インフィニオン、モータ駆動アプリケーション用高集積ドライバICファミリの新製品を発表
~グリーン化、高速化へ~
ノイビーベルク(ドイツ)
パワー半導体のグローバルリーダーである独インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies、以下インフィニオン)は、モータ駆動アプリケーション用高集積ドライバICの「 NovalithIC™」ファミリにRoHS準拠で高速スイッチングに対応した製品を追加したと発表しました。NovalithICファミリは最新のチップ・バイ・チップ技術とチップ・オン・チ ップ技術を活用し、 3種類の集積回路をひとつの小型パッケージにまとめた製品です。業界トップクラスとなる70アンペアの電流に対応するとともに、モ ータを駆動するパワーエレクトロニクスが占めるプリント基板面積を半分程度に削減することができます。このためNovalithICは、自動車用のエアコン(HVAC)システム、シートベルト・プリテンショナー、 燃料ポンプなどのモータ駆動アプリケーション、またバッテリ駆動のパワー・ドリルやグラインダーなどの産業用アプリケーションに最適です。また新製品である「BTN7971B」は 既存製品と比べて2倍のスイッチング速度を実現しており、スイッチング損失を半減することができます。
インフィニオンのジョージ・リプラー(シニアディレクタ兼オートモーティブパワー事業ユニットマーケティング責任者)は、次のように述べています。「今回発表した『グリーン』か つ高速バージョンのNovalithICは、自動車のセーフティ機能、ボディ制御などさまざまなアプリケーションに対応できる製品で、電気モータ・ア プリケーションや自動車全体のエネルギー効率を高めることができます。インフィニオンではパッケージングに最新のチップ・バイ・チップ技術とチップ・オン・チップ技術を採用し、極 めて堅牢かつ鉛フリーのパッケージでNovalithICを提供することに成功しました。インフィニオンはオートモーティブエクセレンスを、このように理解し実践しています。」
NovalithICファミリは、モータ駆動アプリケーション用の完全統合型大電流ハーフブリッジです。NovalithICチップは、PチャネルのハイサイドMOSFET、N チャンネルのローサイドMOSFET、統合ドライバICをそれぞれ一個、単一のパッケージにまとめた製品です。オン抵抗が標準値で16mΩと極めて低く、暗電流が7μAにすぎないことから、非 常に高いエネルギー効率を持つデバイスとなっている点も、NovalithICが持つメリットです。また、チャージポンプが不要なアーキテクチャであるため、EMI(電磁干渉)を ごく低いレベルに抑えることができます。
NovalithICには、ロジックレベル入力、電流検出、過電圧、低電圧に対応した診断機能など、各種機能を豊富に有するモータ・ドライバICが集積されており、マ イクロコントローラとのインターフェイスも簡単に構築できます。また最大で70Aもの電流に対応しているため、シ ートベルトプリテンショナのような最新アプリケーションを高集積デバイスで実現できるようになりました。
最近の中型車には、小型電気モータが50個程度搭載され、シートポジション調整や窓の開閉、サンルーフの開閉などに利用されています。高級車になると70個ものモータを使う場合も珍しくありません。P WM(パルス幅変調)技術を適用すればエネルギー消費を大幅に削減しながら同じ機能を実現することができますが、まだすべてのモータ駆動アプリケーションに適用されているわけではありません。
エアコン用ファンには、標準でPWMコントロールユニットを持つものが多くなりました。しかし、現在、市 場に出回っているファンの多くがリニア駆動MOSFETを外部抵抗としてモータの回転を制御しており、80Wから130Wもの電力を廃熱として捨てています。熱損失を80W程度削減できれば、走 行1kmあたりCO2排出量を1.9g、削減することができます。これをガソリン消費に換算すると、走行100kmあたり0.08リットルの削減となります。N ovalithIC搭載のPWMファンを1個追加した場合のコストは、わずかに半年、8,000キロメートルの走行で回収できるのです。
(出典:ATZelektronik 01I2008 Volume 3, www.infineon.com/CO2-reduction-in-cars)
このような理由から、NovalithICのような製品の需要が伸びていると市場アナリストは分析しています。今後、モータ駆動の市場は自動車市場全体よりも力強い成長を実現し、2 008年から2013年のCAGR(年平均成長率)が10%を超えると見られています。
供給状況、パッケージング、価格
供給を開始した製品は、グリーンバージョンのNovalithIC 「BTN7930」、「BTN7960」、「BTN7970」です。BTN7930は32A、BTN7960は47A、B TN7970は70Aまでの駆動電流に対応しています。また、PWM周波数は25kHzまで対応しています。
これらに加えさらに、スイッチング挙動を改善した製品が「BTN7971」です。同一電流、同一PWMアプリケーションであれば、スイッチング損失を半減することができます。BTN7971は、現在、 エンジニアリング・サンプルの提供を行っています。価格は、「グリーン」(鉛フリー)TO-263パッケージのBTN7960を10万個受注時の単価で1.95ユーロ(2.80ドル)程度となります。
詳しい情報は www.infineon.com/novalithicをご覧ください。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、エネルギー効率、コミュニケーションズ、セ キュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2007会計年度(9月決算)の売上高は77億ユーロ(キマンダの売上高36億ユーロを含む)、 従業員は世界全体で約4万3,000人(キマンダの従業員約1万3,500人を含む)でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニア州ミルピタス、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。イ ンフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
本社サイト: http://www.infineon.com
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp
Information Number
INFAIM200804.055