インフィニオン、堅調な第4四半期業績を発表。2021会計年度は慎重ながらも楽観的な見通し。サイプレス社の統合は順調。

2020/11/09 | 四半期レポート

2020/11/9 | 四半期レポート

  • 2020会計年度第4四半期:売上高は24億9,000万ユーロ、事業部合計利益は3億7,900万ユーロ、事業部合計利益率は2%。
  • 2020会計年度通期:売上高は前年度比7%増の85億6,700万ユーロ、事業部合計利益は11億7,000万ユーロ、事業部合計利益率は7%、有機的フリーキャッシュフローは9億1,100万ユーロ。
  • 2021会計年度第1四半期見通し:平均為替レートを1ユーロ=15ドルとする想定に基づき、売上高は24億ユーロから27億ユーロの間と予想。売上高が予想範囲の中心値の場合、事業部合計利益率は16%と予想。
  • 2021会計年度通期見通し:平均為替レートを1ユーロ=15ドルとする想定に基づき、売上高は約105億ユーロ(±5パーセント)と予想。売上高が予想範囲の中心値の場合、事業部合計利益率は16.5%と予想。14億ユーロから15億ユーロの投資を計画。フリーキャッシュフローは7億ユーロを超える見込み。
  • 2020会計年度の配当案:1株当たり22ユーロ(2019会計年度は0.27ユーロ)、新型コロナウイルスパンデミックによる影響および継続するリスクにより前年度から引き下げ。

  

2020年11月9日、ノイビーベルク(ドイツ) 

独インフィニオン テクノロジーズは本日、2020会計年度第4四半期ならびに2020会計年度通期(いずれも至2020年9月末)の業績を発表しました。 

インフィニオンの最高経営責任者(CEO)、ラインハルト プロス(Dr. Reinhard Ploss)は、次のように述べています。「2020会計年度は未曽有の、かつ困難な一年となりましたが、インフィニオンは大変好調な第4四半期の業績により、この一年を成功裏に締めくくることができました。当社は強固なビジネスモデルを有し、不確実な時期においても着実に成長し続けることを実証しました。ターゲット市場のいくつかは、特に自動車関連の分野を中心として、夏以降、予想を超える順調な回復を遂げました。またエレクトロモビリティ(電気自動車化)への構造的変化も欧州を中心として加速しています。トラクション(駆動装置)や政府系IDなどその他の市場は低迷し、ファクトリーオートメーションなどの市場はまだ回復には遠い状態にあります。これらの状況を踏まえ、2021会計年度については慎重ながらも楽観的な見通しを立てています。しかし新型コロナウイルスパンデミック、地政学的状況、およびマクロ経済の現状はいずれも引き続き厳しい課題となっています。チームの強化に加え、特にIoTやその他のデジタルアプリケーション向けコネクティビティを通じたテクノロジーと製品ポートフォリオの拡大により、当社のターゲットとなる市場はさらに拡大しています。インフィニオンは今後の課題を克服する上で優位な位置付けにあると言えます。」

2020 会計年度第4四半期グループ業績

インフィニオングループ2020会計年度第4四半期の 売上高は、前四半期の21億7,400万ユーロから24億9,000万ユーロに増加しました。今四半期のグループ売上高には、4月に買収したCypress Semiconductor Corporation(サイプレス社)の業績が初めて四半期全体を通じて反映されています。グループ売上高が前四半期比15%伸びた要因は、主としてオートモーティブ事業部(ATV)とパワー&センサーシステムズ事業部(PSS)における売上の増加です。コネクテッドセキュアシステムズ事業部(CSS)の売上高も微増しています。インダストリアルパワーコントロール事業部(IPC)の売上高は前四半期から減少しました。

第4四半期の 粗利益率は前四半期の27.0%から31.8%に改善しました。 調整後粗利益率は前四半期の35.9%から36.6%に上昇しました。 事業部合計利益は前四半期の2億2,000万ユーロから3億7,900万ユーロに改善し、 事業部合計利益率は前四半期の10.1%から15.2%に大きく上昇しました。

第4四半期の 非事業部損益は前四半期の3億1,300万ユーロの純損失に対して1億9,700万ユーロの純損失となりました。サイプレス社の買収と統合に伴う、主に取得原価配分(PPA)によるマイナスの影響は前四半期から縮小しました。第4四半期の数値の内訳は、売上原価1億1,800万ユーロ、販売費および一般管理費6,800万ユーロ、および研究開発費1,100万ユーロです。その他の営業収益と損失の合計額は前四半期と同様プラスマイナスゼロでした。

営業損益は前四半期の9,300万ユーロの損失から1億8,200万ユーロの利益に改善しました。

財務収支は前四半期の7,900万ユーロの純費用から2,800万ユーロの純費用に改善しました。前四半期の財務収支には、サイプレス社買収のための資金調達に関連した特別費用が含まれていました。

第4四半期の 法人所得税費用は3,300万ユーロでした。前四半期には、サイプレス社業績の初めての統合に伴う取得原価配分とそれに関連した繰延税金負債の取り崩しにより、4,400万ユーロの 税金収益が発生していました。

第4四半期の 継続事業からの利益/損失は、前四半期の1億2,800万ユーロの損失から1億1,200万ユーロの利益に増加しました。 非継続事業からの損益は、前四半期のプラスマイナスゼロに対し、300万ユーロの損失となりました。第4四半期の 純利益は1億900万ユーロで、これに対し前四半期は1億2,800万ユーロの 純損失でした。

第4四半期の 継続事業からの1株当たり利益/損失は0.08ユーロの利益(基本的および希薄化後とも)で、これに対し前四半期は0.11ユーロの損失でした。 調整後1株当たり利益 [1] (希薄化後)も前四半期の0.13ユーロの利益から0.20ユーロの利益に改善しました。

インフィニオンが有形固定資産および無形資産の購入額、ならびに資産計上された開発費の合計として定義する 投資額は、前四半期の2億6,600万ユーロから3億3,200万ユーロに増加しました。 減価償却費および償却費は3億7,900万ユーロで、前四半期の3億8,100万ユーロからほぼ横ばいでした。

第4四半期の フリーキャッシュフロー [2] はプラス3億8,700万ユーロで、サイプレス社買収に伴う現金支出を除外した場合はプラス4億3,100万ユーロでした。前四半期はサイプレス社買収を要因としてマイナス71億3,700万ユーロでした。サイプレス社買収に伴う現金支出を除外し、サイプレス社から取得した現金について調整を行った場合、前四半期のフリーキャッシュフローはプラス4億3,900万ユーロでした。 継続事業での営業活動による純キャッシュフローは、前四半期の5億3,300万ユーロから7億4,700万ユーロに増加しました。

2020会計年度末(2020年9月末)現在の グロスキャッシュポジションは32億2,700万ユーロで、これに対し前四半期末(6月末)は34億5,000万ユーロでした。フリーキャッシュフローがプラスであったにもかかわらずグロスキャッシュポジションが低下しましたが、これはサイプレス社買収に関連した借り入れの一部、4億7,600万ユーロを早期に返済したことによるものです。 ネットキャッシュポジションは、前四半期末のマイナス42億9,600万ユーロに対し、マイナス38億600万ユーロとなりました。9月末現在のグロス有利子負債額は70億3,300万ユーロで、これに対し6月末は77億4,600万ユーロでした。

2021 会計年度第1四半期見通し

平均為替レートを1ユーロ=1.15ドルとする想定に基づき、インフィニオンは2021会計年度第1四半期の 売上高が24億ユーロから27億ユーロの間になると予想しています。ATV事業部の売上高は前四半期比で数千万ユーロ程度増加する見込みです。IPC、PSS、およびCSS事業部の売上高はいずれも前四半期から横ばいの見込みです。売上高が予想範囲の中心値の場合、 事業部合計利益率は約16%になると予想しています。

2021 会計年度通期見通し

平均為替レートを1ユーロ=1.15ドルとする想定に基づき、インフィニオンは2021会計年度通期の 売上高を約105億ユーロ(±5パーセント)と予想しています。この予想値にはサイプレス社からの売上高が初めて一会計年度全体に反映されています。売上高が予想範囲の中心値に達した場合、増加額は前年度比約20億ユーロとなります。この増加額の半分以上はATV事業部によるものとなる見込みです。それ以外の増加分についてはPSSとCSS事業部がそれぞれ同程度貢献すると予想しています。IPC事業部の売上高は微増を見込んでいます。売上高が予想範囲の中心値の場合の 事業部合計利益率は約16.5%と予想しています。

2021会計年度には、有形固定資産および資産計上された開発費を含む無形資産に対して総額14億ユーロから15億ユーロの 投資を計画しています。 減価償却費および償却費は15億ユーロから16億ユーロの見込みで、このうち約5億ユーロは主としてサイプレス社の買収、および少額ながらインターナショナル レクティファイアー社の買収に伴う、取得原価配分の減価償却費および償却費によるものです。 フリーキャッシュフローは7億ユーロを超える見込みです。

地政学的およびマクロ経済的要因に加え、新型コロナウイルスパンデミックが引き起こした経済の混乱により正確な予測が困難となっています。パンデミックが続く中、売上高と利益予想に影響する主な要因には、グローバルな感染率の推移、予想される経済活動の制限、および政府による刺激策の規模や有効性が含まれます。

2020 会計年度配当案:1株当たり0.22ユーロ

インフィニオンは、株主が会社の成長からの恩恵を適切に享受できること、また基本的に成長率が低迷する時期においても最低それ以前と同程度の配当を行うことを配当方針としています。しかしながら新型コロナウイルスパンデミックによる深刻な経済的影響、および依然として継続するリスクを考慮し、適切な財務的余裕度を維持する必要があります。また2020年5月に実施した増資の結果、配当の対象となる株式数が約4%増加しています。そのため次回の年次株主総会では、2020会計年度の配当額として前会計年度を0.05ユーロ下回る0.22ユーロを提案する予定です。2020年5月に新たに発行した5,500万株も全額配当支払の対象となります。したがって配当総額は2019会計年度の3億3,600万ユーロに対し、2億8,600万ユーロとなります。この結果、配当総額の低下率は1株当たり配当額の低下率を下回ります。 

2020 会計年度第4四半期の事業部別業績

ATV 事業部の2020会計年度第4四半期の 売上高は前四半期の8億1,500万ユーロから10億5,200万ユーロに増加しました。この29%の売上高急増は、事業の大きな回復、およびサイプレス社の売上高が初めて四半期全体に反映されたことの複合要因によるものです。売上高はすべての分野で増加しました。需要拡大は電気自動車と、従来車両向けのマイクロコントローラーおよびドライバー支援システムで特に顕著でした。売上高増加により、 事業部利益も前四半期のマイナス2,400万ユーロからプラス6,200万ユーロに増加しました。 事業部利益率は前四半期のマイナス2.9%から、第4四半期にはプラス5.9%となりました。

IPC 事業部の第4四半期の 売上高は、前四半期の3億6,600万ユーロから3億4,900万ユーロに減少しました。この5%減は風力発電タービン、家電品、および鉄道分野での需要低下によるものでした。太陽光発電における売上高もわずかに減少しましたが、産業用ドライブでは前四半期の低迷から大きく拡大しました。 事業部利益は前四半期の6,300万ユーロから6,900万ユーロに改善し、 事業部利益率も前四半期の17.2%から19.8%に拡大しました。

PSS 事業部の第4四半期の 売上高は、前四半期の6億8,100万ユーロから11%増の7億5,900万ユーロとなりました。DC-DC電源、モバイル機器、およびUSBコントローラー製品がいずれも大きな売上高増を計上しましたが、AC-DC電源への需要はやや低下し、その売上高も減少しました。 事業部利益は前四半期の1億4,300万ユーロから2億900万ユーロに増加しました。 事業部利益率は前四半期の21.0%から27.5%に上昇しました。

CSS 事業部の第4四半期の 売上高は前四半期の3億700万ユーロから6%増加し、3億2,600万ユーロとなりました。産業用マイクロコントローラー、コネクティビティ、IoTセキュリティ、および認証関連の売上高が増加しましたが、政府系ID製品への需要は引き続き低下しました。 事業部利益は3,900万ユーロで、これに対し前四半期は3,700万ユーロでした。 事業部利益率は前四半期の12.1%に対し、12.0%となりました。

[1] 調整後純利益と調整後1株当たり利益(希薄化後)は、代替または上位の業績指標とみなすべきものではなく、IFRSに準拠して決定した純利益および1株当たり利益(希薄化後)に関する追加的情報とみなすべきものです。調整後1株当たり利益の計算方法については、英語原文14ページに詳細が記載されています。

[2] フリーキャッシュフロー、グロスキャッシュポジション、およびネットキャッシュポジションの定義と計算方法は、英語原文16ページをご参照ください。

インフィニオンについて

インフィニオン テクノロジーズは、暮らしをより便利に、安全に、エコに革新する半導体分野の世界的リーダーです。明るい未来の扉を開く鍵になる半導体をつくることが、私たちの使命だと考えています。2020会計年度 (9月決算) の売上高は85億ユーロ、従業員は世界全体で約4万6,700人。2020年4月のサイプレス社 (本社: 米国) 買収により、世界の半導体メーカー上位10となりました。
 インフィニオンは、ドイツではフランクフルト株式市場(銘柄コード:IFX)、米国では店頭取引市場のOTCQX(銘柄コード:IFNNY)に株式上場しています。
 
日本法人サイト: http://www.infineon.com/jp 
本社サイト: http://www.infineon.com (英語)

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  • Dr. Reinhard Ploss, CEO Infineon Technologies AG
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