インフィニオンがIDタグICを発表 急成長するRFID市場へ参入

2001/09/11 | マーケットニュース

半導体セキュリティ製品の世界的なリーダであるインフィニオンテクノロジーズは、本日、IDシステム製品ファミリの最初のチップとなるIDタグIC「 my-d」を発表しました。同社は、この製品により、近傍型カードおよびスマートラベル応用の世界標準(ISO15693)に準拠したRFID(無線認識)市場への参入を果たしました。「my-d」の特徴として、 ユーザデータ書込みの柔軟性、大きなメモリ容量、強化されたセキュリティ機能などがあげられます。

IDタグIC「my-d」には、RFIDシステムに新しい可能性を開く「チップ共有アプローチ」が採用されています。この方式では、セキュリティ保護された複数のメモリセクタが設けられ、決 められた規則に従ってアクセスした時にのみ、異なる関係者が各セクタのデータを扱えます。この方式により1個の「my-d」を、製造業者、流通サービス会社、小売店などが多様な目的で使用できます。こ の技術による潜在的な経済的利益は計り知れません。

IDタグIC「my-d」とその「チップ共有アプローチ」は、高度セキュリティと大容量メモリを備えたスマートカードICの設計と製造におけるインフィニオンの経験から生まれたものです。「my-d」 は13.56MHzで動作する無線デバイスです。重複のない(ユニークな)IDコードと、最大10Kビットのセキュリティ保護された書込み可能メモリを備えています。このメモリは、異 なるユーザグループのために、 複数のセクタに分割できます。暗号鍵で保護されたセクタも提供されます。「my-d」は、多様な寸法形状の物品に対応可能で、標準に準拠したリーダ(読取機)で アクセスすることにより、メ モリのデータが出力されます。

2000年には、RFID技術の世界市場は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスを含めた売上レベルで、約8億9,800万ドルに成長しました。主な用途は、物 流システムにおける物品の管理や経路追跡と、セキュリティです。ベンチャーディベロプメント社(www.vdc-corp.com)が2001年5月に出版した調査によると、上 記総額のうち無線チップの売上は7,630万米ドルでした。2005年まで、全体の売上は年率24%で成長し、その中でICの売上は年率34%で成長すると予測されています。

インフィニオンテクノロジーズのインゴ・スセミール(IDシステムIC事業ユニット担当副社長)は、「インフィニオンのRFID市場参入の戦略は、I Dシステム全体のソリューションを提供することです。即ち、チップとシステムアーキテクチャを起点として、パートナ間の調整を行い、システム全体を実現していくことです。チップレベルで優れた製品を供給し、シ ステム統合とソフトウェアの両面で主導的な会社とパートナを組むことで、当社がこの分野で突出できると確信しています」 と、語りました。

IDタグIC「my-d」の特長
IDタグIC「my-d」は、近傍型カードおよびスマートラベルのRFID国際標準であるISO/IEC15693に準拠し、イ ンフィニオンの非接触近接型製品のメモリおよびセキュリティアーキテクチャと完全な互換性があります。この国際標準は、IDチップとリーダ間のデータ交信の通信手順とインターフェイスを定義しています。標 準に準拠していれば、どのリーダでもチップに対応できるので、近傍型RFIDを応用したスマートラベル市場の発展に助けとなっています。スマートラベルは、紙の薄さで、使い捨てできるコスト重視の製品です。数 1,000ないし数100万もの項目を、素早く正確に認識し、追跡し、管理する必要のある産業にとって、きわめて有効なソリューションです。スマートラベルは、簡単なバーコード方式と比較して、ユニークなID、大 きなラベル情報量、目視走査に代わる無線リーダを使った情報の自動読取りなど、RFID技術のすべての利点を提供します。

スマートラベルの威力をさらに高めるため、IDタグIC「my-d」では、ユーザデータ用のメモリ容量が増大され、さらに、特定データへアクセスするユーザの管理と制限を行う手段が提供されます。

インフィニオンは現在、特定の市場要求に応えるために、2種類のIDタグICを用意しています。単純なプレインモードメモリを備えた「my-d 10P」と、暗 号モードメモリでセキュリティを強化した「my-d 10S」です。後者では、最大14の暗号鍵により、保護されたメモリセクタへのアクセスが管理されます。両者のIDタグICとも、ユ ーザデータ用として1ページ8バイト構成で125ページまでのメモリを内蔵しています。資格を持つシステム管理者は、これらのページを異なる大きさのセクタに構成できます(そのアクセスは、2 バイトのアクセスコードで管理されます)。暗号モードのアプリケーションでは、チップの読取りに使用される無線トランスポンダが、セクタ別の暗号鍵を保持します。ユ ーザ側の柔軟性を許容しながらセキュリティを確保するため、資格を持った管理者のみがデータの消去と書込みを行えるようになっています。

IDタグIC「my-d」の最大データ容量は、現在市販されている他の13.56MHzチップよりも5~40倍大きい10Kビットです。こ のチップはインフィニオンの0.25μmプロセス技術で製造されているので、大容量メモリを持っているにもかかわらず、チップ面積は他の製品と同等です。ICの動作距離は、ラ ベルと無線トランスポンダの配置に応じて、読取りおよび書込み機能に対しては最大70cm、ゲート機能では最大120cmになります。

ターゲットアプリケーションと供給
IDタグIC「my-d」は、情報システムに物品についての知識を持たせ、eコマース(電子商取引)の運営に必要な情報を提供し、国 際サプライチェーンの全関係者に正確な資産データを提供します。こうした機能は、スマートラベルを、サプライチェーン、物流管理、資産管理などに適用するための最適な手段を提供するものです。応用例として、製 品に関する無線ベースのドキュメント、商品の製造拠点から販売拠までの追跡、小売店における商品の監視などがあげられます。チップは単一対象に専用に使うことを前提に設計されているので、潜 在市場は毎年膨大な数にのぼります。

IDタグIC「my-d」は現在、サンプル供給中です。量産対応は2001年10月初旬の予定です。ICは、ウェハ(カットなし)、もしくはインレイ(PETシート、アルミのアンテナ付き)の 形で出荷されます。

インフィニオンについて


Information Number

INFCC200109.117e

Press Photos

  • Infineon Enters Fast Growing "Smart Label" Market with my-d, Defines New Paradigm for Cost-Effective Radio Frequency Identification Solutions
    Infineon Enters Fast Growing "Smart Label" Market with my-d, Defines New Paradigm for Cost-Effective Radio Frequency Identification Solutions
    Press Picture

    JPG | 758 kb | 1333 x 998 px