インフィニオン、車載アプリケーション向けマイクロコントローラ・マルチコア・アーキテクチャを発表
ノイビーベルク(ドイツ)
独インフィニオンテクノロジーズは10月12日、32ビットのマイクロコントローラ(MCU)マルチコア・アーキテクチャを発表しました。新アーキテクチャは、イ ンフィニオンの次世代MCUファミリの基礎となるもので、パワートレインやセーフティといった、今後の車載用アプリケーションの要件に対応します。マルチコア・アーキテクチャは、最大3つのプロセッサ・コ アによってアプリケーションの負荷を共有するほか、ロックステップコアを採用しており、ハードウェアの安全機構がこれまで以上に強化されています。本アーキテクチャの初の実装デバイスは、ア ーキテクチャ探索と早期プロトタイピングを目的とし、一部の顧客向けに現在提供されています。
高性能設計
新登場のマルチコア・アーキテクチャは、インフィニオンの既存製品である「TriCore™」プロセッサをベースとしており、車載用アプリケーションのリアルタイム性能で新たな基準を打ち立てます。最 大3つの「TriCore」プロセッサ・コアがクロスバーで接続され、CPUのフルスピードで動作することで、ハードウェアの競合状態は回避されます。さらに、本アーキテクチャには、複数のプログラム・フ ラッシュ・モジュールと独立した読み込みインターフェイスが実装されており、リアルタイム機能をこれまで以上にサポートできます。
本アーキテクチャには、上記以外にも、CPUの負荷を軽減する、容易に適用可能で強力なタイマーモジュールや、高精度・高サンプリングレートのデルタ・シグマ・コ ンバータを含む最新のA/Dコンバータ(ADC)など、さまざまなイノベーションが導入されています。
65nm組み込みフラッシュのシリコン・プロセス技術とマイクロコントローラ・アーキテクチャは、高性能化と低消費電力へのニーズの間で、バランスを取れるよう設計されています。低 消費電力モードの追加によって、超低待機電流を実現できます。
安全設計
インフィニオンのマルチコア・アーキテクチャには、最先端の手法が導入されており、自動車の安全規格として新たに導入された「ISO 26262」に効率的に対応できます。設計、実装、お よび付属のマニュアルは、車載安全性インテグリティレベルの最高基準(ASIL D)への対応を念頭に置いたものです。これにより、安全システムの開発作業を最小限に抑えることができます。
「TriCore」の3つのCPUのうち2つには、追加のロックステップコアが採用されており、これらは独立した構成が可能です。これ以外にも、安全内部通信バスやバスモニタリングユニットのほか、誤 り検出符号(EDC)と誤り訂正符号(ECC)の両方を全メモリに採用するなど、安全技術が実装されています。分散メモリ保護システムは、コアレベル、バスレベル、周辺機器レベルで動作します。こ れらの強力なカプセル化技術により、さまざまなソースからの重要度のレベルの異なるソフトウェアを統合し、複数のアプリケーションやOSを統合プラットフォーム上にシームレスに統合できます。
高セキュリティ設計
今後のセキュリティ要件に対応できるよう、マルチコア・アーキテクチャには、ハードウェア・セキュリティ・モジュール(HSM)が採用されており、改 ざんや潜在的なハッキング攻撃から、車載用アプリケーションをより効果的に保護できます。HSMには、インフィニオンの開発した、ハードウェアベースの最先端技術が使用されます。
65nm組み込みフラッシュ技術
65nm組み込みフラッシュ技術は、過酷な自動車環境で最高の信頼性を実現できるよう設計されています。組み込みフラッシュの製造工程の最終段階におけるプログラミング速度は、イ ンフィニオンの前世代マイクロコントローラの最大20倍です。車載用システムでは、これまで以上に多くの組み込みフラッシュが必要とされているため、これは特に重要な意味を持ちます。
「Development Device」を提供開始
マルチコア・アーキテクチャの初の実装デバイスにあたる「Development Device」は現在、一部の顧客を対象としたプロトタイプ用に提供されています。車 載用システムのサプライヤは今後、マルチコア・アーキテクチャの機能を検証し、マルチコア・ソフトウェアの実装技術を開発できます。65nmの「Development Device」には、3つの「 TriCore」CPU(うち2つはロックステップに対応)と、4MBの組み込みフラッシュが採用されています。
マルチコア・アーキテクチャを採用した次世代65nm eFlash MCUファミリ
新たなマルチコア・アーキテクチャは、次世代65nm eFlashマイクロコントローラ・ファミリの「AURIX™」に使用される予定です。「AURIX」ファミリは拡張性に優れており、デ バイスのクロック周波数は最大300MHz、組み込みフラッシュの容量は最大8MBです。高いリアルタイム性能と組み込みの安全機能、セキュリティ機能により、本ファミリは、燃焼エンジンの制御、電 気自動車やハイブリッド車、トランスミッション制御ユニット、シャーシドメイン、ブレーキシステム、電動ステアリング・システム、エアバッグ、先進のドライバー支援システムなど、各種アプリケーションに最適です。
「AURIX」ファミリの第一弾製品は、2012年半ばまでの提供開始を予定しています。適格認定は2013年下半期の予定です。
詳細情報
インフィニオンの車載用半導体ポートフォリオと車載用マイクロコントローラについての詳細は、下記サイトをご参照ください。
www.infineon.com/automotive
www.infineon.com/microcontrollers
インフィニオンは、第15回「International VDI Congress and Exhibition」(於:ドイツ・バーデン=バーデン・コングレスハウス、会期:2 011年10月12日~13日)の自社ブース(2階#86)で、マルチコア・アーキテクチャの初の実装デバイスである「Development Device」のライブデモを行います。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、 エネルギー効率、 モビリティ、 セキュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2 010会計年度(9月決算)の売上高は32億9,500万ユーロ、従業員は世界全体で約2万6,650人 1でした。インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場、米国では店頭取引市場のOTCQXに株式上場されています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
1本数値には、インテルコーポレーションに売却された携帯電話事業(ワイヤレス・ソリューション事業部)の従業員約3,075名が含まれています。
Information Number
INFATV201110.003