インフィニオンがIP電話端末向けの高機能シングルチップ・ソリューションを発表
先進通信システム用ICのリーディングサプライヤである独インフィニオンテクノロジーズは、VoIP(Voice-over-Internet Protocol)電話端末向けのシングルチップ・ソ リューションを発表しました。「INCA-IP(インカ・アイピー)」と呼ばれるこの新チップは、IP電話端末の要求条件である、電話会議機能、ハンズフリー機能、高品質な音声伝達能力を満足するものです。また、 VoIPチップとしては初めてハードウェアベースのセキュリティアクセラレータを内蔵し、より高度なセキュリティを提供します。
インフィニオンはまた、通信キャリアおよび企業向けリアルタイム通信システムのリーディングサプライヤであるシーメンスICNが、将来のIP電話端末製品向けに、「INCA-IP」を 採用すると発表しました。
シーメンスICNのディーター・ヘッカー通信顧客・装置担当副社長は、「IPを媒介とした通信(CoIP)は、これまでのビジネスホンの機能と、データ・ネットワーキング技術を融合することによって、 ビジネスの場でのコミュニケーション方法を変えつつあります。シーメンスはHiPathシステムによってリアルタイム通信分野でのリーダーシップを高めています。企 業は通信コストの削減とプロセスの最適化を求めており、これがCoIPを選択する理由となっています。インフィニオンのINCA-IPソリューションは、顧客サービス品質(QoS)を 満足するための更なる柔軟性と先進的機能をもたらすと同時に、課金システムに求められる品質を備えたCoIP端末のトータルコスト低減を可能にします」と、語りました。
VoIP技術は、インターネット・プロトコル(IP)を用いて、音声をデータ・パケットに変換する伝送技術です。ネットワーク上で、音声を単なるデータとして取り扱うことにより、システムメーカーは、 個々のユーザの着信先を判別し、自動的に追随するような、高度メッセージサービスやコール・フォワーディングといったシステムを実現することが可能になりました。そうした機能を含めた「インテリジェント電話」の 諸機能は、VoIP市場を着実に発展させる原動力となっています。インスタット/MDRの市場予測によれば、米 国だけでもIP電話の出荷数量は2001年の約100万台から2006年には300万台近くに増大するとみられています。
VoIPでは、端末側での音声品質の管理や、パケット交換網における音声パケットの優先制御が課題とされてきました。インフィニオンの「INCA-IP」チップは、一体化した音声コーデック、エコー・ キャンセラ、音声パケットの優先制御機能などを搭載し、これらの課題に対するソリューションを提供しています。VoIP技術はまた、電話端末をネットワーク化されたコンピューティング装置に変容させています。そ のため、「INCA-IP」チップには、ハッカーによる盗聴やその他のアタックからIP電話網を守るために不可欠なDES(Data Encryption Standard)、3DESおよびAES( Advanced Encryption Standard)の暗号アルゴリズムのハードウェア・アクセラレータが内蔵されています。
インフィニオンのクリスティアン・ヴォルフ(有線通信グループ担当副社長兼アクセス事業ユニット・ゼネラルマネージャ)は、「当社のINCA-IPチップが早くも、リ アルタイム通信システムの世界的リーダーによって採用されたことを非常に嬉しく思います。INCA-IPは、IP電話端末のマーケットに、セキュリティの概念を持ち込むことにより、堅 牢なプラットフォームを提供し、性能面での標準となるでしょう。デジタル音声端末の開発製造において、高い音声品質を達成しつつ、大量生産を低コストで実現するためには、ア ナログ電話の専門性とデジタル設計での専門性を、高度に融合することが必須です。当社は、テレフォニー用ICソリューションのリーディングサプライヤとしての長い歴史を背景に、こ の新しい市場での優位性を確立しています」と、語りました。
「INCA-IP」について
「INCA-IP」は、端末としての基本的機能を提供するため、ハンズフリー・マイク、スピーカ、ハンドセット/ヘッドセットなどに対応したアナログフロントエンド(AFE)と、デ ジタル信号プロセッサ(DSP)を内蔵しています。オンボードの32ビット「MIPS」プロセッサが呼制御と、その他の電話端末機能を提供します。「INCA-IP」は、そ の他の端末のネットワークへの接続のためのEthernetおよびFast Ethernetポートと、将来のワイヤレスヘッドセットのための拡張機能を提供します。
「INCA-IP」は、IEEE標準「Power over LAN」やITU標準コーデック(G..711、G..723、G..729 A/B、G..722など)に準拠し、また、Caller ID(発信者ID)や、音声認識といったその他の先進技術にも対応しています。当チップは、SIP(Session Initiation Protocol)およびH.323いずれのプロトコルにも対応可能で、 音声パケット優先制御および802.1Q, 802.1pといったVLAN標準もサポートしています。
「INCA-IP」はP-LBGA-324-3パッケージに格納されています。現在、サンプルを価格25米ドルで供給可能です。また、ソフトウェア・アプリケーション開発のための、シ ステム評価ボードおよびツールキットも供給可能です。詳細は下記URLをご参照ください:
http://www.infineon.com/inca-ip
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。
Information Number
INFCOM200212.029 e
Press Photos
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Infineon Raises the Standards for Voice-over-IP Systems with New High-Integration Digital Phone Handset IC; Announces First Design WinPress Picture
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