インフィニオンテクノロジーズがシングルチップSHDSLトランシーバICを発表

2000/04/05 | マーケットニュース

インフィニオンテクノロジーズは、シングルチップSHDSL(Symmetric High-bit-rate Digital Subscriber Loop)トランシーバIC「SOCRATES」を 発表しました。このデバイスは、インターネットとともに急速に成長しているDSL市場において、カスタムの高速加入者アクセスや交換局に適用されます。伝 送速度は160kbpから2360kbpsの範囲をカバーし、ETSI SDSL規格およびITU G.shdsl規格に完全適合しています。このデバイスは、回 線符号として高度に洗練された16レベルTC-PAM(格子符号パルス振幅変調)方式を採用し、スペクトル的に他の技術とのすぐれた共存性を提供します。

インフィニオンテクノロジーズのトランシーバ部門バイスプレシデント兼ゼネラルマネージャのクリスティアン・ヴォルフは「新しいSHDSL技術は、従 来のHDSLをベースとしたシングルペア2.3Mbpsシステムと異なり、規格化されています。これにより、大量採用の前提となるインターオペラビリティ、スペクトル共存性、長いループ距離などが保証されます」と 、話しました。

「SOCRATES」トランシーバは、既存サービスとの共存をはかることを目的とした指導的サービスプロバイダの国際団体であるFSAN(Full Service Access Network)の 認定を受けており、POTS、ISDN、ADSL、VDSL、HDSLなどと共存します。また、このデバイスは、インフィニオンのMDSLトランシーバ「MuBIC」に対する上位互換性を持っています。

「SOCRATES」トランシーバにより、ILEC(Incumbent Local Exchenge Carrier)、CLEC(Competitive Local Exchange Carriers)、ISP(Internet Service Provider)などのサービスプロバイダは、既設の銅ケーブルを介して、リース回線に近い性能のサービスを提供できます。従って、I SDNサービスやT1/E1サービスからのスムースな移行が可能です。「SOCRATES」トランシーバは、消費電力が1W以下と低く、高い集積度を備えているので、遠隔給電用途、高密度ラインカード、ア クセス多重装置(DSLAM)、デジタルループキャリア、網終端装置などに理想的です。さらに、デジタル加入者の音声およびデータサービスへのアクセス、PCM-XシステムT1/E1の置き換え、フ ラクショナルT1/E1サービスなどの用途にも適します。また、遅延測定などの機能が集積化されているので、ループ内無線(Radio-in-the-Loop)のような用途にも好適です。

「SOCRATES」トランシーバには、回線ドライバとハイブリッドを含むアナログフロントエンド、DSPデータポンプ、スタートアップ用のROMベースのコントローラ、HDLCコントローラ、T DMフレーマなどが集積化されています。回線インターフェースからフレーマまでの全機能が集積化されたことにより、製品設計が非常に簡単になり、小型化にともなって配線板スペースが節減されます。マ イクロコントローラとして8032タイプが内蔵されているので、トランシーバの制御と操作を行うためのコマンドの設定が単純で容易です。

シングルチップSHDSLトランシーバ「SOCRATES」(形名PEB22622)は、P-TQFP-144パッケージに収納されています。

 

Information Number

INFCOM200004-056