インフィニオンテクノロジーズが2000会計年度(決算期日:9月30日)の年度末決算を発表

2000/11/07 | ビジネス&フィナンシャルプレス

世界の大手半導体メーカーのひとつである独インフィニオンテクノロジーズは本日、2000会計年度(決算期日:9月30日)の年度末決算を発表しました。売上高(Revenues)は、前 年度の42億4,000万ユーロから72%増の72億8,000万ユーロを計上しました。売上高が大幅に増加した要因として、インフィニオンのすべての事業部門、特 に通信分野とメモリ分野で需要が好調だったことと、供給能力の増強がこれを支えたことがあげられます。

利息税金控除前利益(EBIT)は16億7,000万ユーロへ増加しました。大幅な利益増となった理由は、全事業部門で生産性および収益性が向上したためです。

純利益(Net Income)は、前年度の6,100万ユーロから、11億3,000万ユーロへ大幅に増加しました。1株あたり利益(Earnings per Share)は、前 年度の0.10ユーロから、1.83ユーロへ増加しました。

インフィニオンテクノロジーズの社長兼最高経営責任者(CEO)であるウルリッヒ・シューマッハーは、「通信をはじめとした高収益事業への集中を強化したことが、粗 利益率および利息税金控除前利益の大幅な増加につながりました。さらに、新規株式公開(IPO)にともなって、通信事業内容のさらなる強化と、生産能力および生産性向上に対して、大 きな期待を担うことになったのも、推進力のひとつです」と、話しました。

粗利益率(Gross Margin)は、前年度の29%から、44%へ増加しました。また、利息税金控除前利益率(EBIT Margin)は大幅に増加して、23%となりました。理由として、通 信およびメモリ製品の生産性向上と、高収益市場への集中があげられます。

販売費および一般管理費(SG&A Expenses)の対売上高比は、前年度の13%から9%へと減少しました。この改善は、一方で、売上の大幅な増加を反映したものであり、他方で、全 事業部門にわたって販売経路の整理と戦略的重要顧客への集中に務めた結果です。

研究開発費(R&D Expenditures)は、絶対額では、対前年度比39%増の10億ユーロ以上にのぼりました。しかし、対売上高比では、14%から9%へ減少しました。イ ンフィニオンは、国際的な研究開発ネットワークの拡張と、戦略的買収(例えばサバン社やコムネオン社)を通して、通信分野における設計資産(IP)の強化に務めてきました。新規株式公開以来、新 たに研究開発拠点を7つ増やし、合計で26拠点としました。

インフィニオンは、グローバル化戦略を順調に進め、売上高に占める欧州以外の比率を、前年度の42%から55%へ高めました。売上高の地域別成長率(Regional Growth)では、米 国およびNAFTA地域の対前年度比119%増と、アジア太平洋地域(日本を含む)の133%増が際立っています。欧州の売上高(ドイツを除く)は37%の増加でした。全売上高の地域別構成比は、米 国およびNAFTA地域が25%、アジア太平洋地域および日本が30%、欧州(ドイツを含む)が45%でした。ドイツの売上高は、全売上高の22%でした。

2000年9月30日現在、インフィニオンの従業員数は29,000名を越えています。このうち研究開発スタッフは約4,800名にのぼります。

各事業部門の業績

●有線通信事業部(Wireline Communication Group)

有線通信事業部の2000会計年度の売上高は、対前年度比31%増の9億4,100万ユーロでした。利息税金控除前利益(EBIT)は1億3,800万ユーロでした。この数字には、サ バンコミュニケーションズ社の買収に関連した6,000万ユーロの金額は除外されています。これを算入すると、利息税金控除前利益(EBIT)は7,800万ユーロとなります。

インフィニオンは有線通信の事業内容を、急速に成長するインターネットインフラ市場へ向けて整備してきました。同事業部は、アクセス、WAN、LANの各分野に活動を集中し、高 速デバイスおよび光通信ネットワークデバイスに関して高い競争力を持っています。イメージ&ビデオIC(民生IC)事業からは撤退することで合意に達し、2 001会計年度の第1四半期に業務を閉鎖する予定です。さらにハードディスク装置を主体としたコンピュータ周辺IC事業は、メモリ製品事業部に移管されました。有線通信事業部のこうした整備は、イ ンターネットインフラ市場(広帯域通信、インターネットアクセス、光通信ネットワーク)でリーダーシップをさらに強化することを意図しています。

有線通信事業部では2000会計年度に次のような発展がありました:

広帯域ネットワーク事業の成長
インターネットインフラ事業(アクセス、LAN、WAN)の急速な拡張
VDSL/10BaseS市場への参入を目的としたサバンコミュニケーションズ社の買収
光通信ネットワーク事業の大幅な成長(特に、Gigabit Ethernetトランシーバでは40%のシェアを獲得)

●無線通信事業部(Wireless Communication Group)

無線通信事業部は、売上高を対前年度比41%増の12億ユーロへ高めました。利息税金控除前利益(EBIT)は43%増の2億6,100万ユーロでした。この業績は、G SM/GPRS携帯電話市場およびDECTコードレス電話市場の堅調でダイナミックな成長によるものです。

無線通信事業部では2000会計年度に次のような発展がありました:

無線ICとベースバンドICにおける国際的リーダーシップの強化
Bluetoothチップセット(無線ICとベースバンドIC)の発表
UMTS/GSMデュアルモードのシングルチップソリューションを発表することにより第3世代移動通信システムにおけるリーダーシップを強化
欧州とアジアで携帯電話およびコードレス電話の大手メーカー各社から受注に成功


●その他事業(Other Operation Segments)

その他事業は、カードIC事業部(Security and Chip Card IC Group)およびオスラム社との光半導体合弁事業から成り、売 上高を対前年度比33%増の6億6,900万ユーロへ高めました。利息税金控除前利益(EBIT)は、5,400万ユーロへ向上しました。カードIC事業部の成長率はこれより大きく、売 上高は前年度の2億7,600万ユーロから3億7,500万ユーロへ36%の増加を見せました。同事業部の利息税金控除前利益(EBIT)は、前 年度の2,400万ユーロ強から4,900万ユーロへ大きく増加しました。

カードIC事業部では2000会計年度に次のような発展がありました:

*金融機関向けハイエンドセキュリティコントローラICの出荷が増加
主要顧客各社においてGSMプロジェクトに参加
競争の激しいスマートカードIC市場で国際リーダーシップを堅持
WAP機能やmコマース機能を備えた次世代GSM/UMTS-SIMカード用の16ビットおよび32ビットのハイエンドセキュリティコントローラICにおける技術リーダーシップを強化


●メモリ製品事業部(Memory Products Group)

メモリ製品事業部の売上高は、対前年度比147%増の34億7,000万ユーロを記録しました。利息税金控除前利益(EBIT)は、前年度のマイナス2億3,800万ユーロの損失から、プ ラス13億4,000万ユーロの大幅な黒字へ転じました。収益性向上の大きな要因として、生産性の向上、利益率の高い製品への集中、構造微細化(シュリンク)の 強力な推進によるコスト競争力の向上などがあげられます。

メモリ製品事業部では2000会計年度に次のような発展がありました:

利息税金控除前利益率(EBIT Margin)がプラス38%へ向上
生産性向上にともなう出荷量の大幅な増加と、128Mや256MのDRAMをはじめとした新製品の急速な立ち上げにより、市場を上回る成長を達成
急速に成長するインターネットインフラおよびネットワーク関連分野で市場における地位を強め、256MビットDRAMで市場リーダーとなる
ドイツのドレスデンにおいて世界初の300mm量産工場の建設に着工して300mmウェハ生産を先導


●自動車&産業事業部(Automotive and Industrial Group)

自動車&産業事業部の売上高は、対前年度比32%増の8億8,000万ユーロとなりました。その主な要因は、パワー半導体事業の業績が好調だったことです。利息税金控除前利益(EBIT)は、 対前年度比204%増の7,000万ユーロにのぼりました。

自動車&産業事業部では2000会計年度に次のような発展がありました:

安全システムやパワートレインなどに適用される自動車用電子デバイスの出荷の増加
戦略地域である日本の自動車市場への参入と、NAFTA地域における急速な成長
自動車の42V電源系に対応したパワー半導体製品の技術的先導と供給体制整備
PC分野などで電力管理や電源向けの産業用パワーMOSFETに対する需要が好調
戦略的ハイライト
2000会計年度にインフィニオンは、通信市場におけるリーダーシップ強化を目的として、買収を通して3億4,500万ユーロ以上を設計資産(IP)に投資しました。また、3 ,800万ユーロのベンチャーキャピタルを新興の諸会社に投資しました。この結果、インフィニオンの将来の設計資産ポテンシャルをさらに強化することを目的としたベンチャーグループに、新 たに11社が加わりました。

シリコンファウンドリの更なる活用と、6インチウェハから8インチウェハへの転換の加速によって、通信ICの生産に対する生産能力と柔軟性が増強されました。2000会計年度中にインフィニオンは、生 産能力を30%以上も向上させました。これに加えて、メモリおよびロジックに対する構造微細化(シュリンク)ロードマップの積極的な推進によって、生産量の更なる上積みが達成されました。

2000会計年度にインフィニオンは、ロジック生産ラインにおける銅配線対応0.18μmをはじめとした微細化への転換によって、また、す べてのメモリ生産ラインを0.17μmへ転換することによって、技術リーダーシップをさらに強化しました。インフィニオンはまた、300mm生産におけるリーダーシップも強化しました。ド イツのドレスデンにおける世界で最初の300mmモジュールによる量産開始は2001暦年末に予定されています。これによりインフィニオンは、競争で大きな優位性を得ることになります。

2001会計年度の展望
データクエストによれば、2001暦年の世界半導体市場の成長率は27%です。インフィニオンは、業界水準をかなり上回る成長を見込んでいます。

2001会計年度にインフィニオンは、更なる製品ミックスの強化と、Bluetooth、VDSL、Gigabit Ethernet、光 通信ネットワークなど新しいソリューションからの売上を計上することによって、通信関連事業全体にわたって利息税金控除前利益率(EBIT Margin)をさらに向上できると見込んでいます。

現在の世界PC市場は流動的なため、インフィニオンではメモリ事業に関して、2001会計年度の第1四半期(2000暦年の第4四半期に該当)には需要と価格が低調になると予想しています。メ モリ製品事業部の通年での見通しは、依然として有望です。市場は遅くとも2001会計年度の第2半期(2001暦年の第2および第3四半期に該当)には回復が予測されます。業 界の生産能力増強ポテンシャルは限られているので、需要を満足できないと考えるからです。インフィニオンはすでに、128Mおよび256MビットDRAM部門で強い技術リーダーシップを持っています。変 動が少なく急速に成長するサーバおよびネットワーク関連市場への移行をさらに加速しようとしています。

現在の市場条件のもとで2001会計年度の設備投資額(Capital Expenditures)は、売上高の約30%にのぼる見込みです。この設備投資により、予 想される生産能力の逼迫へ有効に対応できると考えられます。

シューマッハーは、「半導体市場の好況は2003年まで続くと予想しています。この大きなポテンシャルを活用し、高成長で高収益の事業において市場シェアを獲得する上で、イ ンフィニオンは有利なポジションを占めています」と、結びました。

Information Number

INFXX200012.007