インフィニオンが業界初のRPR Draft 2.1準拠チップ「Frea PoS Framer / RPR MAC」を発表

2003/05/05 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、通信事業者がADSLなどに代表されるブロードバンドの急増により逼迫しているメトロエリアのインターネット・バ ックボーンなどに対して有望な通信プロトコルとして期待されているIEEE 802.17 RPR(Resilient Packet Ring:障害回復機能を持つパケット・リング技術)標準の Draft 2.1に業界で最も早く準拠させた光ネットワーキング用ICファミリを投入すると発表しました。新製品「Frea PoS Framer/RPR MAC」 は、インフィニオンの広範な光ネットワーク・ソ リューション製品ラインナップを一段と強化します。

このシングルチップ「Frea」デバイスは、フレーマ、RPR MAC、シリアライザ/デシリアライザ、そして1Mバイトのメモリで構成される4つのコンポーネントをワンチップに集積したものです。「 Frea」は、この高集積化により、部品コストの大幅な削減を可能にします。特にRPR MAC部は、現在のところ通常は非常に高価なFPGAで実現されています。また、低消費電力化、実装面積の削減、ボ ード設計の簡易化とソフトウェア開発の一元化による開発期間短縮、エンジニアリソースの削減などにより、スイッチやルータの製造コストと開発コストの両面において大幅な低減をもたらします。

RPR技術は、光ネットワークシステムにおいて高速Ethernet通信の利用をサポートするために使われます。「Frea」チップは、MAN(都市圏ネットワーク)やWAN(広域ネットワーク)に RPRを導入する際に必要な、10Gigabit Ethernet、PoS(Packet-over-SONET)フレーマ、RPR MAC(メディア・アクセス・コントローラ)、XAUI SerDes( シリアライザ/デシリアライザ)の各機能を備えています。この高集積ICは、RPRオペレーションに必要な1Mバイトのオンチップ・メモリのほか、16ビット800MHz SPI-4.2システム・イ ンターフェイスや、4ビット3.125 GHzインターフェイス(XAUI)も内蔵しているので、外付けメモリを必要とせず、R PRをフル実行させる際に必要とされていた2個のチップをつなぐ外付けSerDesが不要になります。

通信市場調査&コンサルティング会社RHKのアラン・アームストロング(通信用半導体担当ディレクタ)は、「RPRは、効率的なデータ多重(spatial reuse)お よびEthernetマッピングの長所を活かして、北米のMSO(ケーブルテレビ統括運営会社)や中国の新興キャリア各社で採用の機会をつかんでいます。RPRがもっと広く受け入れられるには、LEC( 地域系通信会社)各社の在来型SONET/SDHシステムに広く採用されるよう、浸透させなければなりません。インフィニオンのFreaは、RPRとSONETのどちらの方式でも運用可能なため、シ ステムベンダやキャリアはSONETとRPRのどちらを選択するか迷わないで済み、RPRの普及促進に寄与するでしょう」と、語りました。

インフィニオンのサボド・トプラニ(有線通信グループ上席副社長兼ゼネラル・マネージャ)は、「Freaチップは、広大なパケット・デ ータ市場に標準ベースの製品を投入するインフィニオンの目標に沿って、さらに一歩前進しました。新製品は、当社の光ネットワーキング・ソリューション・ラインナップを強力に拡充するものであり、よ り幅広いネットワーク・トポロジーと運用機会を顧客企業に与えます。当社は、そうしたデバイスの開発を進めて、既存ネットワークやその進化版をサポートするだけでなく、将 来の通信インフラを形成する革新的なネットワークの実現を目指します」と、語りました。

RPR技術
IEEE 802.17委員会で標準化作業が進められているRPR技術は、Gigabit Ethernet(GbE)をMANやWAN環境へ拡張するシステムとして広い支持を集めており、通 信事業者、装置メーカーそしてインフィニオンを代表とする半導体メーカーなどから毎回200人以上の参加者を集める最も注目を集めている委員会のひとつとなっています。RPRは、E thernetベースのネットワークが持つ簡便性や高い帯域幅効率とSONET網のキャリア・クラス機能を兼ね備えた、ISOモデル第2レイヤに相当するMAC技術です。

現在データネットワークで主に利用されているのはPoSやEthernet光インターフェースをハブスポーク型で接続したネットワークであるのに対して、RPRはリング型の接続となります。こ の特徴を応用して、障害回復時間50ms以内など伝送装置が提供する高い信頼性と、データ通信特有のバーストトラフィックに対応した統計多重機能を併せ持ちます。また、ハ ブスポーク型のネットワークに対してリング型トポロジーは伝送距離が短くなり、ポート数が少なくできるので、高価な光インターフェースのポート数を大幅に削減できます。また、ト ポロジーディスカバリー機能によりノードの増減がプラグアンドプレーで可能なため、従来の伝送装置などで必要とされた回線設定が不要となり、ネットワーク管理が簡易化でき、作 業時間の短縮と管理費用の削減が期待できます。また、RPR技術はその高度なQoS機能により、サービスプロバイダが音声およびデータ・トラフィックの伝送を行うための効率的な高速ネットワークを構築し、同時に、 投資および運用コストの軽減をはかる上で中心的な役割を果たします。

仕様がまだ流動的だったRPR標準化作業の初期においては、大半の部分について、FPGA(フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ)やネットワーク・プ ロセッサをベースに内製的な開発をするしか手立てがありませんでしたが、サイズやコストなどで制約がつきまといました。これに対し、RPRの仕様の最終バージョンで具体化されると思われる機能の大半は、すでに Draft 2.1で固まっています。このため、「Frea PoS Framer/RPR MAC」のような、効率的、高集積かつ低消費電力のASSPは、機器メーカーにとって非常に魅力的になっています。

「Frea PoS Framer/RPR MAC」は、IEEE 802.17 RPR標準( Draft 2.1)とRFC 2892 SRP(Spatial Reuse Protocol:ス ペース再利用プロトコル)の両方をサポートしており、どちらのアプリケーションにも最適です。PoSフレーマ・モード単独でも運用可能なので、キャリアにとっては、在 来型PoSネットワークの構築時に比類ない柔軟性が得られます。すなわち、単純なソフトウェア・アップグレードによる移行の必要性が生じた時、RPR対応システムに組み換えやすくなります。この柔軟性は、R PRネットワークを運用するキャリアにとって、システムの総コスト低減につながります。

「Frea PoS Framer/RPR MAC」ファミリの最初のメンバーとして、10GbpsのOC-192と2.5GbpsのOC-48でそれぞれ動作する2製品が、7 月からサンプル出荷されます。2003年後半に量産開始が予定されています。両チップはともに0.13μmプロセス技術で製造され、FCHBGAパッケージで提供されます。10Gbps版は消費電力が8 W以下に抑えられ、一括購入時の価格は1,395ドル、2.5Gbps版は同じく3.5 W以下で、645ドルの予定です。「Frea PoS Framer/RPR MAC」 ICの詳細は、下 記URLをご参照ください:
http://www.infineon.com/frea

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

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INFCOM200305.072