コミュニケーションとデータインフラ

5Gと信頼性の高いデータセンター

IoTの中枢部

IoTデバイスとアプリケーションの増加に伴い、データトラフィックも増大の途にあります。現時点で、毎年16.3ゼタバイト(1ゼタバイトは10億テラバイトに相当)のデータが生成および回収されおり、IDCおよびSeagateの調査報告によると、この数値は2025年までに163ゼタバイトに増加すると見込まれています。

膨大な量のデータを処理、転送および保存する必要性は当然ながら重大な課題となるため、とりわけ高帯域幅を保存する容量の増大、エネルギー効率の改善と組み合わせながら(IoTの中枢部を構成する)電気通信ネットワーク、データセンター、サーバーの性能を改良し続けることが必要となります。さらに、個人や企業は途切れることのない安定したコネクティビティを期待するため、IoTを支える全てのシステムには極めて高い信頼性が求められます。

サーバファームの効率性およびセキュリティ

 

データセンターおよびサーバファームには複雑な要件があります。モノのインターネットに必要な計算能力および保存能力のみならず、内部で保存および処理するデータに最大限のセキュリティを確保する必要があります。

その一方、データセンターは膨大な電力を消費するため、エネルギー効率の要件は厳格化の一途を辿っています。EnergieAgentur.NRWは、ドイツのサーバやデータセンターが要する電力量が2025年に164億kWhに達すると予測しています。2010年の数値はわずか105億kWhでした。この解決策となるのは、高い電力使用効率(PUE)およびデータセンターインフラ効率(DCIE)を実現する高性能のパワー半導体です。電力を大量消費するのはデータの保存および処理といったタスクに限らず、サーバの低温維持にも同様の電力量が必要となります。とりわけ非効率な電圧変換器が使用されると、稼働中に大量の廃熱が生成されるためです。

データセンタにおいて第二の重要な課題となるのは、サイバーセキュリティです。トラステッドプラットフォームモジュール(TPM)の形式で、すでに(ルータやゲートウェイを含む)ネットワーク設備用に規格化および認証されたセキュリティソリューションが利用可能となっており、データセンターへのサイバー攻撃が成功するリスクを大幅に抑えることができます。

デバイスへの高速接続

IoTの2つ目の基盤を形成するのは、超高速の第5世代の移動通信規格(5G)です。リアルタイムでシームレスなのデータ転送は「スマート」アプリケーションの必須条件であり、エンドツーエンドの5Gネットワークは、IoTにおける人、企業、機械および自動化プロセスの間の途絶えることのない接続性を確保する上での有力な手段となります。5Gの技術(ミリ波領域、スモールセルネットワーク、Massive MIMO(マッシブマイモ)、ビームフォーミングでのデータ転送等)では、LTEの100倍に相当する最大10ギガビット/秒の転送速度を実現することが可能です。

インターネットを介して医師が手術さえも実施できる遠隔医療等での実用化が可能になると共に、この新しい5Gネットワークでは帯域幅が広がるため、より良い品質のサービスを数多くのユーザーに同時に提供できるようになります。このように5Gを運用することで安定性と信頼性が大幅に改善されます。スマートシティでは、例えば、運転手に渋滞や事故の警告、駐車場の空き情報などが提供されます。車両は、他の車両やインフラと通信することができ、高速かつ信頼性の高いデータ通信が高度な自動運転における運転手の機能を果たします。その他の重要な5Gアプリケーションの例は、インダストリー4.0 です。この第四次産業革命では、ネットワーク化された価値創造とサプライチェーン、生産システムや相互に連携するロボットの広範囲なセンサー監視等において、効果的な通信に依存し、重要視されます。5G通信の可能性を最大限に活用する上で、そのインフラの範囲を拡大することが必須となります。

 

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