インフィニオンがLEDライトと従来型電球に対応した自動車照明スイッチ製品を発表 インテリジェントな回路保護と診断機能を5チャネルのハイサイドスイッチに統合

2006/10/17 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは本日、自動車の照明装置に用いる従来型電球とLEDの両方に対応した新しいパワースイッチ製品ファミリを発表しました。車内・車 外の照明制御に適したこの5チャネルのインテリジェントなハイサイドスイッチにより、自動車メーカーは従来型の電球からLEDへの移行トレンドにフレキシブルに対応できます。
この「BTS 55XX SPOC」(SPOC: SPI Power Controller)シリーズは、NチャネルMOSFETとチャージポンプ、制御ロジック、回 路保護機能をモノリシック型SiP(System-In-Package)に統合しています。JEDEC規格のP-DSO-36パッケージにこれらの機能を組み込むことで部品点数が減り、照 明用の電子制御ユニット(ECU)のコストやサイズが縮小できるほか、診断機能も強化されます。

インフィニオンテクノロジーズ ノースアメリカのクリストファー・クック(自動車・産業・マルチ市場ビジネスグループ ゼネラルマネージャー)は次のように述べています。「インフィニオンは、自 動車のボディ、安全装置、パワートレイン等のイノベーションに取り組むお客様に、ICやインテリジェントなパワーコンポーネントを提供しています。当 社のチップ設計ノウハウやデジタルコンポーネントとパワーコンポーネントの統合技術を生かしたSPOCファミリを通じてより高度な照明制御が実現するだけでなく、デ ィスクリート部品で構成されたECUの部品点数やトータルなシステムコストも減少します」

SPIで診断機能を強化、デザインもよりシンプルに
SPOCコンポーネントはそれぞれSPI(Serial Peripheral Interface)を通じて制御と診断を行うほか、P WM方式の操作に用いる従来型のパラレル入力ピンも備えています。さらに、BTS 55XXではチャネルごとに電流検出信号が設けられ、マ イクロコントローラのI/Oピンを効率よく使える多重化機能と合わせて使用できるほか、回路ショート時に電力損失を抑える自動電流制限機能も備わっています。
SPOCは、オン状態でオープン負荷その他の障害(過熱、過負荷など)を区別することができます。診断機能は、デ ィスクリートタイプのスマートパワードライバ上のステイタスピンを用いる通常の方式ではなく、SPI上で読み込まれた各チャネルのフォールトフラグをラッチする方式を採用しています。ラ ッチされたフォールト信号はソフトウェアでタイミング調整をしなくても読めるので、PWMアプリケーションでは特に有用です。

使用するSPOCデバイスの数にかかわらず、診断機能はすべてマイクロコントローラのA/Dピン1個とSPIラインで処理され、これを他のSPI対応デバイス( 車載ネットワーク用のシステムベースチップなど)と共有することができます。スマートパワードライバとのインターフェースに用いるマイクロコントローラI/Oポート数が少なくて済むため、ハ ードウェアとソフトウェアがシンプルになり、プリント基板のレイアウト作業が軽減されます。ECUの設計にSPOCデバイスを複数使用すれば、こうした利点はさらに強化されます。

LEDと従来型の電球に対応
自動車メーカーでは、照明装置に従来の電球に代えてLEDを採用する傾向が強まっています。その理由として、LEDのほうが小型・軽量で、車両への組み込みが容易な点が挙げられます。また、L EDは従来の電球に比べてエネルギー効率も信頼性も高いため、電力管理システムの設計が容易になるほか、LED灯は切れにくく概して車より長寿命なので、車のオーナーにも安心をもたらします。イ ンフィニオンのSPOCファミリは、統合性の高いECUの設計を支える共通プラットフォームとして、電球とLEDの各種構成を柔軟にサポートします。

SPOCデバイス(BTS 5566GXを除く)は、電球、LEDのいずれのモードでも構成でき、同じハードウェアでどちらの負荷タイプにも対応可能です。モードを選択すると、オン抵抗(R DS/on)、電流制限値、スイッチングスルーレート、電流検出比率が変更されるので、選んだ負荷タイプに最適なスイッチング性能、保護機能、診断精度が得られます。そのため、た とえ車両タイプやトリムレベルが異なっても、共通のECUで電球とLEDの負荷タイプの違いに対応することができます。

フェイルセーフ機能
「BTS 5590GX」は統合されたウォッチドッグ回路によるフェイルセーフ機能を装備しています。ウォッチドッグはSPIを介して高度な論理回路によって制御され、安 全にリンプホームを行います。ECUの障害やショートが発生した場合はウォッチドッグが起動し、各チャネルが既知のデフォルト動作状態になるようSPOCデバイスを構成します。各 SPOCデバイスは専用の入力ピンを備え、これがBTS 5590GX(あるいは他のウォッチドッグデバイス)からのリンプホーム信号を受信します。この機能は、車 両の外部照明など安全にかかわる装置で特に重要な意味を持ちます。たとえば夜間に障害が発生した場合には、システムをリンプホームモードに設定すれば、サイドマーカーや方向指示器、テ ールランプを点灯して車両の視認性を確保し、ドライバーや同乗者の安全を保つことができます。

提供時期、サンプル価格
SPOCファミリの第一号製品「BTS 5590GX」は、すでに評価キット一式とともに設計プログラムに向けて提供を開始しています。2007年には量産車への搭載が開始される予定です。BTS 5590GXのエンジニアリングサンプル価格は4.35ドルです。同ファミリの次の製品「BTS 5566GX」と「BTS 5576GX」のサンプル出荷は2007年初頭を予定しています。S POC製品はすべて環境に配慮した鉛フリーのRoHS(有害物質規制)準拠パッケージに実装されています。

市場調査会社ストラテジーアナリティクスによれば、インフィニオンは自動車用半導体分野における車載パワー製品のトッププロバイダーで、2005年の市場シェアは22.5%に上っています。
インフィニオンは、米国ミシガン州デトロイトで10月16-18日に開催中のコンバージェンス2006で、SPOCファミリを出展しています(ブース#1124)。BTS 55XX SPOCファミリの詳細については www.infineon.com/automotivepowerをご参照ください。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自動車・産業・マ ルチ市場や通信アプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューションと、子会社「Qimonda (キマンダ)」を通してメモリ製品を供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京の各子会社を拠点として活動しています。2005会計年度(9月決算)の売上高は67億6,000万ユーロ、2 005年9月末の従業員数は約36,400名でした。インフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください。< /div>
本社サイト: http://www.infineon.com
日本サイト: http://www.infineon.com/jp

Information Number

INFAIM200610.008