インフィニオンがリストラクチャリングを加速

2003/04/29 | ビジネス&フィナンシャルプレス

独インフィニオンテクノロジーズは、すでに着手している全社的リストラクチャリング(事業再構築)計画をさらに加速するため、広範な対策の導入を進めています。社長兼最高経営責任者(CEO)のウルリッヒ・ シューマッハは記者会見で、「黒字転換と成功の持続とが、当社の最優先課題です」と説明しました。厳しい状況が続く市場環境を乗り切るため、インフィニオンは大幅な経費節減に取り組んでいますが、そ の軸となるのが、会社構造の一段のスリム化と「Agenda 5-to-1」戦略の実行です。

経費削減
2001年夏に、当社は意欲的な経費削減計画「インパクト」を発表しましたが、これにより、すでに28億ユーロの節減を達成しました。続く第2弾の計画「インパクト2」では、企 業プロセスと企業構造の最適化を目指しています。それにより、さらに5億ユーロの経費削減を予定しており、うち現会計年度には5,000万ユーロの削減を見込んでいます。その節減効果の大半が、来 年度決算のEBITに反映されるでしょう。経費削減を牽引する主な対策は、個々の事業ユニットの再配置と外部サービス・プロバイダへのアウトソーシングです。

厳しい市場環境に対処するため、当社は人員削減も計画しています。最大900人の削減を予定しており、コーポレート関連の諸部門で500人、さらに、スウェーデンを中心にセキュア・モバイル・ソ リューションズ・グループで150人を削減し、他に、移転やアウトソーシングによる減量を図ります。

分散化
分散化をさらに推し進めるため、当社は、自動車&産業エレクトロニクス・グループの業務をオーストリアのフィラッハに移転します。当グループは6四半期連続で売上高の新記録を更新していますが、そ の統括拠点をフィラッハに移します。フィラッハではこれまで、研究施設と生産施設の近接が好結果を生んでいます。この再配置により、当社は研究現場と生産現場間の距離をもっと縮めて、新 製品をより迅速に市場投入できる体制を整えます。移転に伴い、フィラッハの雇用数は約2,400人となります。

当社は、事業ユニットの分散化、地域ごとの権限強化を「Agenda 5-to-1」戦略と並行的に進めて、効率向上を図ります。すでにその方向へと進み始めており、米 国とアジアで地域でのプレゼンスを一層強化する形で実行に移していますが、その路線を継続し、これが当社の企業戦略の主軸の一つとなります。シンガポールでは、将 来のアジア本部となる新社屋建設の定礎式が4月に行われました。そこでは2,000人余りが勤務します。インフィニオンは重要な成長市場であるアジアに、今後4年間に15億ユーロ以上を投資します。また、カ リフォルニア州サンノゼとは別に、米国東岸地域に新しい対米拡張拠点を設けることを目下計画中です。

新しい本社構想
インフィニオンは、ドイツ国外への本社移転による財務上のメリットを検討中です。現在、アジア、米国および欧州(特にスイス)で候補地を調べています。それにより、新 技術やインフラへの投資面で経費削減が期待されます。

ドイツの立地
インフィニオンは、激烈なグローバル競争に持ちこたえなければならず、経営上、最も有利な一般条件がそろった場所に本拠地を移すことを考えています。「ドイツは特に、研 究開発要員など高度なスペシャリストの人材を集めやすいという点から、インフィニオンにとって、今後も魅力的なサイトであり続けるでしょう。しかし、例えば管理機能など、様 々な企業活動は国外に移転した方がもっと効率的に行うことができるというのが、国外移転を検討している動機です。遠い先までを見据えた当社の諸対策は、グローバルな成功の足場を固めるのが狙いであり、それは、長 期的にドイツの雇用維持にも結びつくはずです」と、シューマッハは語りました。

インフィニオンは近年、市場地位を着実に強めており、市場低迷期においても、市場全体の平均よりも高い伸びを示しています。例えば、現会計年度上半期には28パーセントの増収を達成しました。2 003暦年の世界市場全体の成長率は目下、11パーセントと予測されています。

とはいえ、ここ2年、世界の半導体市場の低迷が続き、市場動向が依然として不透明なことを踏まえて、インフィニオンは持続的な成功を確保できる企業構造を築くため、リ ストラクチャリング推進を決断しました。当社はまた、今後も技術面でのスタンダードを打ち立てるとともに、市場地位とコストの両面で大きな収穫を目指します。

生産性
コストに関しては、当社は生産性および生産効率を一貫して高めています。メモリチップの生産コストは、0.11μm(110nm)技術を素早く導入したことで、さらに30パーセント低減されます。第 2四半期には、256MビットDRAMの製造コストを従来の6.10米ドルから5.40米ドルに削減しました。現会計年度(2003年9月期)末にはさらに4.50米ドルまで下げる見通しです。

当社は300mm生産技術をいち早く導入し、生産コスト効率におけるリーダーシップを改めて実証しました。業界では今なお200mmウェハ使用が主体ですが、インフィニオンは現在、2 00mmウェハ使用時よりも低いコストでメモリチップを生産できるようになっており、ドレスデン工場が最大能力に到達すれば、コスト低減効果は30パーセントにも達します。ド レスデンの300mm施設の立ち上げは計画日程をはるかに上回るペースで進捗しており、現在、週あたりウェハ投入量は6,000枚以上に達しています。

ソリューション・ビジネス
「Agenda 5-to-1」戦略に示した通り、インフィニオンは利益をもたらすソリューション・ビジネスを拡充します。そのため、多角化にも取り組みます。すでに、新 市場創出につながる特定の技術革新で足がかりとなる成功を収めています。新しいアプリケーション例としては、次のようなものがあります:

革新的なバイオチップ:成長性を秘めた「バイオサイエンス」市場に当社が参入するための切り札
ウエアラブル・エレクトロニクス:例えば集積型MP3を内蔵したジャケット
オブジェクト(対象物)の出入りチェックのロジスティクスを簡素化する無線タグIC:例えばウィーン市(オーストリア)の図書館で最近導入
提携
提携や共同事業および買収は、インフィニオンが経済的、技術的に成功を確保するために不可欠です。すでにその路線を歩んでおり、今後も系統的に追求します。例えば、中国の中芯国際集成電路製造公司( SMIC)や、台湾の華邦電子(ウィンボンド)との契約により、インフィニオンは自社の新規設備投資を行わずに、新しい生産能力を確保しました。このように、当社は収益率を向上させると同時に、市 場シェアを伸ばしていきます。台湾の南亜科技(ナンヤ)との提携は開発と生産で手を組んだケースであり、研究開発費を分担でき、当社のアジアでのプレゼンス強化にもつながります。

「目下の課題は、黒字復帰という大きな目標達成に向けて、リストラクチャリング効果を発揮することにあります。当社の活動とプラニングはすべて、その目標に沿って進められます」と、シ ューマッハはコメントしました。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFXX200304.067

Press Photos

ダウンロードサービス