インフィニオンとフォアヴェルクが「考えるカーペット」の試作品を初公開

2004/10/19 | マーケットニュース

由緒ある歴史を持った、創造的なカーペット・ソリューション・メーカーである独フォアヴェルク・テッピッヒウェルケ(本社:ハメルン)と 半導体技術分野の革新的なリーダーである独インフィニオンテクノロジーズ(ミュンヘン)の両社が現在、未来のビジョンとして「考えるカーペット(Thinking Carpet)」の実現に取り組んでいます。両 社の共同研究は始めてから2年経ちますが、このほど電子的なネットワーク構造を持つハイテク・カーペットの試作品を独ケルンでの国際見本市「オルガテック(Orgatec)」(会期:10月19~23日)で 初めて公開しました。

優れた技術を備えたカーペット
オフィスビルでは最近、通路のあちこちでセンサやマイクロエレクトロニクスを搭載した装置を見かけます。手を触れずに操作できるトイレ設備、暗 号カード式のドアロックなどのトリガー機構や室内照明用の昼光センサなどがそうです。フォアヴェルクとインフィニオンが現在共同で推進している技術は、未来のオフィス用として、人 口知能をテキスタイル床材に組み込んで、在来のシステムやある特定の機能を持ったシステムを補完し、場合によっては代替することさえも想定しています。「これに対し、『考えるカーペット』のユニークさは、現 在はまだ目に見える装置が使われている様々な機能向けに、センサを目に見えない形で、簡単に省スペースで導入できることにあります」と、フォアヴェルク・テッピッヒウェルケの執行役員会議長を務めるヨハネス・シ ュルテはこの技術の利点を説明しました。「しかも、床材に組み込まれたマイクロチップは互いにネットワーク化されており、コンピュータ制御されますが、それらが複数のセンサ信号、そ れも異なるセンサ信号であっても、同時に登録し、適宜、解析を行います。設置費用を低く抑えられれば、このようなシステムは在来の複合的なシステムよりも明らかに効率的なものになるでしょう」と、シ ュルテは語りました。

人の助けとなる「考えるカーペット」
プロジェクトのパートナーである両社は、この技術の用途として、警報、環境制御、案内技術の3分野を特定しました。現在、それらの目的にふさわしいモジュールの最適化を行って、わ ずか7平方メリメートルのチップサイズでカーペット裏地にあとで織り込めるよう、サイズを最小化する研究を進めています。例えば、人がセキュリティ・ゾーンに入ると圧力センサが働いて、警 報を発する仕組みが挙げられます。このプロセスでは、インテリジェントなソフトウェア・ソリューションが信号を解析し、個別の使い分けもできるようになっています。従って、警報は例えば、窓 や非常口に侵入の気配を察知した時にだけ発し、出入り自由な場合には鳴らないよう設定できます。セキュリティ・ゾーンは個別に定義され、時間枠を設けてコントロールすることも可能です。登 録された信号が新たにセキュリティ・コントロールセンタに伝えられるとすぐ、警報ポイント(侵入や発火)を数秒間で正確にローカライズすることができます。そのほか、カーペットに織り込まれた圧力センサは、ド ア開閉器、照明スイッチ、入室者の電子カウンターなどにも利用できます。

「考えるカーペット」は、耐衝撃型LED(発光ダイオード)モジュールと組み合わせると、コントロールできる案内システムになります。例えば、その場合、カ ーペットに織り込まれたLEDは非常口への最短ルートをマークで表示します。様々なセンサ機能(圧力、温度、モーションなど)を組み合わせれば、床に倒れて動けない人があると、それを見つけて、救 急コールを発信させることが可能です。こうして、「考えるカーペット」は、例えば卒倒時など、要救助者のためのライフセーバー(救命手段)となります。

秘密は文字どおり、裏側に
堅牢なマイクロチップの自己組織化ネットワークは、「考えるカーペット」の中でデータの識別と処理を担います。この場合、自己組織化とは、「 何らかの理由でセンサに不具合があった場合、近隣のプロセッサが自らの位置を利用して新しい接続ルートを見つけ、それにより、不具合個所が迂回され、機能が維持される」ということを意味します。また、そ の特質から、カーペットの裁断や部位の取り替えまたは追加がいつでも可能です。装着する各センサはテキスタイル材料、すなわちカーペットのいわゆる補助裏地層に織り込まれ、微細な配線を介して相互に接続されます。 そのため、特殊な裏地作成をフォアヴェルクが考案しました。

ハイテクにもかかわらず、「まったく普通の」カーペット
この新型カーペットに必要な半導体技術は、インフィニオンの研究部門所属の応用技術研究所が開発しました。また、フォアヴェルクの研究陣が、この技術全体を目に見えない形で、か つ安全にカーペットに組み込むと同時に、今回の業務契約からみたテキスタイル床材の長所を100パーセント保証する裏地作成の開発と、外見と手ざわりに関して担当しました。そうしたことがすべて、試 作品で達成されています。補助裏地層を作成する既存のプロセスは、この特殊なアプリケーション向けに変更が施されました。こ れと同じ手法で作られたコンポーネントを用いた当初の製造実験がすでに成功裏に行われました。その実験では、熱、圧力、ねじれなどの影響を加えた時のマイクロチップの挙動に関する情報収集もなされました。外 見的には、「考えるカーペット」は「まったく普通のカーペット」と変わらず、一見したところハイテク機能が内蔵されていることは見分けられません。この技術は、ほとんどのカーペットに応用可能となりつつあります。 また、布地の作成や色、デザインに創造性を持たせることに関して、限界はありません。

安全性100パーセントの使いよさ
このカーペットには、通常の電気コンセントを通じて電力を供給できます。非常に平坦な特殊なプラグを開発中で、これを使えば、目 に見える継ぎ目無しにカーペットの据え付けが可能で、ネットワークを邪魔せずに、様々な布地幅を相互に組み合わせることができます。動作電圧は12Vです。検 出される各種信号をどれほど分散させたいかの希望に応じて、「考えるカーペット」は、裏地内にセンサを1平方メートルあたり1個から25個収納できます。最高密度の1平方メートルあたり25個収納の場合、現 時点ではカーペットの所要電力は1平方メートルあたり2.5Wですが、この数字はかなり低減可能です。従って、1本のコンピュータ接続で最大100平方メートルのスペースを作り出すことができます。なお、安 全性には大いに注意が払われています。特殊な裏地作成によって、たとえカーペットが傷ついた時でも、怪我をする恐れはまったくないことが保証されています。また、カーペットが濡れた場合でも、イ ンテリジェントな安全性システムが働くので、ショート(短絡)によってインテリジェント・ネットワーク全体が役に立たなくなることはありません。濡れた箇所は自動的にシャットオフされ、あ とで乾いた時に動作を再開します。

新しいソリューションについてのコメント
ヨハネス・シュルテは、このプロジェクトが秘める可能性の範疇が無限に近いとみています。「『考えるカーペット』の開発により、テ キスタイル床材について強く期待されている革命と、未来に向けた業務契約におけるハイテクデザインのための礎が首尾よく築かれました」と、シュルテは語りました。フォアヴェルクにとって、このプロジェクトは、カ ーペットの利用範囲を初めて、テキスタイル床材の基本的な用途やデザインに関係した長所という領域をはるかに超えたところまで押し広げる意義があります。シュルテはさらに、「『オープンな技術』と いう考えがこのハイテク・カーペットのコンセプトの背後にあり、ほぼどんな方向へも開かれています。それゆえ、実用サイドの観点から関心あるグループと対話を行うことが今や特に重要になっています。それは、す でに特定されている領域を超えて、ニーズに合ったコスト効率の良い新たな実用的ソリューションを目指し、有能なトレーダーと組んで、このプロジェクト開発を推し進めるのが目的です」と、シュルテは付言しました。
 「考えるカーペット」研究プロジェクトは、インフィニオンが提唱する、電子的機能と一体化した日常生活のためのアプリケーションを想定した、いわゆる「テクノロジー・ライフスタイル・ソ リューション」の一部を構成します。このインテリジェント・カーペットは、電子機能と一体化した衣料品と同様に、まさにそうしたソリューションに属します。

インフィニオンの技術研究所のディレクターであるヴァーナー・ヴィーバーは、「『考えるカーペット』が市販品として熟した段階まで到達するには、あと2年間の開発が必要です。オ ルガテックで得られた知識をもとに、来年はアプリケーション分野で差別化をさらに推し進め、2007年までには、明白なサイズダウンを図りながらも、必 要な機能をすべて内蔵したシリコンチップICを量産段階にもっていくことができるでしょう」と、述べました。

なお、このカーペットの最初のカスタマーにはインフィニオン自身がなる予定です。ミュンヘン近郊のインフィニオンの新本社ビルの実験室に最初の1平方メートルの一片を設置することを計画しています。& amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; lt; /p>

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFCPR200410.008

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  • Vorwerk Teppichwerke and Infineon are revolutionising the wall-to-wall carpet - The prototype of the "Thinking Carpet" celebrates its premiere at the Orgatec 2004
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