インフィニオンが世界初の量産開始、 180A対応の車載用大電流パワーMOSFET

~最大オン抵抗1.5mΩ、耐圧40V、大電流パワーMOSFETで世界をリード~

2007/09/25 | マーケットニュース

2007年9月25日、東京

インフィニオンテクノロジーズは、車載用として現在業界最高レベルである、ドレイン電流が180A(アンペア) のパワーMOSFET(金属酸化膜電界効果トランジスタ)の量産を、世 界に先駆けて開始しました。インフィニオンの長年にわたる自動車向け製品開発で培われた基礎技術と、早い段階で市場動向を見極めアプリケーション向けに技術の最適化をはかったことが、世 界初の量産につながりました。インフィニオンはこれまでも大電流パワーMOSFET分野で常に業界を牽引してきましたが、今回の180A対応製品の量産開始により、こ の分野において最先端技術を提供する世界的なリーディングサプライヤであることを改めて実証しました。

180A対応の車載用パワーMOSFETの特長

このたび量産が開始された車載用180AパワーMOSFET「IPB180N04S3-02」は、インフィニオンのパワーMOSFETファミリ「OptiMOSⓇ-T」に属する、耐 圧40VのNチャネルMOSFET製品です。最大の特長は、180Aの大電流と、25℃での標準値が1.1mΩ、最大値が1.5mΩという超低オン抵抗(RDS(on))です。TO-263パッケージを使用、最 大動作温度は175℃となっています。インフィニオンの最先端DMOS(Double Diffused Metal Oxide Semiconductor)トレンチ技術を用い、電 力損失を抑えるためにスイッチング時の挙動も最適化されています。

IPB180N04S3-02では、PWM制御時のスイッチング損失低減のため、ゲートドレイン間容量(Typical値)を標準値で470pFに最適化することにより、電 力損失の大幅な低減に寄与しています。

パワーMOSFETは大電流を取り扱うように設計されたMOSFETで、自動車の電子化が進むにつれ大容量化対応への要求が高まっています。M OSFETで大電流を実現するにはチップの抵抗のみならずパッケージの抵抗も考慮し、トータルのオン抵抗を低減する必要があります。本製品では7本ピンのパッケージを採用、ソース端子を5本に増やし、オ ン抵抗を低減しました。また、パッケージ内のボンディングワイヤにおいても、さらに大きな電流に対応できるよう、アルミワイヤーは直径500マイクロメートルを採用しています。

電動パワーステアリングに最適

本製品は、自動車の大電流モータ駆動アプリケーション、特に電動パワーステアリング(EPS)に最適です。電動パワーステアリングはもともと軽・小型自動車から採用が始まりましたが、最 近では排気量が4.0Lを超えるクラスの車種にも普及しつつあり、そのために大電流のパワーMOSFETは不可欠となっています。従 来の油圧式パワーステアリングはエンジンの動力を利用して常にモータを駆動する必要がありましたが、電動式では必要なときだけモータで駆動力をアシストするので、燃費の向上に寄与します。ま た油圧系がないため車体の軽量化がはかれるとともに、廃車時にも油を捨てる必要がないので環境にやさしいという利点があります。パワーステアリングのみならず自動車のモータ駆動の電子化は急速に進んでいるため、今 後さらに大電流パワーMOSFETの利用は増加すると見込まれます。

160A対応製品も量産を開始

180A対応製品とともに、数年前から量産中の160A MOSFETの後継機種である「IPB160N04S3-H2」も同時に量産を開始しました。この製品は、オ ン抵抗が25℃のとき標準値で1.6mΩ、最大値が2.1mΩとなっており、従来品に比べて約30%低い値を実現しています。

インフィニオンの幅広い車載用MOSFET技術は、クラス最高の性能と妥協のない信頼性を提供し、MOSFET需要の増加や多様化に豊富な製品ラインナップで対応できます。車 載用パワーMOSFETは、「OptiMOS-T」ファミリの40V品、55V品、100V品や「OptiMOS-T2」ファミリの30V品などの革新的な製品を取り揃え、高 い柔軟性と性能で幅広いソリューションを可能にします。

インフィニオンの車載用MOSFETはRoHSに準拠、鉛フリーハンダを使った260℃でのリフローソルダリングに対応できます。また、自動車業界の厳しい品質管理基準「AEC Q101」に も対応しています。これらの特長は、インフィニオンの品質管理プログラム「Automotive Excellence」とともに、お客様の車載アプリケーションに最高の性能と信頼性を保証します。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのノイビーベルクに本社を置き、エネルギー効率、コミュニケーションズ、セ キュリティという現代社会が抱える3つの大きな課題に対応する半導体およびシステムソリューションを提供しています。2006会計年度(9月決算)の売上高は79億ユーロ(キマンダの売上高38億ユーロを含む)、 従業員は世界全体で約4万2,000人(キマンダの従業員約1万2,000人を含む)でした。インフィニオンは世界的に事業を展開しており、米国ではカリフォルニア州ミルピタス、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。インフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。イ ンフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。
ホームページ: http://www.infineon.com/jp

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INFJP200709.024j