インフィニオンがリーク電流を大幅に低減した120nmおよび90nm低電力CMOS回路技術を発表

2005/02/09 | テクノロジー メディア

独インフィニオンテクノロジーズは、サンフランシスコで開催のISSCC 2005(IEEE 国際固体回路会議、会期:2月6~10日)において、120nmおよび90nm CMOS技術のリーク電流を低減するための新しい回路技術を発表しました。インフィニオンの中央研究部門(コーポレートリサーチ)および通信事業グループは、ミュンヘン工科大学と緊密な共同作業を行い、リ ーク電流を最大3桁まで低減する革新的な回路コンセプトを開発しました。

100nm以下のCMOS技術においては、高いスイッチング速度と低いリーク電流を両立させたトランジスタを製造することがますます困難になっています。最小構造サイズをさらに低減すると、ト ランジスタのリーク電流の増加によって、集積回路内部の静的な損失電力が大幅に高まります。従って、業界全体にとってリーク電流の低減は中心的な課題であり、マ イクロエレクトロニクスにおいて微細化を進める上で最も困難な挑戦の一つとなっています。最 小構造サイズの低減による負の副次効果にも関わらずCMOS技術で製造される回路の全体的な消費電力を低減するためのキーステップとなるのは、プロセス技術と回路設計における革新的な組み合わせです。

スリープ・トランジスタのコンセプトは、リーク電流を抑制するための高度に効率的な回路技術です。その基本アイデアは、当面のデータ処理に必要のない回路ブロックを、リーク電流が非常に低いスリープ・ トランジスタによって供給電圧から切り離すことです。その回路ブロックは、処理しなければならない新データに少し先行してスリープ・トランジスタをスイッチオンすることによって再び活性にされます。スリープ・ト ランジスタ技術を製品に適用する上で大きな課題となるのは、活性動作時にスイッチング速度が大きく低減するのを避けるために、スリープ・トランジスタの適切な寸法設計(幅、長さ、配置などの選択)を 行うことです。

インフィニオンのローラント・セェヴェス(中央研究部門のシニアディレクタ)は、「ここで開発された回路技術は、将来の携帯電話アプリケーション(ベースバンドICのような)に とって特に関心が持たれます。チップ機能とトランジスタ数がますます増加しているにも関わらず、これによってバッテリ寿命の延長が可能になるからです」と、述べました。

研究チームは、2種類のデジタル信号処理(DSP)用コアモジュールに関して、高い処理速度と低いリーク電流の両方が同時に達成可能なことを示しました。ミュンヘン工科大学において120nm CMOS技術を適用して設計された16ビット積和ユニットは、最大クロック周波数950MHzで動作し、スタンバイモードにおけるリーク電流は20nAに抑えられています。きめ細かく設計されたスリープ・ト ランジスタの新コンセプトは、ISSCCで発表された積和ユニットを用いて調査されました。ミュンヘン工科大学のシュテファン・エンツラー(低電力プロジェクトの責任者)は、「 回路設計に対するリーク電流の重要性はますます増加しているので、スリープ・トランジスタのコンセプトはより小さな機能ブロックに適用され、より頻繁にパワーダウンが行われるようになるでしょう」と、述べました。

また、最大クロック周波数500MHz~2.5GHzのいくつかの32ビット加算器コアがインフィニオンの90nmトリプルウェルCMOS技術と先進ロジックファミリを適用して製造されました。こ こでリーク電流は、スタンバイモードにおいて記録的な値10nAへ低減されました。既存の回路と比較して1000分の1の低減になります。さらに、ボディバイアス技術を適用することによって、ト ランジスタのしきい値が調整可能となり、要求される動作モードへ適合させることができます。これによって活性モードにおけるスイッチング電流が高められ、最大クロック周波数が最大30パーセント向上します。

インフィニオンのクリスティアン・パッハ(中央研究部門のプロジェクトマネージャ)は、「私達は、各種のプロセス技術オプションと専用回路技術を組み合わせることにより、低 電力戦略を開発することができました。第2のキーステップは、技術開発の初期段階において代表的回路を用いてこれらの技術を実験的に検証することでした」と、述べました。研究者たちは、最近開発された65nm CMOS技術との関連で、製造およびプロセス技術に関連したパラメータ変動の影響を低減するために回路の安定性を高めるためことを新たな課題としています。

上記と別に、キール(ドイツ)のクリスティアン・アルブレヒト大学との共同作業による研究プロジェクトにおいては、高速性と低消費電力の最適な組み合わせと提供する、も う一つの回路技術が実現されました。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2004会計年度(9月決算)の売上高は71億9,000万ユーロ、2004年9月末の従業員数は約35,600名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。
インフィニオンについての情報は次のURLをご参照ください:
本社サイト:http://www.infineon.com
日本サイト: http://www.infineon.com/jp

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INFCPR200502.032