

備考
上記は、発表原文からの抜粋日本語訳です。財務諸表を含むプレスリリースの全文(英語版PDFファイル)は次のURLからダウンロードしていただけます:
http://www.infineon.com/cmc_upload/INFXX200307-107e_1.pdf


Information Number

INFXX200307.107

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