インフィニオンがMEMS技術による超小型シリコンマイクを発表、 3分の1の消費電力でこれまでの音響性能を実現 ～新デバイスは耐熱性に優れ、コンシューマ製品の全自動製造に適応～

独インフィニオンテクノロジーズは、電子部品見本市「エレクトロニカ」（開催地：ミュンヘン、2006年11月14日～17日）において、新しい超小型シリコンマイクを発表しました。こ れはコンシューマ製品やコンピュータ通信機器を対象としたもので、サイズは従来型マイクの約半分、消費電力は3分の1となっています。本製品はシリコンMEMS（微小電子機械システム）技術で作られ、従 来型マイクと同等の音響性能や電気特性が得られるだけでなく、より壊れにくく耐熱性にも優れています。こうした特長を利用することで、マイクを組み込んださまざまな製品を生み出すチャンスが広がり、設 計の柔軟性も高まります。

新しいシリコンMEMSマイクは今日一般的に使われているコンデンサマイク（ECM）に比べてはるかに耐熱性が強く丈夫です。イ ンフィニオンが開発したシリコンMEMSマイクは最高260℃の温度に耐え、振動や衝撃の影響も受けにくいという特長を備えています。耐熱性が強いため標準的なプリント基板へのはんだ付けも容易で、一 般的に採用されている、はんだリフローを含む全自動製造ラインでの利用に適しています。電源は1.5-3.3Vで、消費電流はECMマイクの約3分の1にあたる70µAに抑えられています。

このマイクはMEMSチップと特定用途向けIC（ASIC）の2つのチップで構成され、いずれも同じ1つの表面実装型デバイスにパッケージングされます。M EMSチップは穴の開いた硬い背面電極と柔軟なシリコン膜からなっています。このシリコン膜がキャパシタとして機能し、音圧を静電容量に変換します。次にASICが静電容量の変化を電気信号に変換し、ベ ースバンドやアンプなどの処理デバイスにこれを伝達します。

シリコンMEMSマイクは、携帯電話やハンズフリーヘッドセット、デジタルカメラやビデオレコーダーなどのコンシューマ用電子機器、ノートパソコン、補聴器などの医療機器、自 動車用のハンズフリー通話セットなど、幅広いアプリケーションに利用できます。

「たとえば産業用機械の稼働状況をモニターする音響センサなどにも利用できると考えられます」とインフィニオンテクノロジーズのペーター・シーファー（自動車・産業・マルチ市場部門、デ ィスクリート半導体事業ユニット責任者）は話しています。

インフィニオンのシリコンMEMSマイクは、MEMSとASICを組み合わせて1つのパッケージに収めている点と、関連した製造スキルも一元的に１社で提供できる点で、他社と大きく異なっています。M EMSマイクの製造技術は、オーストリアのフィラッハにあるインフィニオンの拠点で開発されたものです。

市場調査会社のヴィヒト・テクノロジー・コンサルティング社（WTC）は、シリコンマイクの市場規模が2005年の5,600万ドルから2010年には6億8千万ドルに伸びると見ています。シ ーファーはこの予想を受けて、「シリコンマイクはすぐに市場の定番製品となるでしょう。当社は適正な製造キャパシティの確保に努め、シリコンマイクのトッププロバイダを目指します」と述べています。

インフィニオンはすでに加速度計、ジャイロスコープ、圧力センサ、BAW（バルク弾性波）フィルタといったメカニカルおよび無線（RF）MEMS製品を提供していますが、新 しいシリコンMEMSマイクはこの製品ポートフォリオをさらに拡大します。

新しいMEMSマイクの技術特性
インフィニオンのシリコンMEMSマイクは、SN比59dBA、感度10mV/Paという高い音響特性を備えているため、コンデンサマイクとの代替が可能です。さらに、シ リコンMEMSマイクは温度が変化してもきわめて動作が安定しています。

パッケージは4.72mm x 3.76mm x 1.5mmとコンパクトかつフラットで、よりサイズの大きなマイクに比べて製品設計の幅が広がります。複 数のマイクをアレイ状に配列して指向性を持たせることも容易です。シリコンマイクは品質適合要件を満たし、経時変化が少ないという特長もあります。平均的な消費電流は70µAと低く、動 作電圧は1.5-3.3Vとなっています。

詳細については www.infineon.com/microphoneをご参照ください。