インフィニオンが中期目標を発表  ~10%の成長とEBITマージンを目指し、省電力、モバイル、安全/セキュリティの分野に注力~

2006/11/16 | ビジネス&フィナンシャルプレス

独インフィニオンテクノロジーズの最高経営責任者(CEO)兼社長ヴォルフガング・ツィーバルトは、11月16日にミュンヘンで行われた年次記者会見で同社の中期目標を発表しました。イ ンフィニオンは大規模なリストラクチャリング措置を2007年に完了する見通しです。メモリ子会社キマンダを分離した新生インフィニオンは今後、エネルギー効率(Energy Efficiency)、モ バイル性/接続(Mobility and Connectivity)、安全/セキュリティ(Safety and Security)の3分野に重点を置いて事業を展開します。ツィーバルトはこの中期目標を「 フォーカス・オン・テン」(Focus on 10)と名付けています。

「中期的には少なくとも年率10%の成長と、年10%以上のEBITマージンを達成したいと考えています。現時点では大胆な目標と映るかもしれませんが、必ず達成できると確信しています」と ツィーバルトは述べ、先に始まった2006/2007年度についてはこう発表しています。「2007年には社内の大規模なリストラクチャリングを完了し、営業損失の段階から脱却する予定です。こ の措置が完了すれば、持続的な成長戦略と利益を確保する下地が整うので、後は遅くとも今会計年度の第4四半期までに全事業部門が黒字転換するよう総力を挙げて取り組みます。無線通信事業については、2 007年末までに赤字を解消するという既発表の目標を維持します」

新生インフィニオン
キマンダ分社後の「新生」インフィニオンは売上高40億ユーロ以上、社員数は29,000人を超え、うち6,000人は研究開発に専従しています。イ ンフィニオンは研究開発に年間約8億ユーロを投資しているほか、テクノロジーリーダーにふさわしく22,800件を超える特許を取得しています。

インフィニオンは、今後数年間にわたって年平均10%の成長が見込まれる市場において、積極的に業務を展開していきます。ツィーバルトによれば、新生インフィニオンが重点的に取り組むエネルギー効率、 モバイル性/接続、安全/セキュリティの3分野は、いずれも現代社会が直面する課題を反映しています。

インフィニオンはすでにこれらの市場に大きく貢献し、確固たる足がかりを築いています。こうした力を継続的に伸ばし、将来の成長機会を生かすためのプランも整っています。

インフィニオンの製品は、エンジンや駆動装置、電子デバイスなどのエネルギー効率の向上に役立っています。また同社の半導体は、パソコンの電源装置のほか、洗濯機や産業用機械、電 車などのモーター駆動制御に用いられ、効率的なエネルギー管理の基盤となっています。インフィニオン製のコンポーネントは、エネルギー消費の大部分を占める一般家庭において、冷蔵庫、エアコン、電気ストーブ、電 子レンジなどの省電力化に貢献しています。風力発電装置やソーラー発電装置、火力発電所、変電所などでもインフィニオンの半導体が利用されています。

インフィニオンのICはモバイル性と接続の確保にも用いられ、携帯電話やブロードバンドインターネットアクセス装置、無線アプリケーションなどを通じて場所を選ばず情報の入手を可能にしています。通 信技術の進歩は人々の距離を縮め、今では地理的な距離はさほど問題にならなくなりました。こうした個人のアクセシビリティと情報の同時入手を、時間と場所を問わず可能にすることが重要です。インフィニオンの無線・ 有線による音声・データ通信アクセス技術は、ここでも重要な役割を果たします。

安全とセキュリティの分野では、インフィニオンの半導体はデータのセキュリティ確保と、道路交通などにおける個人の安全確保に役立ちます。プライバシー保護と物的・知 的財産の保護がクローズアップされる中で、民間部門だけでなく公共部門でもセキュリティへの要求が高まりつつあります。適用対象としては、パスポート、IDカード、健康保険証などが考えられます。カ スタム仕様チップにセキュリティ機能を組み込んだ例としては、マイクロソフトのゲーム機用ICチップなどが挙げられます。

インフィニオンはこうした市場の大半ですでに好位置を占め、順調に事業を進めています。パワー半導体、チップカードIC、ブロードバンド通信アクセス用製品、携 帯電話用RFソリューションなどがその例です。すでにインフィニオンは長年これらの分野で世界市場をリードする企業の1社に数えられています。自動車向け半導体の分野では、イ ンフィニオンは2005年に市場平均を大きく上回る成長を果たし、世界市場第2位の地位をより強固なものとしたほか、ヨーロッパでは以前からナンバーワンの座を堅持しています。

「これらすべての市場でトップ3以内に入ることが目標です。キマンダの株式公開から得られる収入が、こうした成長努力を後押しするはずです。この収入の一部を企業買収に充て、新 規顧客の獲得と活動が手薄だった市場への進出を図ります。買収戦略では、当社の既存の能力を生かすことにも重点を置きます。しかし、何よりもまず当社は、自らの強みの上に立って成長していきたいのです。自 分たちの強みこそ、将来の利益ある成長を生む基盤なのです」とツィーバルトは語っています。

そこでツィーバルトは、インフィニオンの活動をこれまで以上にお客様の要求に近づけることを計画しています。すなわち、従来のように顔の見えないエンドユーザ市場に向かってではなく、お 客様の具体的なニーズをはっきりと意識しながら将来の方向性を定めます。また、複雑な社内機構の簡素化もさらに進めます。ICoRe(Infineon Complexity Reduction Program)と呼ばれるこのプログラムは、社内の業務やプロセスをより効率化することを目指しています。これに沿った措置はすでに今年度から始まっており、少 なくとも5,000万ユーロの節減が見込まれています。

インフィニオンはこのほか新しい製造・開発戦略も着実に推進する予定です。「中期的には投資を総売上高の約10-12%に引き下げる」とツィーバルトは述べています。この戦略に沿って、イ ンフィニオンはロジック事業の各分野への取り組み方法を変更します。65nm以下の微細構造のコンポーネントについては、現在その大半が標準的なCMOS技術で製造されていますが、イ ンフィニオンは今後これらを製造するための自社設備には投資せず、能力のあるパートナー企業と組んで開発と製造を行う方針です。一方パワー半導体については、そ の製造技術や製造品質が競争力に大きく影響することから、プロセス開発も生産も完全に自社管理の下で行う予定です。「清算業務のウェイトを引き下げるこのアプローチには、2つの大きな利点があります。ま ず投資支出が大幅に抑えられること、そして同時に生産面での競争優位を確保できることです」とツィーバルトは話しています。

2005/2006会計年度について
ツィーバルトはさらに、「インフィニオンは前年度に数々の重要な出来事を経験しました」と述べています。中でも重要なのは、メモリ事業を分社してIPO(新規株式公開)を実施したことです。イ ンフィニオンとキマンダはいずれも事業分野を絞り込み、お客様、社員、投資家の皆様に明確な戦略とビジョンを提示しています。

さらにインフィニオンは、中核部門である自動車・産業・マルチ市場部門と通信ソリューション部門における赤字事業の数を大幅に減らすことに成功しました。インフィニオンは前年度中に、長 年赤字続きだったディスクリート半導体、チューナIC、RFパワートランジスタ、チップカードICなどの事業を黒字に転換させ、特にチップカードIC事業については計画よりも1四半期早くこれを実現しています。こ うした再編により、インフィニオンは売上高合計7億ユーロに上る事業について黒字回復を果たしています。

インフィニオンは無線通信事業の顧客ベースを多様化し、LG電子、パナソニック、サムスンなどの重要なお客様を獲得しました。ツィーバルトはこれを第3の重要な出来事に挙げています。し かしこうした成功による顧客ベースの広がりも、ベンキューモバイルのドイツ子会社の破産申請によって失われる売上を相殺するには至らない見通しです。とはいえ、イ ンフィニオンは新しいお客様に向けて計画中のプロジェクトが今年度の業績にプラスの影響をもたらすと確信しています。インフィニオンは現段階で、無 線通信事業ユニットは2007年末までに黒字転換を果たせると予想しています。

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INFXX200611.021

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