インフィニオンがICカード用モジュールで生産累計20億個を達成

独インフィニオンテクノロジーズが独レーゲンスブルク・ブルクヴァインティンクにある工場で開発・生産しているチップカード用ICおよびモジュールの出荷数量がこのほど累計20億個を記録しました。ち ょうど足かけ10年目になりますが、10億個に到達したのが生産を開始して7年あまり経た1999年だったのに対し、あとの10億個達成にはそれから30カ月しかたっていません。チ ップカードのチップを金パッドで封入したものをモジュールといいます。医療現場や電話ボックス、ATM（現金自動預け払い機）などにある読み取り端末にチップカードを差し込むと、金 電極面を介して端末内のコンピュータとチップが電気的に接続されます。

2001年に全世界で出荷されたチップカードの総量は約20億個でしたが、そのうちおよそ半分に、イ ンフィニオン製のセキュリティチップがチップ単体またはモジュールに封入された形で内蔵されていました。現在世界中の携帯電話に組み込まれているSIMカードはほぼ7億5,000万枚にのぼりますが、そ の3分の1がインフィニオン製です。また、世界中で売られているプリペイド型テレフォンカードはおよそ15億枚を数えますが、その65パーセントにやはりインフィニオンのセキュリティチップが埋め込まれています。 さらに、ドイツの健康保険制度で発行されている保険契約者カードのメインサプライヤも、やはりインフィニオンです。具体的には、1993年以来のその健保カード発行総枚数は累計2億枚に達しますが、う ち1億7,500万枚がインフィニオン製です。

チップカード用セキュリティチップの世界的リーダーの立場にあるインフィニオンが昨年に出荷した同チップの数量は11億個以上にのぼりました。そ のうちテレフォンカードや健保IDカード向けが約8億6,000万個を占め、残る2億8,000万個あまりが銀行業界の発行する多機能チップカードやセキュリティ用途および携帯電話に使われました。

インフィニオンのヘルマン・オイル（セキュリティ＆チップカード用IC事業グループ責任者）は、「チップカードの快進撃が始まったのが10年あまり前です。セキュリティ・ニ ーズの全般的な高まりに加えて、当社製チップの着実な性能向上を踏まえると、この市場はもっと成長していくでしょう。市場リサーチ関係者は現在、チ ップカード用IC市場が今後数年間に年率20パーセント程度の勢いで成長すると予測しています。7億5,000万個にのぼる当社のモジュール年産能力は、当社のさらなる市場シェア拡大に決定的に貢献するでしょう」 と、語りました。

システム・オン・カード、指紋センサ、モジュールの「透かし」などの革新的なプロジェクトが技術開発の一段の進歩を促しています。国際パートナーと組んでシステム・オン・カ ードの研究に取り組んでいるインフィニオンのパッケージ専門スタッフは、電子ディスプレイ、指紋センサやインタラクティブ機能を単一カードに集積することを目指した、新しいカード・ア プリケーション創造への原動力を提供しています。それが登場すると、たとえば、ユーザはキャッシュカード上で金銭取引の状況をチェックして、そのつど出納状況を調べることが可能になるでしょう。

チップの柔軟性を高めるとともに外的影響力を抑えるために、チップ生産に用いられるウェハはますます薄くすることを求められています。レーゲンスブルク工場では現在、厚 さ700μmのシリコンウェハを「薄さ」150μm以下を標準として薄型化しています。その強度は、紙シートに匹敵します。さらに、新しい研究では100μmを切る薄さを目指しており、将 来的には20μmという超薄型にまで進むでしょう。

インフィニオンテクノロジーズ（Infineon Technologies AG）は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度（9月決算）の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。