ESSDERC 2003においてインフィニオンが研究開発活動の成果を発表

2003/09/29 | マーケットニュース

今年の欧州固体素子研究会議(ESSDERC)が、9月16日~18日にポルトガルのリスボンで開催されました。ESSDERCは、欧州で毎年開催される、マ イクロエレクトロニクスおよびナノエレクトロニクス・デバイスの最新の発展に関するフォーラムです。今年のテーマ分野として、新型の微細化CMOSデバイス、高誘電率(high-k)材料、RF-CMOS、不 揮発性メモリ、パワーデバイス、(バイオ)センサなどが焦点となりました。

ESSDERCにおいてインフィニオンは、本会議での新しい不揮発性メモリ技術に関する招待講演と、多くの技術発表を行いました。さらに、「昨年度ESSDERCの最優秀論文賞」が、イ ンフィニオンの論文「CMOSバックエンド・プロセスで製作された金電極を持つパッシブDNAセンサ」に授与されました。以下に、インフィニオンのいくつかの論文の表題と要約をご紹介します。

非ドープ・チャネルを持つ完全空乏型SOIデバイスにおけるドレイン・リークの仕組み
インフィニオンは、非ドープ・チャネルを持つ完全空乏型SOI(Silocon on Isolator)デバイスのリーク・メカニズムに関する研究結果を発表しました。この種のデバイスは、在 来のバルク・トランジスタと比較して、より大きなオン電流を示しますが、その代償として、リーク効果の影響を受けやすくなります。今回の研究結果では、エネルギー・バランス計算上は、リーク電流の増加は、バ ンド間トンネルと衝突イオン化効果に帰することができることが示されました。適切なトランジスタ設計を用いれば、リーク効果を抑制することが可能です。

最小ゲート長20nmの超薄型SOIトランジスタの走査型広がり抵抗顕微鏡(SSRM)を用いた特性描写
走査型広がり抵抗顕微鏡(SSRM)は、キャリア・プロファイリング技術をベースとした原子力顕微鏡(AFM)です。SSRMは、広がり抵抗を測定することにより、デバイスの2Dドーピング・プ ロファイルと実効ゲート長に関して信頼できる情報を提供します。今回紹介されたSSRM測定結果は、透過電子顕微鏡(TEM)および電気測定の結果と見事に一致しています。S SRM測定の空間分解能は3nm以下で、2Dキャリア・プロファイリングの空間分解能に関するITRS(半導体のための国際技術ロードマップ)の要件を満足できます。

AI2O3誘電体を用いた新型の電荷トラッピング・メモリの記憶保持時間
インフィニオンは、原子層デポジションによって作られた酸化アルミニウム層内の電荷トラッピングを応用した、新型不揮発性メモリの試験構造を発表しました。試験構造の主要な物理パラメータは、実 験的に確認できます。周知のファウラー・ノルドハイム(FN)型プログラマブルONO(酸化膜・窒化膜・酸化膜)メモリと異なり、この新メモリでは、酸 化アルミニウムがトラッピング誘電体ないしコントロールゲート誘電体として働きます。この方法により、現在の電荷トラッピング・メモリと比較して、等価的な酸化物の厚さを20パーセント以上薄くできます。さらに、 最新のONOメモリと比較して、適切な設計によって、記憶保持時間や消去効率などの重要な特性を改善できます。

CMOSニューロ・センサの技術的側面:バックエンド・プロセスとパッケージング
この論文は、インフィニオンの「ニューロチップ(NeuroChip)」の技術的側面について述べたものです。細胞の外部の神経活動を高密度センサ・アレイで記録するため、高 誘電率(high-k)材料を適用した拡張CMOSプロセスが用いられました。この高感度センサ・アレイにより、神経細胞の極めて低い電圧(数百マイクロボルトの領域)を測定できます。神 経細胞が発生する生体信号をセンサ下部のCMOS回路へ結合するために、バイオ・コンパチブルな誘電体が使用されました。トランスデューサ(変換器)はTiO2とZrO2から成る多層構造をしており、0 .5μm標準CMOS技術のバックエンド・プロセスで製作されました。センサ・チップ上部の特殊パッケージの中で、生きた細胞が培養されました。

ヘテロ接合バイポーラ・トランジスタの熱抵抗測定法
インフィニオンは、先進的なヘテロ接合バイポーラ・トランジスタ(HBT)の自己発熱を測定するための方法を発表しました。この測定技術は、他の大多数の方法と異なり、非 常に多くの種類のトランジスタに適用でき、生産ラインでの自動測定に利用できます。もう一つの利点は、エミッタ抵抗も査定されることです。この技術はすでに、S iGe-HBTおよびGaAs-HBTに適用されて成功を収めています。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFCPR200309.130