インフィニオンがDRAMトレンチ技術で70nmプロセスへのスケーラビリティを実証

2004/12/14 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、サンフランシスコで開催の2004年IEEE国際電子デバイス会議(IEDM、会期12月13~15日)において本日、 300mmウェーハ上でディープトレンチ(DT)セルを使用した次世代DRAMのための、量産性に優れた70nmプロセス技術を発表しました。今日、世 界のDRAM生産の約25パーセントにトレンチ技術が適用されています。インフィニオンは論文で、個別プロセスの統合の全体象と主要な技術的特徴を示しました。これには、ト レンチ型DRAM製造プロセスとして初の高誘電率(high-k)材料が含まれます。インフィニオンは70nm DRAM開発計画で技術的ブレークスルーを達成し、トレンチ技術のスケーラビリティを実証しました。

インフィニオンは、70nmプロセス技術におけるこの技術的ブレークスルーにより、300mmウェーハ上でのDRAM製造の生産性向上とDRAM供給能力増強が可能になると見込んでいます。プ ロセス構造の縮小により、チップ寸法が約30パーセント縮小され、ウェーハあたりのチップ生産数が増加します。ガートナー・データクエストの最近の予測によれば、世界のDRAMビット需要は、コ ンピューティングからデータストレージや民生エレクトロニクスまで多彩なアプリケーションの広がりで、2003年から2008年への平均成長率は、51パーセントまで上昇するとされています。

インフィニオンが発表した70nmトレンチ技術では、トレンチキャパシタ内に初めて高誘電率材料(Al2O3)を採用しています。キャパシタプレート間に高誘電率材料を適用することにより、キ ャパシタンスが大幅に増加し、キャパシタの小型化が可能となります。これに加えて、すでに90nmトレンチ型DRAMデバイスの製造で実績のあるいくつもの革新技術が適用されています。こ うした革新技術のひとつに、リソグラフィおよびアスペクト比の高いエッチングプロセスにとって有利な、新しい、対称性の高いチェッカーボード(CKB)セルレイアウトが含まれています。

キャパシタンスのさらなる増強は、ボトル形状のトレンチと半球状シリコン粒界(HSG)の導入によって達成されました。両者は、トレンチキャパシタの表面積を増加させ、こ れによってトレンチ型ストレージキャパシタのキャパシタンスを増加させます。

DRAM技術はメモリセル寸法の縮小に関して大きな課題に直面しています。ショートチャネル効果を克服するために、基板ドーピングレベルを高めなければならないからです。他方で、データ保持能力は、D RAMストレージキャパシタに接続されたデバイス接合部にかかる電界によって強く影響されます。データ保持時間の電界上昇に対する依存性は広く報告されており、基本的に、ド ーピング濃度の高まりにともなう接合部リークの増加に起因します。その対策として、ディープトレンチ技術における垂直アクセストランジスタや、スタックキャパシタ技術おけるリセス構造デバイスなど、い くつもの提案がされてきました。これらのコンセプトの背景にある基本アイデアは、アレイトランジスタのチャネル長をシリコン表面で延長して、より低いドーピング濃度を可能にすることです。ただし、デ バイス駆動電流の低下が代償となります。

こうした他のアプローチと異なり、インフィニオンが開発した新しいDRAMセルのスケーラビリティは、チャネルに沿った高度に非対称で非均質なドーピングプロファイルをベースにしています。こ のコンセプトによってインフィニオンの研究陣は、プレーナ型DRAMセルデバイスのさらなる縮小と、デバイス駆動電流に関する顕著な優位性の維持を可能にしました。D RAMデータ保持時間を維持するもうひとつの鍵は、最小寸法の急速な縮小によって生じるストレージキャパシタンスの減少を補填することです。ディープトレンチ技術では、70:1という非常に大きなアスペクト比( トレンチの深さと幅の比)が達成され、これによってプロセス寸法の縮小にも関わらず、十分なキャパシタンスの実現が可能です。

インフィニオンは現在、DRAM生産の大部分をトレンチキャパシタセルを適用した110nmプロセス技術で行っています。トレンチキャパシタセルは、DRAM業界で最良の面積効率を持っています。面 積効率の優位性は、より小さなダイサイズ、ウェーハあたりより多くのチップ数、そして、生産コストの低減につながります。

IEDMで発表された論文は、インフィニオンテクノロジーズとナンヤテクノロジー(南亜科技、台湾)との共同開発作業に基づいています。この共同開発は、Infineon Nanya Trench Alliance(INTA、ドイツ)による90nmおよび70nm DRAM開発をカバーしています。

論文のための作業の一部は、欧州連合EPRE基金と、ドイツ連邦共和国ザクセン州からの資金援助を受けました。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2004会計年度(9月決算)の売上高は71億9,000万ユーロ、2004年9月末の従業員数は約35,600名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト: http://www.infineon.com

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INFMP200412.022

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  • In deep trench technology very large aspect ratios (depth versus width of trench) of more than 70:1 are achieved which allow realising sufficient capacitances in spite of smaller process structures.
    In deep trench technology very large aspect ratios (depth versus width of trench) of more than 70:1 are achieved which allow realising sufficient capacitances in spite of smaller process structures.
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