インフィニオンテクノロジーズが2003年10~12月の四半期業績を発表

2004/01/19 | ビジネス&フィナンシャルプレス

梗概

  • EBITは7,000万ユーロの黒字で、前四半期の6,700万ユーロの黒字から増加、前年同期の2,900万ユーロの赤字から大きく改善
  • 第1四半期の純損益は3,400万ユーロの黒字で、前四半期の純利益4,900万ユーロには及ばないものの、前年同期の4,000万ユーロの赤字から好転
  • 第1四半期の売上高は16億2,000万ユーロと対前四半期比では8パーセント減、対前年同期比では13パーセントの伸び
  • 価格圧力の継続にもかかわらず、有線通信を除く全事業グループでEBIT黒字を達成

世界第6位の半導体メーカーである独インフィニオンテクノロジーズが、2003年12月31日に終了した2004会計年度第1四半期業績(2003年10~12月)を発表しました。売 上高が16億2,000万ユーロと対前四半期比では8パーセント減となる一方、対前年同期比では13パーセントの伸びを示しました。対前四半期比の減少は、全事業分野で価格低下が続いたこと、な らびにドル安の影響が主因です。

インフィニオンテクノロジーズのウルリッヒ・シューマッハ社長・最高経営責任者(CEO)は、「今会計年度第1四半期に、インフィニオンは黒字を達成しました。この成果は私たちの予想に沿ったものであり、当 社のロードマップに合致します。当社の4事業グループのうち3事業グループが黒字となりました。価格軟調の継続やドル安にもかかわらず、当社は生産性やコスト面の有利さをフルに発揮して、EBIT(利息・税 引き前損益)を改善することができたのです」と、説明しました。

純損益は3,400万ユーロの黒字で、前四半期の純利益4,900万ユーロには及びませんでしたが、前年同期の4,000万ユーロの赤字から好転しました。EBITは7,000万ユーロの黒字で、前 四半期の6,700万ユーロの黒字を上回り、前年同期の2,900万ユーロの赤字から大きく改善しました。前四半期と比べると、セキュア・モバイル・ソリューション・グループの収益が改善した一方、メ モリ製品グループは減益となりました。

1株当たり(基本および希釈)利益は0.05ユーロで、前四半期の0.07ユーロを下回りましたが、前年同期の0.06ユーロの赤字から好転しました。

研究開発費は2億7,600万ユーロ(前四半期は2億9, 700万ユーロ)、売上総額に対する比率は17パーセント(同17パーセント)でした。減 額となったのは主にメモリ製品グループの研究開発費低下と前四半期には自動車&産業グループで臨時研究開発支出の仕掛りがあったためです。SG&A(販売費および一般管理費)支出は、総 売上高の11パーセントに相当する1億7,400万ユーロで、前四半期の1億8,500万ユーロ(同11パーセント)よりも低下しました。この減少はサービスの購入費の低下と経費削減努力を反映したものです。& amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; amp; lt; /p>

グロス・キュッシュポジション(現金、現金等価物、有価証券および使途制限付き現金)は28億ユーロを維持、純キャッシュポジション(グロス・キュッシュポジションから負債を引いた額)は 前四半期末の3億2,800万ユーロから3億5,500万ユーロに増加しました。

地域別売上高をみると、欧州以外の地域での売上高が総売上高の57パーセント(前四半期は59パーセント)を占めました。北米の比率は20パーセントで前四半期の24パーセントから下がる一方、ア ジアは36パーセントで前四半期の34パーセントから拡大しました。2003年12月31日現在の総従業員数は世界全体で3万2,900人、うち約6,100人が研究開発関係に従事しています。

第1四半期の製品グループ別売上高

第1四半期の事業グループ別業績では、自動車&産業グループの売上高が3億5,600万ユーロで、対前四半期比で1パーセント減、対前年同期比では4パーセントの増加となりました。対 前四半期比で減少したのは価格圧力とドル安が主因です。

当グループの長期的な地域戦略に沿って、自動車事業では特にNAFTA地域で安全およびパワートレイン関係のアプリケーション専用チップセットの重要なデザインウィンを成約しました。また産業用では、電 子安定器(ELB)アプリケーション向けの製品ラインアップを補完する新しいLightMOS IGBTファミリを成功裏に立ち上げました。

有線通信グループの売上高は1億700万ユーロで、対前四半期比で12パーセント減となりましたが、対前年同期比では1パーセントの増加を示しました。対 前四半期比で低下したのは主に光通信市場向けの減収によりますが、一部はアクセス事業の増収で相殺できました。他に、ドル安の影響や価格低下も不利に働きました。

アクセス事業では、ADSLとSHDSL分野で著しい増収をみせました。また、シーメンスICN社などの主要な顧客企業から重要なデザインウィンの新規案件を獲得しました。

セキュア・モバイル・ソリューション・グループの売上高は4億6,500万ユーロと前四半期からほぼ横ばいで、前年同期に比べると15パーセントの増加をみせました。予想を大きく上回るこの成果は、モ バイル通信デバイスの季節的な販売堅調によるものですが、半面、セキュリティ・プロジェクト・ビジネスの低下と一部のコードレスおよびGaAs(ガリウム砒素)の業務活動の段階的廃止がマイナス材料となりました。 < /p>

セキュア・モバイル・ソリューション部門では、ベースバンドおよびRF製品などのセルラー・コンポーネントやプラットフォーム・ソリューション・ビジネス分野の製品に引き続き力強い需要がみられました。加 えて、シリコン・ディスクリートの新規受注が過去5期の四半期では最高水準を達成しました。セキュリティ・ビジネスでは、電子パスポートと自動車免許証関連の新規プロジェクトが順調にスタートしました。半 導体メーカーから完結したモバイル・プラットフォーム・ソリューションのシステムパートナーへの進化を加速するため、インフィニオンは、2 004会計年度第1四半期にシーメンスICN社から約145名のソフトウェア開発要員を獲得しました。これで、インフィニオンは、シーメンスの携帯電話に向けた業界をリードするプロトコル・ス タック分野のノウハウを一段と拡充しました。

メモリ製品グループの売上高は6億4,300万ユーロで、対前四半期比では16パーセントの低下でしたが、対前年同期比では19パーセントの伸びをみせました。対前四半期比の減少は主に、販売数量の減少、価 格低下およびドル安の影響によります。販売数量の減少は、販売戦略上、プライス・クオリティ(価格品質)を重視したことと、シリコン・ファウンドリ業者を柔軟に活用した結果です。

メモリ製品では、インフィニオンは自社初のNAND型フラッシュ技術を立ち上げるとともに、世界のフラッシュメモリ市場に参入する製品として、TwinFlash技術をベースとした512Mビット・メ モリチップを投入しました。これらのチップは、独ドレスデンの200mm DRAM施設で生産が開始されました。さらに、メ モリ製品グループでは記憶密度128Mビット版と256Mビット版のMobile-RAMと500メガヘルツDDR-3グラフィックスRAMのサンプル出荷を開始しましたが、それらはすべて、当 社の110nm技術をベースとしています。また、台湾の南亜科技との合弁会社であるイノテラ・メモリーズが2003年12月に300mm製造装置の運転に入りました。

2004会計年度の見通し

シューマッハは、「半導体業界がようやく浮揚局面に入ったことを、すべてのビジネス指標が示しています。半導体市場が経験した最悪の苦境は克服されたようです。市場の復調に伴って、当 社も今会計年度には良好な事業動向が期待され、2004年度にはすべての分野で安定成長が見込まれます」と、コメントしました。

当社は、強い価格圧力が続いているにもかかわらず、自動車部門で好成長を予想しています。これは新車への半導体部品使用比率が高まっているのを反映したものです。ただし、世 界の自動車生産の伸びは限られたものにとどまるでしょう。ドル安による影響があるとしても、自動車&産業グループは2004会計年度には市場全体に足並みを合わせた成長をみせると思われます。

有線通信グループは、2004会計年度第2四半期には増収傾向を取り戻すと予想されます。ただし、ドル安の継続が足かせになる可能性もあります。2 004会計年度には有線通信グループは堅実な成長をみせるでしょう。加えて、当社は光伝送事業を独立法人化する戦略オプションを準備中です。その価値を最大化するため、戦 略パートナーの評価を行っているところです。

セキュア・モバイル・ソリューション部門は第2四半期には売上高が第1四半期をやや下回ると予想されます。クリスマス後の季節的な需要減と一部コードレス事業の段階的廃止が原因です。無 線インフラおよびシリコン・ディスクリート事業は安定基調が見込まれます。セキュリティ・コントローラの需要は、特に認証プロジェクトの大口デザインウィンが寄与して、2 004会計年度末まで着実な成長をみせるでしょう。マルチメディア・アプリケーションのコンバージェンス(融合)の進行も、2004会計年度下半期に無線事業の成長に弾みをつけるでしょう。

例年、暦年開始当初は、クリスマス・シーズン後のPC需要の減退からメモリ製品の価格は下がりがちです。当社は2004会計年度第2四半期にはメモリのビット・ベース出荷量が伸びるとみています。2 004会計年度下半期には、110nm技術への転換とファウンドリ・パートナーの工場立ち上げがけん引して、メモリ生産は増加するでしょう。当社は、2 004年度には企業各社の老朽マシンの取り替えやDDR-IIベースのデスクトップPCとサーバの立ち上げが寄与して、メモリ需要は成長をみせると見込んでいます。

「当社の大半の事業グループでは価格圧力が続いていますが、半導体業界では明白な回復の兆しが増えています。特に当社では自社およびファウンドリの工場稼働率が大きく上がり、顧 客企業からの注文が活発化しています。当社は先行きを慎重ながらも楽観視していますが、それでも引き続き果敢に経費削減に取り組み、製品ラインナップを充実させ、競合各社よりも柔軟で敏速な体制を目指します。そ の努力を背景に、当社は市場平均を上回る成長を達成し、業界標準を上回る収益改善を成し遂げる構えです」と、シューマッハはコメントしました。

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

Information Number

INFXX200401.025

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