インフィニオンが光通信インフラのデータ通信量増大に対応する新戦略を発表

2004/06/16 | マーケットニュース

独インフィニオンテクノロジーズは、費用対効果の高いMAN(都市圏ネットワーク)エッジやWAN(広域ネットワーク)を実現するために必要とされる通信機器の新機能に向けて、I Cソリューションの提供を目指した新事業戦略を発表しました。

今回の新戦略に関連したソリューションは、6月22~24日にシカゴ(米国イリノイ州)で開催されるSupercom 2004で動作実演します(ブース番号:12347)。

新事業戦略の中でインフィニオンは、SONET/SDHを介したデータ伝送市場で4つの分野を特定し、それに対応した新製品および技術統合プログラムを打ち出しています。

インフィニオンの「データ伝送のコスト効率向上」戦略
インフィニオンが打ち出した新事業戦略に対応するデバイスは、SONET/SDHを介したデータ伝送を核とした次の分野を対象にしています。

1) Ethernet over SONETフレーマ・デバイス
Ethernet over SONET(EoS)は、SONET/SDH網を介した効率的なデータ・パケット伝送を実現します。EoSフレーマは、VCAT(Virtual Concatenation)、LCAS(Link Capacity Adjustment Scheme)およびGFP(Generic Framing Procedure)の各標準を用いて、イ ーサネットに代表されるデータパケットのインターフェイスをSONET/SDHの任意のパス(帯域の一部)にマッピングします。Packet over SONET(PoS)と異なり、こ れまでの音声データと同一回線に統合することが可能です。インフィニオンはこの分野に対応した最初のデバイスとして、2003年に「MetroMapper 622」を発表しています。Supercom 2004では、当リリースで同時発表(後記)するEthernet over SONETフレーマ・ファミリの最新製品「MetroMapper 2.5G」のデモンストレーションを行います。

2) レイヤ2/3スイッチング・エレメント
レイヤ2/3スイッチング・エレメントは、メトロ・イーサネット・フォーラム(MEF)、イーサネット・エンジニアリング・タスク・フォース(IETF)、国際電気通信連合( ITU)の各標準化機関が策定したデータサービスおよびマネジメント機能を具現化するもので、共有ネットワーク資源の利用効率を高めるとともに、オンデマンド回線設定、SLA(Service Level Agreement)、付加価値サービス毎の課金など行うためのネットワーク管理システムを可能にします。

3) RPR MACデバイス
RPR(Resilient Packet Ring=障害回復機能を持つパケットリング技術)は、特 にオーディオおよびビデオ放送やLAN仮想プライベートネットワークなどのポイント・ツー・マルチポイントやマルチポイント・ツー・マルチポイントのアプリケーション向けに、ネ ットワークのさらなる効率向上を図るための新しいの重要な第2レイヤプロトコルです。RPR MAC(Media Access Contoller)デバイスをEoSフレーマデバイスと組み合わせることで、S ONET/SDH網の高信頼リングトポロジーを最大限に利用することができます。

4) ストレージ伝送デバイス
ストレージ伝送は、災害対策上の理由やデータの安全および利用に関する法的要件から、データ・ストレージ・センター(ストレージ・エリア・ネットワーク=SAN)の 分散化に対するニーズが高まっていることがきっかけとなって登場した、新興の重要なアプリケーションです。分散化を行うには、各データセンターを相互接続し、ネットワークに厳格な要件を課すことが必要です。伝 統的に大企業は、サービスプロバイダから提供される高密度光波長分割多重(DWDM)ネットワークを介した専用回線を利用しています。しかし、小規模な企業や小規模な遠隔拠点の場合は、専 用回線のコストが高すぎて利用できません。ここに、共有ネットワークを介したストレージ伝送サービスへの需要が存在します。ファイバチャネルBB2/3(FCBB2/3)な どの新標準に対応したストレージ伝送デバイスは、分散化した各SANサイトをシームレスにコスト効率よく相互接続するファイバチャネル(FC)インターフェイスを提供するための機器の実現を可能にします。& amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; lt; /p>

新製品「MetroMapper 2.5G」
新戦略の発表と同時にインフィニオンは、Ethernet over SONETフレーマ・ファミリの新製品として「MetroMapper 2.5G」を発表しました。こ の製品により機器メーカーは、プライベートネットワークとキャリアネットワークをシームレスに接続するインターフェイスや、任意ポイント間の接続など、MEF、IETF、I TU-Tが定義した最新のイーサネット伝送要件を満たすシステムを開発することができます。「MetroMapper 2.5G」は、先行の「MetroMapper 622」と同様な、実 際のネットワーク環境で立証済みのヒットレスなLCASエンジンと、ゼロ・パケット・ロスの広範な第2レイヤ機能を搭載しています。さらに、最 大128チャネルに対する低オーダと高オーダのVCAT/LCASをサポートし、イーサネット仮想LANのID処理機能を持ち、MPLSラベル更新処理を可能にします。「MetroMapper 2.5G」は、1 024コンタクトBGA(ボール・グリッド・アレイ)パッケージに収納されています。本日から供給を開始し、少量受注時の単価は350米ドルです。

戦略の背景
市場調査会社RHKのアナリスト、アラン・アームストロング氏は、「個人加入者および企業がやりとりするパケット・ト ラフィック量は2003年内に全世界で77パーセント増加しました。こうした通信量の増大は、サービスプロバイダが受け取れるはずのビット当たり収益を低下させています。当社の予測では、ネ ットワークインフラの非効率な利用が原因で、ビットあたり収益は2008年まで平均で年間28パーセントずつ低下していきます。通信プロバイダやキャリアが、既設インフラ、特に、音 声伝送向けに最適化されているが今日のデータ伝送には非効率な、大規模SONET/SDH網を格上げできるようにする解決策が、今こそ市場で切望されています」と、述べました。

インフィニオンテクノロジーズ・ノースアメリカ社のクリスティアン・シェルプ(有線通信マーケティング担当副社長)は、「インフィニオンの新戦略は、通 信プロバイダが直面している技術的および経済的な課題に解決策を与えるものです。世界中の既設インフラは原則的に、音声サービス伝送向けに設計されています。パケット方式ブロードバンドサービスの需要拡大に伴い、 そうしたネットワークを介したデータ伝送量が増大する一方、競争圧力から、サービス提供コストの回収率が低下しています」と、述べました。

「データ伝送のコスト効率向上」戦略およびそれと連動したIC製品開発は、機器メーカーがサービスプロバイダやキャリヤのニーズに応えることを可能にします。サービスプロバイダやキャリヤは、音 声向けに最適化された既設ネットワークからパケット方式ブロードバンドサービスへの移行を支援する先進的なシステムを求めています。パケット方式ブロードバンドサービスには、Voice over IP( VoIP)、インターネットアクセス、Peer-to-Peerファイル共有、オーディオおよびビデオ伝送、そして、VPN(仮想プライベートネットワーク)や ストレージデータ伝送などの業務アプリケーションがあります。

シェルプは、「インフィニオンの光ネットワーキング事業ユニットは、ブロードバンドサービス配信のICソリューションに関して業界で最も包括的なCore-to-Door(基幹網から戸口まで)の ラインナップを提供するという方針に基づき、SONET/SDHネットワークを付加価値データ伝送サービスに対して最適化するための重要技術を機器メーカーに提供していきます。ネットワーク・インフラは、あ らゆるタイプのデータトラフィックを最もコスト効率の高い方法で伝送し、新しい付加価値サービスやオンデマンド回線設定の要求に対応できなければなりません。プロバイダは、高 額の初期投資やエラーの起きやすい手動設定を行うことなく、VoIP、オーディオおよびビデオ放送、Peer-to-Peerファイル共有、仮想専用線をはじめとした業務用アプリケーションなど、各 種のオンデマンド・アプリケーションを配信したいという要望を持っています。インフィニオンの「データ伝送のコスト効率向上」戦略は、そうしたサービスを実現するビルディンブロックを提供します」と、述べました。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFCOM200406.070