インフィニオンが次世代マルチメディア通信システムに向け革新的な設計・回路コンセプトを発表

2006/02/09 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、サンフランシスコで開催されたISSCC 2006(IEEE International Solid-State Circuits Conference、2 月4日~8日)において、次世代マルチメディア通信に向けた革新的なメモリチップ設計についての論文を含む、13件の技術論文を発表しました。インフィニオンはこれらの論文を通じ、将来の通信技術要件を満たし、モ バイル・ブロードバンド通信を可能にする画期的な回路コンセプトを紹介しています。

インフィニオンは通信IC技術のリーダーとして、世 界初の4バンド対応シングルチップGSM/GPRS無線ICと業界初のWiMedia/MBOA準拠UWBトランシーバの2つの高集積度ワイヤレス製品について発表しました。い ずれも標準CMOS技術を利用して開発された製品です。さらにインフィニオンは、費用対効果の高い省電力フィーチャーフォン・ソリューションのひとつとして、特殊なマルチメディア機能を備えた高性能90nm GSM/EDGEベースバンド・プロセッサを紹介しました。

インフィニオンの取締役会メンバーで通信ソリューション部門の責任者を務めるヘルマン・オイルは次のように述べています。「当社の通信ソリューション部門は、最先端の半導体開発・製造を通じ、電話、デ ータ、テレビ番組などがエンドユーザ端末までスムーズに伝送されることを可能にし、未来の通信技術をリードします。今回の論文発表を通じて、各種通信機器の融合が進むであろう次世代に向け、イ ンフィニオンには高性能、モバイル性、省電力、低コストを兼ね備えた高度な半導体ソリューションを提供する準備が整っていることをアピールできました。」

インフィニオンがISSCCで行った通信アプリケーション関連の発表の概要は以下の通りです。ここでは無線通信用チップ設計の進歩について、重点的に紹介します。

130nm CMOSによるGSM/GPRS用統合SoC
標準130nm CMOS技術を用いたこの4バンドGSM/GPRS用シングルチップ無線ICは、RF、アナログ/ミクストシグナル、DSP(デジタル・シグナル・プロセッサ)、アプリケーション・プ ロセッサ、RAM/ROM、音声の各機能を初めて完全統合したものです。デジタル・ロジックとRF機能をシングルチップ化する上で最大の課題の1つは、クロストークです。この論文では、デ ジタルブロックからRFブロックへのクロストークを最小化し、シングルチップ実装であらゆる帯域とチャネルの仕様を満たす方法を示しています。発表に用いたチップはGSM携帯電話のコアデバイスです。こ れにパワーアンプ、パワーマネジメントIC、スイッチ、フィルタを加えれば、4バンドGSM/GPRS端末が完成します。

380MHz ARM9コアとミクストシグナル拡張機能を備えた90nm CMOS低消費電力GSM/EDGEマルチメディア対応ベースバンド・プロセッサ
このベースバンドICは、高性能380MHz ARM926プロセッサコアとTEAKlite DSPを統合したものです。16ビットHiFi音声フロントエンドとアナログ/ミ クストシグナル機能などの特殊なマルチメディア拡張機能を組み合わせたこのチップは、フィーチャーフォン用のソリューションとして優れたコスト効率を発揮します。消費電力は最大40%低減されるため、バ ッテリ駆動時間も大幅に延びます。

UWB向けWiMedia/MBOA準拠CMOS RFトランシーバ
UWB(Ultra-Wide band)は近距離ワイヤレス技術の1つで、いわゆるワイヤレス・パーソナル・エリア・ネットワーク(WPAN)に適し、Wi-FiやWiMAX、携 帯電話の広域通信といった長距離ワイヤレス技術を補完します。UWBは、ホスト装置から至近距離(10m以内)にある他の装置との高速無線データ伝送に使われます。今回インフィニオンが紹介する130nm CMOS RFトランシーバは、WiMedia/ MBOA(Multi-Band OFDM Alliance)の3-5GHz帯域UWBデータ通信規格に初めて適合したデバイスです。従 来のCMOSやBiCMOS SiGeの実装に比べ、送信出力(15dB)やノイズ(3.6-4.1dB)が大きく改善されています。

インフィニオンはさらに、次世代通信システムの重要コンポーネントに向けた半導体設計の発展について、2件の論文を発表しています。

65nm CMOSによる10ビット10GHzデジタル制御LCオシレータ(DCO)
DCOは、デジタルPLL(フェーズ・ロック・ループ)とRFトランシーバのフル統合実装、すなわち携帯電話の重要なコンポーネントです。インフィニオンがISSCC 2006で発表したこのDCOチップでは、動作周波数が初めて10GHzを超えています。新しいアーキテクチャとレイアウトのコンセプトを採用したこの65nm CMOSデバイスは、低 消費電力と高いチューニング性能を実現し、消費電力は1.1V電源でわずか3.0mAです。


130nm CMOSによる14ビット100MS/sデジタル自動較正パイプラインADC
高集積度の通信システムでは、高速・高解像度で低消費電力のアナログ-デジタル・コンバータが必要となります。従来のパイプラインADCでは、フロントエンドS/H(サンプル/ホ ールド)と最初の乗算型DACが最も電力を多く消費します。インフィニオンが発表した新しいADCデザインは、画期的な電荷補償スキームによって専用フロントエンドS/Hを不要にし、節電を可能にします。ま た新しいデジタル較正アーキテクチャは、シンプルなローゲインOPアンプを採用し、さらなる高解像度を可能にします。このアーキテクチャの動作電圧は1.5Vですが、供 給電圧をより低くしてさらに加工微細化を進める道も開かれています。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、メモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、アジア太平洋地域ではシンガポール、そ して日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。2005会計年度(9月決算)の売上高は67億6,000万ユーロ、2005年9月末の従業員数は約36,400名でした。インフィニオンは、フ ランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト: http://www.infineon.com
日本サイト: http://www.infineon.com/jp 

Information Number

INFXX200602-034