インフィニオンが第二世代のSiCショットキー・ダイオードを投入 高効率・高信頼性のスイッチング電源を実現

2006/03/21 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、米テキサス州ダラスで開催されたAPEC(アプライド・パワー・エレクトロニクス・カンファレンス)において、シリコン・カーバイド(SiC)技 術をベースとした第二世代ショットキー・ダイオードを発表しました。SiCショットキー・ダイオードの先駆者インフィニオンが新たに投入したthinQ!™ 2Gファミリは、前 世代の比類ないスイッチ性能をさらに強化しています。

新しいSiCダイオードは、サージ電流耐量を前世代の2倍以上に高め、堅牢さを増しています。これにより電源起動時の突入電流や過電流に対処でき、スイッチング電源(SMPS)における力率改善回路( PFC)に最適となっています。他の高圧SiCショットキー・ダイオードと違って、システム設計者や電源メーカーは所与のアプリケーションに対してダイオードを大型化する必要がなく、小 型で低価格のダイオードを利用できるので、ダイオードのコストが30パーセントから50パーセント低減するほか、アプリケーションの堅牢さも増します。

インフィニオンのゲラルド・デボイ(パワーマネジメント&サプライ事業ユニット、テクニカル・マーケティング担当)は次のように述べています。「インフィニオンのSiCショットキー・ダイオードは、ス イッチング電源の製造コスト削減に役立ちます。スイッチングロスが減少し、スイッチング周波数が高くなるので、受動部品が小型化・低価格化し、トランジスタのコスト効率が高まります。第二世代の投入で、S iCデバイス利用のエントリーポイントはより低電力化するでしょう」

SiCショットキー・ダイオードはPFCアプリケーションに最適です。PFC市場には多くの法的規制が絡んでいます。その1つであるヨーロッパのEN61000-3-2は、消 費電力75W以上のオフライン・アプリケーションの高調波に制限を設け、事実上PFCの使用を義務づけています。全世界のアクティブPFC機器の市場は、2006年の約12億台から2011年には21億台へと、年 率平均で12.3パーセント成長することが予想されています(出典:Darnell Group 2006)。コンピュータ、家電、通信、照明用バラスト、産 業用途などさまざまな電源製品でPFCのニーズが高まっています。

SiCショットキー・ダイオードは従来のシリコンPINダイオードとは異なり、ハード整流時に逆回復電荷や電流が生じません。したがってスイッチングロスがきわめて小さく、高 周波動作に適した条件を備えています。さらに、スイッチング性能は順電流やスイッチング速度、温度の影響を受けません。第二世代SiCショットキー・ダイオードでは、P IN-ショットキー構造を通じて過電流や過電圧の特性が大幅に改善されています。

提供時期、パッケージング、価格
インフィニオンの新しいSiCショットキー・ダイオードのサンプルは、ブロッキング電圧600V(4A、5A、6A、8A、2 x 5A、2 x 6A、2 x 8A)で、コ ンパクトなTO(トランジスタアウトライン)-220およびTO-252(D-Pak, MSL3)パッケージに実装されています。SiCショットキー・ダイオードIDT04S60C(4A)の 10,000個受注時の単価は1.50ユーロ(1.80ドル)以下です。

背景情報:SiCショットキー・ダイオードのPFCアプリケーションへの利用
シリコン・カーバイドは高耐圧パワー半導体に最適な材料です。他のショットキー・ダイオードに比べてショットキー・バリアが高いほか、ブレークダウン電界強度もきわめて高く、熱 伝導性は銅に比肩します。こうした特性により、低いリーク電流とオン抵抗、優れた熱挙動が得られます。シリコンとガリウムヒ素のショットキー・ダ イオードがもたらすブロッキング電圧は約200V-250Vどまりですが、SiCダイオードではこれを1,000V以上にすることも可能で、成 長目覚ましいPFC市場に新しいシステムとトポロジーをもたらす可能性があります。

ブースト・コンバータは通常アクティブPFCに用いられます。その実装方法には、DCM(不連続導通モード)とCCM(連続導通モード)の2種類があります。C CMソリューションは超高速ダイオードを必要としますが、最高電流を大幅に引き下げるなど多くの利点を持ち、小型の受動システム部品やパワースイッチ回路、シンプルなEMIフィルタなどに利用できます。S iCショットキー・ダイオードは他のダイオードに比べて高い動作電圧を供給することができ、シリコン・ダイオードに見られる逆回復やこれに伴うパワーロスもなく、CCM PFCアプリケーションに最適です。そ のためより低価格のMOSFETを選択することができ、システムコストを引き下げます。インフィニオンのSiCショットキー・ダイオードをPFCアプリケーションに利用することで、電 源設計にあたってスイッチ周波数を高め、サイズを縮小し、受動部品数を減らし、ヒートシンクの縮小や撤廃、信頼性向上、電源の高密度化、効率改善を図ることができます。

インフィニオンのSiCショットキー・ダイオードに関する詳細情報は以下でご覧いただけます。
www.infineon.com/sic 
 

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。2005会計年度(9月決算)の売上高は67億6,000万ユーロ、2005年9月末の従業員数は約36,400名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
日本サイト: http://www.infineon.com/jp 

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INFAIM200603.047