インフィニオン、アギア・システムズ、モトローラが共同でDSP技術の開発およびライセンス会社を新設

2002/06/18 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、米アギア・システムズおよび米モトローラ両社と共同で新会社「スターコア社(StarCore, LLC)」を設立すると発表しました。新会社は、通 信機器や民生用電子機器の新製品に幅広く利用できるよう、簡単でコスト効率よく採用できる特長を持ったDSP(デジタル信号処理)技術の開発とマーケティングに照準を合わせます。

スターコア社は、定評ある「StarCore」 DSPアーキテクチャをベースに、スケーラブルなDSP「コア」を開発し、ライセンス供与します。規 制上の認可やその他の慣行上の締結条件を前提としていますが、2002年夏後半に業務を開始する予定です。スターコア社は米国テキサス州オースティンに本社を、イスラエルのテルアビブに支社を置きます。最 初の主要な顧客はアギア、インフィニオン、モトローラで、世界中の半導体メーカーや通信機器プロバイダに製品を販売します。

新会社の最高経営責任者(CEO)であるThomas Lantzschは、「スターコア社の目標の中心となるのは、ライセンスを公開することにより国際級のDSPコア技術を急速に広めることです。当 社の使命と戦略は、専有のDSP技術をベースにした伝統的なDSPビジネスモデルや、ほんの1、2社にしか使われないコア設計を目的とした他の提携形態とは、いずれも一線を画します。当社は、強 力な製品と専門ノウハウ、また現在の顧客基盤を利用し、初日早々からビジネスを立ち上げます。当社が目指しているのは、D SPコアのライセンス業務と広範な提供を通じてDSPの利用分野に根本的変革を呼びおこすことです。当社のDSPコアは、通信システムや半導体デバイスのメーカーが、性 能と小型化の面でよりハイレベルな水準を達成でき、同時に、商品化までの時間を加速し、かつ生産総コストを低減できるよう支援するものです」と、抱負を語りました。

Thomas Lantzsch は、モトローラの半導体製品部門で副社長兼知的財産権部門のディレクターを務めた後、スターコア社のCEOとなりました。Lantzschは、半 導体業界において20年の経験を有し、そのうち12年間はモトローラでオペレーション、マーケティング、セールスとグローバルな経験を積み、幅広いバックグランドを培いました。

スターコア社は、アギアとモトローラのスターコア社合同デザインセンタと、インフィニオンの「CARMEL」D SPコアの設計/ライセンス事業の両方からの資源を組み合わせた事業基盤を出発点とします。各社は、スターコア社の開発するDSPコアを新しいチップ設計用にライセンス導入します。新 会社の技術開発とライセンス供与業務は、スターコア社合同デザインセンタの大きな発展を意味するものです。同センタは、アギアとモトローラだけが販売するDSPチップ用のDSPコアの共同設計を目的として、1 998年に設立されました。新会社スターコア社は、他のDSPライセンス会社と比較して、強力で競争力のある地位をただちに確立できる技術と顧客基盤による戦略的利点を有しています。

DSP技術は、無線通信をはじめとした半導体業界の主要な成長分野において枢要な役割をはたします。音声の圧縮と認識、デジタル音楽やビデオの圧縮、ブロードバンド通信などの電子機能はすべて、D SPの使用により恩恵を受けます。DSP市場に関するリサーチ会社であるフォワード・コンセプツは、幅広い応用分野を持つDSPの市場は、2006年まで、年率27%で成長すると予測しています。

フォワード・コンセプツのウィル・ストラウス社長は、「新会社のビジネスモデルと国際級の技術の提供は業界の展望を大きく変えるものです。DSPと通信分野のリーダーである3社による新会社は、半 導体メーカー、機器メーカー、設計メーカーなどの幅広い分野にスターコア社のアーキテクチャを急速に拡大する大きなチャンスを得たといえます。DSPはいまや半導体業界にとって、技術的な推進力となりました。な ぜなら、DSPのおかげで、インターネット・アクセス、マルチメディア、デジタル無線などが利用できるのです。つまり、スターコア社の未来は実に明るいものだということができます。」と述べました。

DSPは、音声、データ、ビデオの信号処理・変換を高速で実行する演算能力を備える特殊な半導体チップです。シリコンチップの設計者は、DSPコアをビルディング・ブロックとして用います。D SPコアは、多数の周辺システムやメモリ・ブロックなどの回路とチップ・レベルで接続され、コンプリートなDSPチップ・ソリューションとなります。

スターコア社の設計ゴールとして、アップグレード、リデザイン、生産が容易なDSPデバイスの開発を可能とし、新 チップ実現に必要となる複雑で時間のかかるリデザインの手間を軽減するようなDSPコアを目指しています。したがって、スターコア社のDSPコアのライセンス導入会社は、D SPベースの製品をより容易かつ迅速に市場投入できます。

スターコア社のDSPコアをライセンス導入する企業は、この新会社が展開するオープンなビジネスモデルや提供されるDSP技術から、数々の恩恵を得られます。利点として次のようなものがあげられます。

サードパーティの先進的なDSP C言語コンパイラ技術を含むDSPソフトウェアとDSP開発ツールを豊富に入手でき、それにより製品の開発費低減と商品化のスピードアップが可能になります。
スケーラブルなコアの柔軟性を活かして、価格や性能の要求に的確に対応できるDSPチップ・ソリューションを、迅速かつ簡単にカスタマイズし、コスト、サイズ、消費電力の低減をはかることができます。
生産にあたり、多様な半導体プロセス技術を利用できる強力なDSP技術にアクセスできます。
このDSPコア技術のスケーラビリティは、チップやシステムの設計者にとって重要なポイントです。たとえば、スターコア社のライセンス導入会社は、2 .5Gおよび3G携帯電話や無線基地局の設計に用いられているのと同じDSPコアを利用できるようになります。現在、代表的なシステム設計においては、電 話や基地局にさまざまなDSP技術を利用する方法がとられていますが、これでは種々のアーキテクチャをサポートするためのソフトウェアとシステムの開発費がかさみます。

スターコア社の製品は、コア設計チームからライセンス導入会社のエンジニアリング・グループまでのシームレスな流れを作り出す革新的な設計アプローチにもとづいています。スターコア社は、幅 広い付加価値のあるサービスをライセンス導入会社に提供し、DSP技術の中心的なリソースとなって利益を生むことができます。

顧客企業のエンジニアリング設計チームは、様々な製品と技術にわたる互換性と、製品世代間の効率的な移行を可能にするスケーラビリティに期待しています。スターコア社のメソドロジは、顧 客企業がこのような目的を達成する一方で、研究開発費を大幅に下げ、すぐに使用可能なコアを生みだします。さらに、スターコア社のDSPのスケーラビリティは、ソフトウェアへの投資を保護し、ラ イセンス導入会社に利益をもたらします。

最高執行責任者(CEO)のTom Lantzschは、スターコア社の利点を説明した上で、「アギアとモトローラのDSP市場での主導的地位およびStarCoreアーキテクチャを創造した経験に、 インフィニオンがライセンス用コア技術開発で培ったノウハウが加わることによって、スターコア社の急速な成功が期待できます。複雑なシステム・オン・ア・チ ップ統合技術で3社が蓄えたノウハウを活用するスターコア社は、半導体メーカーや通信機器プロバイダに対し、オープンライセンスされるDSPコア技術を駆使して豊富な製品群を生み出す基盤と、収 益性の高いビジネスチャンスを提供します」と述べました。

今回の発表に関連したオンライン・プレスキットを含むスターコア社の詳細情報は、下記の同社ウェブサイトをご参照ください:
http://www.starcore-dsp.com/

Information Number

INFXX200206.107e