インフィニオン、初のフルSiCモジュールの量産を開始、PCIMにてCoolSiC™ファミリーの新たなデバイスを発表
2017年5月16日、ミュンヘンおよびニュルンベルク(ドイツ)
独インフィニオンテクノロジーズは、パワーエレクトロニクス機器の見本市「PCIM 2016」で発表した初のフルSiCモジュールであるEASY 1Bの量産を開始しました。シリコンカーバイド(SiC)をベースとしたトランジスタは、効率改善、電力密度の向上、フットプリントの縮小、システムのコスト削減ができます。今年度のPCIM 2017 (2017年5月16日~18日)では、さらに追加のモジュールと1200 V CoolSiC™ MOSFETファミリーのトポロジーを発表し、SiCテクノロジーが持つ可能性を新たなレベルへと引き上げました。
インフィニオン、インダストリアル パワーコントロール事業部プレジデントのピーター ウェイワー(Dr. Peter Wawer)は、次のように述べています。「シリコンカーバイドは、現在 転換期にあります。システムのコスト分析を行った場合、コスト面での優位性を確認でき、既に様々なアプリケーションに使用できる状態にあります。しかし新しい半導体テクノロジーを信頼できる画期的なものにするためには、弊社のようなパートナーが求められます。アプリケーションに合わせて構築する製品、生産能力、包括的なテクノロジーポートフォリオ、またシステムに対する理解は、インフィニオンがパワー半導体市場のリーダーである4つの基盤です。SiC製品のポートフォリオに関しても同様に、達成していきます。」
新しい1200 V SiC MOSFETは、高度な信頼性とパフォーマンスの両方を達成するよう最適化しています。これらのMOSFETのダイナミック損失は、1200 Vシリコン(Si)IGBTを1桁下回っています。最初の製品は当初、太陽光発電インバータ、無停電電源(UPS)、充電/蓄電システムなどの用途に対応します。また新しいコンフィグレーションにより、近い将来には産業用駆動装置、医療技術、あるいは鉄道用の補助電源などにおいて画期的な新しいソリューションが実現すると期待されます。
1200 V SiC MOSEFTのトレンチテクノロジーが持つ大きな利点のひとつに、強靱さの向上があります。これはFIT(failure in time)の低さと短絡耐量によるものであり、それぞれのアプリケーションに合わせることができます。4 Vのしきい値電圧(Vth)と+15 Vの推奨ゲート電圧(VGS)を持つこのトランジスタはIGBTのように制御可能であり、異常発生時には安全にオフにすることができます。このSiC MOSFETは非常に高速なスイッチングを可能にします。またインフィニオンのテクノロジーを通じ、ゲート抵抗により過渡現象を容易に調整することが可能です。したがってEMCの挙動も容易に最適化することができます。
インフィニオンは既に昨年、主要製品であるEASY 1B(Half-Bridge / Booster)とディスクリートTO-247-3ピンおよび-4ピンソリューションを発表しています。このEASY 1Bプラットフォームは高い評価を得ており、高速スイッチングデバイスにとって理想的なモジュールプラットフォームとなります。今年のPCIM見本市において、インフィニオンは1200 V SiC MOSFETテクノロジーをベースとするモジュールプラットフォームとトポロジーをさらに発表する予定です。これによりCoolSiC MOSFETのパフォーマンスが段階的に拡大されます。PCIMではこれらのうち以下のSiCモジュールの展示を行いました。
- B6(Six-Pack)トポロジーによるEASY 1B:このモジュールはインフィニオンの定評あるモジュールコンフィグレーションを特徴とし、オン抵抗(R DS(ON))はわずか45 mΩです。内蔵のボディダイオードにより低損失のフリーホイール機能を得ています。EASY 1Bは駆動装置、太陽光発電、および溶接分野の用途に適しています。
- Half-BridgeトポロジーによるEASY 2B:このより大型のEASYデバイスは、スイッチあたり8 mΩのR DS(ON)の大きなパフォーマンスを発揮します。この低インダクタンスモジュールのコンセプトは、50 kWを超え高速なスイッチング動作を伴うアプリケーションに最適です。これには太陽光発電インバータ、急速充電システム、無停電電源などが含まれます。
- Half-Bridgeトポロジーによる62 mm:6 mΩのR DS(ON)を持つ、さらにハイパワーのHalf-Bridgeコンフィグレーション。このモジュールプラットフォームでは、中容量出力範囲において低インダクタンスのシステム接続が可能です。これは医療や鉄道の補助電源をはじめとした数多くのアプリケーションに使用されます。この対象となり得るアプリケーションの多さのため、インフィニオンはこのモジュールが急速に普及すると予想しています
提供状況
PCIM 2016にて発表された最初の製品であるEASY 1Bと2つのディスクリートデバイスであるTO-247-3ピンと-4ピンは、今年中に徐々に量産に移行します。Half-BridgeコンフィグレーションのEASY 1Bはすでに提供が開始されています。新しいコンフィグレーションの製品はサンプル出荷が開始されており、量産は2018年に計画されています。詳細については www.infineon.com/coolSiC をご覧ください。
PCIM 2017 でのインフィニオンの展示
インフィニオンはパワーエレクトロニクス機器の見本市「PCIM 2017」(ドイツのニュルンベルクで2017年5月16日~18日開催)に於いて産業、消費者、および自動車アプリケーションのための最先端テクノロジーを展示しました。を行いました。)。PCIMのハイライトは www.infineon.com/pcim(英語)をご覧ください。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズは、暮らしをより便利に、安全に、エコに革新する半導体分野の世界的リーダーです。明るい未来の扉を開く鍵になる半導体をつくることが、私たちの使命だと考えています。2016会計年度(9 月決算)の売上高は65億ユーロ、従業員は世界全体で約3万6,000人。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場(ticker symbol:IFX)、米国では店頭取引市場(ticker symbol:IFNNY)のOTCQX に株式上場しています。
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
本社サイト: http://www.infineon.com (英語)
Information Number
INFIPC201705-053
Press Photos
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The Easy1B with Six-Pack topology is characterized by the proven Infineon module configuration with an on-resistance (RDS(ON)) of only 45 mΩ. An integrated body diode ensures a low-loss freewheeling function. It is suitable for applications in the fields of drives, solar or welding technology.CoolSic_Easy1B
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This larger Easy2B in Half-Bridge topology offers an enhanced performance with an RDS(ON) of 8 mΩ per switch. The low-inductance module concept is ideal for applications with more than 50 kW and fast switching operations. These include solar inverters, quick-charging systems or solutions for uninterruptible power supplies.CoolSic_Easy2B
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The 62 mm module in Half-Bridge topology is featuring even higher power with an RDS(ON) of 6 mΩ per switching function. This module platform offers the possibility of low-inductance connection of systems in the medium power range. A great variety of applications make use of this, including medical technology or auxiliary power supplies in the railway sector.CoolSic_62mm
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