インフィニオンテクノロジーズがフランクフルトとニューヨークで株式を上場

2000/03/13 | ビジネス&フィナンシャルプレス

シーメンスの半導体子会社であるインフィニオンテクノロジーズ(本社:ミュンヘン)は3月13日、株式公開にともなう、フランクフルトおよびニューヨークの証券取引所への上場手続きを完了しました。ニ ューヨーク証券取引所(NYSE)上場の公式行事は3月14日に行われます。

インフィニオンテクノロジーズの株式(NYSEシンボル「IFX」)は、米国預託株式(ADS)の形で取引されます。各ADSは、共有株式1株を表象します。公開価格は1株35ドルに設定されました。 放出される株式数は約1億7400万株です。この結果、グリーンシュー行使後のシーメンスのインフィニオン株式保有率は約71パーセントになります。

「株式公開の成功と株価は、私たちの実力に対する投資家の皆さまのご信頼をはっきりと表しています。私たちは、株式公開をご支持いただいた投資家の皆さまに報いるために、全 力であらゆる努力を注ぐことを堅くお約束いたします」と、インフィニオンテクノロジーズの社長兼最高経営責任者ウルリッヒ・シューマッハーは話しました。

 

インフィニオンテクノロジーズについて

はじめに
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、1999年4月1にシーメンス(Siemens AG)の 全額出資子会社として設立されました。同社は実質的にシーメンスの半導体事業の全部を含んでいます。分社化は、1998年11月に発表されたインフィニオン上場計画の準備として行われました。分社化の目的は、高 度の技術力、強い競争力、資本の集中が必要なこの事業部門において、同社が柔軟な戦略を追求できるようにすることでした。インフィニオンは世界の半導体企業のトップ10社の中に数えられ、1 999会計年度には42億4000万ユーロの売り上げを計上しました。

インフィニオンテクノロジーズは、半導体の設計、生産、販売を行っています。半導体(マイクロチップ)は、情報時代の実現を可能にし、コンピュータやその他のおびただしい電子機器の速度、携帯性、機 能を大幅に向上させてきました、インフィニオンは、音声およびデータ通信、周辺装置、無線通信、自動車および産業エレクトロニクス、セキュリティおよびチップカード、メモリ製品などの分野において、ア プリケーション指向の半導体ソリューションを提供するために活動しています。同社の広範囲の製品系列は、デジタルシグナルプロセッサ、マイクロコントローラ、無線周波数製品、パワー半導体、DRAM、そ してシステムオンチップやエンベデッドソリューションなどをカバーしています。

インフィニオンは顧客指向の5つの部門に組織されています。1)ワイヤレス製品、2)通信と周辺、3)自動車と産業、4)セキュリティとチップカードIC、そして、5)メモリ製品です。こ れらの事業ユニットは、世界各地の16の自社拠点と4つの研究開発同盟における、強力な研究開発活動によって支援されています。これらすべては、イ ンフィニオンのテクノロジリーダーとしての地位をさらに拡張するように企画されています。同社は、重要市場であるアジア、米国、欧州に立地した、多くの生産拠点(工場)において、グローバルに活動しています。

事業と戦略

過去3年間の市場の後退にもかかわらず、インフィニオンは成長を維持できました。6年前の19位から上がって、現在は半導体産業の中でトップ10社に入っています(データクエスト)。

広範囲のポートフォリオ(ミクストシグナル分野での強力なIPを含む)のおかげで、同社の多くの部門は、周期的な景気変動にあまり影響されませんでした。しかし、イ ンフィニオンはDRAM事業の周期変動にさらされています。インフィニオンは、いくつかの製品部門で5位ないしそれより上位を占めています。市場浸透をさらに進めるためにインフィニオンは、生産、研究開発、販売、 マーケティングに関して、国際的なプレゼンスを構築しています。

インフィニオンは、国際ベースでの競争的地位と能力を絶えず向上させるため、テクノロジーを梃子上げすることに集中しています。顧客の要求が増大するのにともない、インフィニオンは、メ モリ製品における伝統的な強みに加えて、差別化製品分野(そこではIPが重要な役割を演じます)における、より特殊化された、より高収益の製品系列の拡張を進めています。そのため、インフィニオンは、特 定機能向けおよび特定用途向けICにおける国際的地位を強化することを目的とした多くのプロジェクトを開始してきました。この事業は、周期変動を受けにくく、同社のDRAM活動を補完します。イ ンフィニオンがターゲットとする産業部門は、通信(無線と有線の両者)、自動車、コンピュータです。同社は、研究、開発、プロセス、生 産などに関する他のテクノロジーリーダーとのパートナーシップを深めることによって、各事業部門における努力を加速させています。

ワイヤレス製品部門は、GaAs、高速ロジック、ミクストシグナル製品、DPSを基盤として、無線通信のハイエンドソリューションを提供しています。インフィニオンは、電池[=電源]やマイクロホン[ =音声処理]からアンテナ[=無線]に至るまで、デジタル携帯電話のあらゆる局面を供給する能力においてユニークなポジションにあります。

通信と周辺部門は、多様なマルチメディアアプリケーション(デジタル音声/データ/ビデオ伝送、データサービス用のシグナルプロセッサとコントローラ、セットトップボックス、光 ファイバと高速ネットワーク用のIC)に対してシステムオンチップソリューションを提供しています。

自動車と産業部門は、実績あるスマートパワー技術を基盤に持つ、自動車エレクトロニクス用ICの先導サプライヤです。インフィニオンは、この部門における長年の有力プレーヤであり、あ らゆる自動車アプリケーション(自動車安全システム、快適性向上機能、パワートレイン、そしてGPSようなドライバ情報システム)にソリューションを提供する単独サプライヤです。

セキュリティとチップカードIC部門は、チップカードICの供給に関する国際的なリーダーです。インフィニオンは、ユニークなセキュリティ専門知識を基盤に、ド イツ銀行コンソーシアムの洗練された要求に適合する最初のサプライヤとなりました。同社は、この高成長を秘めた部門を獲得するのにきわめて良いポジションにいます。こ の分野で注目される新技術のひとつは指紋センサ「FingerTIP」です。このセンサは、広範囲の認証アプリケーションを可能にします。

メモリ製品部門は、1GビットまでのDRAM製品の開発と生産を行っています。テクノロジーのフロントにおいて、インフィニオンは、3 00mmウェーハ上に作成された最初の実動作256MビットDRAMを発表しました。米国、欧州、アジアにおける先端プラントによって、インフィニオンは、個別顧客のニーズに対応することができます。

インフィニオンは、それぞれの事業ユニットにおいて、能力を向上するための強い歩みをとってきました。インフィニオンの工場における生産効率は、ダイナミックに向上し、コ ストポジションは高度に競争力があります。インフィニオンは、投資からの収益を促進するために、生産拠点の稼働率向上を迅速に実現してきました。

業界のトレンド

半導体市場のいくつかの一般トレンドをあげると:

エンドユーザ機器へのマイクロエレクトロニクスの浸透は、今日でもなお、最大で15パーセントもの増加をしています。予想を上回る革新によって、部 品はすべての人々の生活のあらゆる局面にマイクロエレクトロニクスが浸透できるほど廉価になっています。
完結したシステムソリューションをワンチップに集積化することが可能になっています。
コアベースデザインのような新しいメソドロジーは、非常に複雑なICに対する製品化時間(Time to Market)のさらなる短縮と効率化を可能にしています。
ソフトウェアとコンテンツは、半導体事業の必須部分となってきました。これはシステムにおけるハードウェアとソフトウェアの仕切りに変化をもたらしています。
すべてはデジタルへ向いているにしても、現実世界とのアナログインターフェイスが常に必要です。  インフィニオンはこれらのトレンドを見越し、将 来の変化に対応するのに良いポジションをとっています。
顧客のトレンドは、ますます複雑になるアプリケーションにおいて、よりすぐれた、より包括的なソリューションを要求し続けています。寸法と重量に対する注文は、電 子機器の機能と移動性が拡張するのにともなって、さらに厳しくなっています。この要求に適合し、さらにそれを上回るために、インフィニオンは、IBMやモトローラのようなリーダーたちと、多 くの開発および生産パートナーシップ事業を開始してきました。

国際市場は、国際的なプレゼンスを要求しています。そして、インフィニオンは、この側面を、国際的な生産設備のネットワークを通して提供しています。先端設備を備えたプラントと先進プロセス技術は、包 括的な生産容量を提供します。生産設備は2つの仮想的な「ファブクラスター」へリンクされています。これにより、同一の品質評価原則と一様なテクノロジーおよびロジスティックス手順が確実に適用されます。イ ンフィニオンはまた、大電力半導体および光半導体デバイス(オスラムとの合弁)の専用工場を持っています。

インフィニオンは、アジア、欧州、米国のバックエンド工場において組立と試験を行っています。主要な拠点は、シンガポール、マラッカ(マレーシア)、バタム島(インドネシア)、無錫(中国)、ポルト( ポルトガル)です。さらに、ドレスデン(ドイツ)とバージニア州ホワイトオーク(米国)の工場にもバックエンド設備が付属しています。

インフィニオンとモトローラは、ドレスデン(ドイツ)に、300mmウェーハのパイロットラインを構築してきました。300mmウェーハ上で非常に早期に実現されたDRAM実動作サンプルは、こ の設備を通して生産されました。インフィニオンはこれによって、次世代ウェーハサイズのためのノウハウを先行して習得してきました。

革新を着実に進めるには、研究開発への継続的な集中を必要とします。同社の16の開発センターと4つの研究開発同盟は、インフィニオンが奉仕する主要市場に戦略的に立地し、カ リフォルニア州のシリコンバレーや、ソフィアアンチポリス(フランス)のテレコムバレーなど、業界の頭脳が集中するセンターの中にあります。これらのセンターは、資産ネットワーク(そこでは、アイデアと知識が、そ の効果を最適化するために共有されます)の基盤を形成します。

市場

半導体の世界市場規模は1999年に1450億ドルと見積もられています。前年は1260億ドルでした。1999年に上昇に転換し、WSTS(1999年10月)によれば、今 後は年率16パーセントの成長が見込まれます。

1998年の市場後退の支配要因は、DRAMの生産容量の過剰でした。それは深刻な価格崩壊へ導きました。しかし、1999年にはDRAMは約40パーセント(速報値)の 成長率を持つ積極的な力となりました。これはおもに、PCおよびサーバ向け需要によって推進されました。

もうひとつの強力な成長市場は通信です。携帯電話とインターネットを中心とした今日の無線端末の浸透は、今後何年かにわたり、革新的ICソリューションの需要を推進するでしょう。

自動車市場は、安全(エアバッグ、ABS)と利便機能(パワーウインドウ、A/Cなど)の、高級車から大量生産される中級車や小型車への急速な浸透を見せています。次の波は、ドライバ情報システム( ナビゲーション、通信、娯楽)のような新用途から到来します。これらは中級車への浸透が始まっています。

最後に、チップカードは、1990年代初めにはあまり知られていませんでしたが、今日ではあらゆる市場(例えば健康保険カード)で注目を集めています。イ ンフィニオンは1998年に市場リーダーとなり、たぶん1999年も第1位を保持したでしょう。

インフィニオンテクノロジーズは、これらすべての市場部門で非常に良いポジションをとっており、革新をグローバルに推進しています。

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INFXX200003.043