インフィニオン、クラス最高のIGBT性能の定義をくつがえす、650V版「TRENCHSTOP™ 5」を発表、スイッチング損失を60%以上削減

ノイビーベルク（ドイツ）

独インフィニオン テクノロジーズは、薄ウェハIGBT（絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ）の次世代版となる「TRENCHSTOP™ 5」の提供を開始します。本製品は、現 在の代表的なソリューションと比べ、導通損失とスイッチング損失が大幅に低くなっています。この飛躍的な進化により、インフィニオンは、IGBT性能の新たなベンチマークを打ち立てており、効 率化が常に求められる市場で、リーダーとしてのポジションを維持しています。

この新技術では、耐電圧が650Vに上昇しており、セーフティマージンの高い設計が可能です。対象となるトポロジーは、太陽光発電インバータ、無停電電源（UPS）、イ ンバータ溶接機などのアプリケーションで一般的に見られる、ブーストPFC（AC/DC）段と高電圧DC/DCのトポロジーです。

「TRENCHSTOP™ 5」は、2つの製品ファミリの基礎となっています。1つ目の「HighSpeed 5（H5）」は、ソフト高速IGBTであり、デザインイン作業が最小限ですむため、使 い勝手に優れ、既存のIGBTをプラグインプレイで置き換えることが可能な設計です。2つ目の「HighSpeed 5 FAST（F5）」は、これまでで最も高効率なIGBTです。例えば、「H4ブリッジ」の トポロジーを使用した太陽光発電インバータでは、アプリケーション測定で98%以上のシステム効率が可能です。

インフィニオンのローランド スティール（Roland Stele）（IGBTパワー ディスクリート担当マーケティングディレクター）は、次のように述べています。「『TRENCHSTOP™ 5』によって、IGBTの性能は飛躍的に向上し、システムの効率性も大幅に高まり、耐電圧が上昇することで信頼性が得られます。この結果、プラットフォーム全体のシステムコストが削減されます。こ うした特長すべてを単一のソリューションでお求めの場合、『TRENCHSTOP™ 5』が唯一の選択肢となります」

新登場の「TRENCHSTOP™ 5」は、幅広いアプリケーションに対し、大きなメリットをもたらします。インフィニオンが現在提供中のクラス最高の「HighSpeed（H3）」フ ァミリと比較した場合、導通損失は10%以上、総スイッチング損失については、60%以上削減されます。この大幅な効率化により、動作中のジャンクション温度が低下し、よ り長期間にわたって信頼性が保証されるほか、高電力密度の設計が可能です。例えば、アプリケーション試験では、TO-220パッケージの「TRENCHSTOP™ 5」は、TO-247パッケージの「H3」に 比べ、ケース温度が15%低くなっています。

その他の大幅な改善点としては、飽和電圧（Vce(sat)）とターンオフ時のスイッチング損失（Eoff）が正の温度係数を持つため、高温度動作時にも性能が犠牲にならず、並 列接続を簡単に行うことができます。ゲート電荷（Qg）は「H3」の2.5分の1で、低コストで容易に駆動可能なIGBTとなっています。さらに、「TRENCHSTOP™ 5」には、高速リカバリ フリーホイールダイオードの順方向電圧（VF）が安定しており、逆回復時間（Trr）は50ns未満です。また、低出力キャパシタンス（CossとEoss）により、軽負荷時効率が極めて高く、主 に最大定格の40%未満で動作する設計に最適です。

供給状況
「H5」と「F5」の各種製品は、11月中旬にサンプル出荷を開始します。

詳細については、下記URLをご参照ください。
www.infineon.com/trenchstop5

インフィニオン テクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2011会計年度（9月決算）の 売上高は40億ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,000人です。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場しています。

インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト： http://www.infineon.com
日本法人サイト： http://www.infineon.com/jp