バッテリー保護
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充放電プロセス中のさまざまな故障状態を検出し、バッテリーを損傷から保護することが、バッテリー管理システム(BMS)の主要な機能です。仕様から外れた状態でバッテリーを動作させると、バッテリー セルに損傷が発生し、バッテリーの故障につながります。これによって保守作業が必要になるだけでなく、大きなコストの要因にもなります。充放電中は、バッテリーを注意深く監視する必要があります。
放電保護は、主にバッテリーの過放電保護に重点を置いています(低電圧保護)。過放電保護とは、バッテリーの電圧が下側基準値に達したときに、バッテリーから機器への電源供給を遮断することです。リチウム電池は、放電して2.5V/セルになったとき完全に空になっています。リチウム電池をここまで放電すると、電池にストレスを与え、電池の寿命が短くなります。優れたバッテリー保護回路は、過放電保護機能も備えています。
放電保護には、以下に示す監視機能もあります。
- 逆充電保護(バッテリー逆向き)
- 短絡保護(eヒューズ)
- 突入電流保護
充電保護は、主に過充電保護に重点を置いています(過電圧保護)。過充電保護とは、バッテリーの電圧が上側基準値に達したときに、バッテリーを充電器から遮断することです。たとえば、リチウム電池は、4.1Vまたは4.2V/セルまで安全に充電できますが、それ以上は安全ではありません。過充電は、バッテリーに損傷を与え、陽極の変質または熱暴走が起こるリスクにつながります。その場合、火災など安全上の問題が発生します。この状況を防止するために、バッテリー保護回路を使用するべきです。
- 低いRDS(on)で性能向上
- 広い安全動作領域(SOA)
- 部品点数低減と並列化ソリューションの効率向上による安価なソリューション
- 高いピーク電流定格の短絡保護
- アプリケーションのニーズに合わせたターンオンおよびターンオフソリューション
- 最大600VのMOSFET保護ソリューション(シングルモジュールおよびマルチモジュール)
シングルモジュールバッテリー用保護ソリューション
シングルモジュールバッテリーは、バッテリー式パワーツール、掃除機、マルチコプター、ロボット、電動スクーター、電動自転車、低電圧テレコム、サーバUPSなど、150V以下の電圧範囲のアプリケーションでよく使われています。
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マルチモジュールバッテリー用保護ソリューション
マルチモジュールバッテリーは、自動車、電動フォークリフト、電動ボート、住宅および施設用エネルギーストレージシステム、UPSなど、高電圧バッテリーによるアプリケーションでよく使われています。
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バッテリー保護トポロジ
コモンソースバッテリー保護トポロジとは、図に示すように、FETをバックツーバック(背中合わせ)でコモンソース(共通ソース)になるように配置することです。
メリット:コモンソーストポロジのメリットは、放電モードと充電モードの両方でバッテリーを遮断できることです。さらに、ソースが共通なので、両方のFETを同じゲートドライバに接続することができます。
デメリット:2個のFETが直列接続されているので、熱損失が2倍になります。
スプリットサイド保護は、図に示すように、放電保護MOSFETFETと充電保護MOSFETが2つの異なる経路に置かれているものです。スプリットトポロジは、パワーツールなどのアプリケーションにおいて以下に示すような場合によく使われます。
- 負荷の逆電流がゼロまたはごくわずか
- バッテリーが取り外し可能
メリット:スプリットトポロジは、低エネルギー損失、安価で、放電と充電の定格が異なるアプリケーションに適しています。たとえば、パワーツールでは、放電電流が充電電流の数倍大きくなる場合があります。したがって、充電保護FETは、放電保護FETよりも少ない個数にすることができます。
デメリット:スプリットテクノロジーでは、経路が別になっているので、各バッテリーの電極は、充電または放電のいずれかでのみ保護されることになります。バッテリーの使用方法を誤ると、保護が無効になる場合があります。
ハイサイド保護とは、図に示すように、保護MOSFETが回路のハイサイドに配置されているものです。
メリット:ハイサイド構成は、ハイサイドで遮断されることを保証します。したがって、この構成は、電圧が低くないアプリケーション(50V超)に適しています。
デメリット:ハイサイドのFETは、ゲートをドライブするためにチャージポンプが必要になります。
ローサイド保護とは、図に示すように、保護MOSFETが回路のローサイドに配置されているものです。
メリット:
デメリット:負荷とGNDの間にFETがあるので、負荷を直接GNDに接続することができません。このトポロジは、負荷を「フローティング」にしてもよいアプリケーションでのみ使用できます。
このトポロジーでは、ハイサイドおよびローサイドの両方が遮断されます。このようなトポロジーは、車載アプリケーション、電動フォークリフトなどの大型バッテリで使われています。
メリット:この両サイドの構成は、大型バッテリーを遮断する際の安全を強化します。電動フォークリフトの例としては、個別のパック(例:48V)を集めて大型バッテリーパック(例:400V)を構成します。たとえば、保守作業中は、すべてのバッテリー パックを分解して、高電圧システム(400V)を低電圧システム(48V)にします。ハイサイドおよびローサイドの冗長構成により、すべてのパックが遮断されていることを保証します。このようにして安全を強化します。
デメリット:ダブルサイドトポロジは、シングルサイドトポロジの約2倍の価格になります。さらに、エネルギー消費もシングルサイドトポロジの2倍になります。
Getting the most out of batteries. By the end of this decade, the majority of new cars sold around the world is expected to have a partially or fully electric drivetrain. Battery management systems have a great impact on the range, cost and service life of electric vehicles, which makes them a key success factor for this mobility revolution. Furthermore, they play an essential role when it comes to second-life concepts that allow former EV batteries to be used as flexible storage for renewable energy, for example. Dr. Clemens Mueller exclusively explains in-depth market trends and challenges, provides details on Infineon products and solutions, and introduces the new BMS-IC TLE9012AQU.