インフィニオンが短距離および長距離対応の10Gbps光伝送用XPAKモジュールを出荷開始
独インフィニオンテクノロジーズは、光トランシーバ・モジュールのサプライヤとして初めて、短距離(SR)および長距離(LR)のデータ伝送に対応した2種類のXPAKマルチソース・アグリーメント( MSA)準拠製品を取り揃えて、サンプル出荷を開始したと発表しました。ネットワーク機器や通信機器のメーカーは、新モジュールを使用して、WAN(広域ネットワーク)、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク) 、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)における高密度データ・センター・アプリケーションなど、10-Gigabit Ethernet(10GE)および10-Gigabit Fibre Channel(10GFC)の多様なアプリケーションの要求を満足した広帯域システムを作成できます。
この小型10Gbpsトランシーバ・モジュールは、インフィニオンが2002年3月に共同で設立した光XPAK MSAの仕様を満足し、もしくはそれより優っています。一 方のモジュールは波長850nm、他方は波長1310nmで動作し、ともにIEEE P802.3ae 10GE標準およびNCITS T11 10GFC標準に準拠しています。このモジュールは、小 型で低消費電力のため、サーバ用ネットワーク・インターフェイス・カード、ホスト・バス・アダプタ、ターゲット・チャネル・アダプタ、バックプレーン、高密度実装型SAN、企 業用スイッチなどへの組み込みに理想的です。
850nm版XPAKトランシーバは、標準の多モード光ファイバで最長距離100m、広帯域の多モード光ファイバで最長距離300mの全二重10Gbps伝送をサポートします。こ れは10GE標準で規定されている最長距離66mを上回ります。また、1310nm版XPAKトランシーバは、単モード光ファイバを介し、標 準に準拠した最長距離10kmの全二重10Gbpsデータ伝送をサポートします。
インフィニオンのアヤド・アブル・エラ(光伝送モジュール事業ライン・ディレクタ)は、「最近発表されたXPAKの諸製品は、短距離または長距離のどちらかの用途に限定されたモジュールでした。当 社がこのたび、同一のプラットフォームをベースとした両方の製品を提供できるようになったことを嬉しく思います。このXPAK 10Gトランシーバ・シリーズのモジュールは、LAN、MAN(都市圏ネットワーク) 、WANへ向けた当社の豊富な光伝送製品のラインナップをさらに拡充します。今日の高密度で広帯域のアプリケーションへ向けたフォーム・ファクタとして、XPAKに弾みがついています。こ れをサポートすることは、 当社の10G製品ファミリを補完して、シリアル10Gモジュールを含む、さまざまなフォーム・ファクタを顧客企業の要望に合わせて提供する助けとなります」と、語りました。
インフィニオンのXPAK トランシーバ・モジュールは、光ファイバ物理層とプロトコル処理層(ISOモデルの第2レイヤ)を結ぶインターフェイスを提供します。モジュールには、光 トランスミッタおよびレシーバのペアと、光シリアル信号を電気パラレル信号へ変換する10Gbps XAUI(アタッチメント・ユニット・インターフェイス)が内蔵されています。高 密度アプリケーション向けに設計されており、筐体密着(belly-to-belly )実装で17インチのラインカードに最大16個のモジュールを搭載することが可能です。こ のような高密度実装でも10Gbps光エレクトロニクス機器に求められる厳しい熱管理および電磁波障害(EMI)管理の要求を損なうことはありません。トランシーバは電源を投入したまま差換えることが可能( hot-pluggable)で、ユーザフレンドリなプラグ・アンド・プレイ動作を可能にします。エンドユーザは、先ずスイッチを購入し、後日リンクを増設する(populate-as-you-go)と いう作戦をとることができます。また、これにより、アップグレード時や保守時のシステム休止を回避できます。
各モジュールの全消費電力は3.5W以下です。光コネクタ・インターフェイスとして、長距離用と短距離用を選択できます。送信電力と受信電力、モジュール温度、信号損失、レーザ・バイアス電流、レ ーザ安全アラームなど、各種のデジタル光学監視機能を備えています。組込みの自己試験機能や、各種ループバック試験モードも提供されます。
XPAK MSAについて
大きな増設工事を伴わずに増大する帯域幅需要に対応したいという要求の高まりにともない、既存の機器(サーバ用ネットワーク・インターフェイス・カード、ストレージ・ホスト・バス・アダプタ、高 密度スイッチなど)に適合した寸法を持った、コスト効率の良い、低消費電力の光トランシーバに対するニーズが高まっています。このニーズに応えるためインフィニオンは、インテルおよびピコライト両社と共同で、2 002年3月にXPAK MSAを設立しました。MSAは一般に、関連企業がシステムOEMメーカーへ標準製品を供給することを可能にするため、電気インターフェイス、物理特性、シグナリング・スキームや、そ の他の重要な特性を定義します。XPAK MSAは、EthernetおよびFibre Channel アプリケーション向けの小型プラグ式10Gbpsモジュールに対する実質的な業界標準となりつつあり、ま た、この分野で製品化を実現した最初のMSAです。
850nm版および1310nm版の10Gbps XPAKトランシーバ・モジュールはともに、現在、サンプル供給が可能です。標 準の最終版に準拠したモジュールの量産開始は2003年後半に予定されています。製品の詳細については、当社ウェブサイトをご参照ください。
インフィニオンについて
インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。
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INFCOM200212.028e