インフィニオンとマイクロンが携帯電話向け「CellularRAM」開発で提携

2002/06/24 | マーケットニュース

 独インフィニオンテクノロジーズは、米マイクロンテクノロジー社との間で、携帯電話向け低消費電力PSRAM(擬似スタティックRAM)の新しいマルチ世代ファミリである「 CellularRAM」メモリの仕様開発とマルチソース供給を目指して協力する契約を締結したと発表しました。

この新タイプのPSRAMデバイスは、将来の2.5Gおよび3Gハンドセットの設計においてメモリ容量とバンド幅を求めるニーズが急速に高まっていることに対応して開発されたもので、現 行ないし提案段階の対抗製品よりも低いビット単価を可能にします。「CellularRAM」は、SRAMとのピン互換性、リフレッシュ不要な動作、超低消費電力設計を特長とし、現 在の携帯電話の設計で広く用いられている非同期型の低消費電力SRAMとそのまま置き換えることができます。

SRAMの6トランジスタ(6T)型セルと比べ、「CellularRAM」は1トランジスタ(1T)型のDRAMセルをベースとしているので、伝統的なSRAMに対して大きな優位性を持っています。 「CellularRAM」には、標準DRAMが持つ技術およびプロセス面のすべての先進性が活かされます。そして、DRAMのメモリセルのサイズは、同じリソグラフィ・ノ ードを用いる6T型SRAMセルに比べて、わずか10分の1にすぎません。ダイ寸法の縮小により、容量あたりのメモリコストが低減し、携帯電話のメモリ容量増大が可能となります。

「CellularRAM」製品ファミリには、SRAM置き換え用にSRAM型インターフェイスを備えたデバイスや、Flashインターフェイスをエミュレートするバースト・リード/ライト・モ ードを備えた新しいクラスの革新製品が含まれます。これらの製品は、クロック速度108MHzで動作し、サイクルタイムは60nsで、持続バンド幅210Mbpsを達成します。

今回の共同開発契約の狙いは、「CellularRAM」メモリを次世代の2.5G(GPRS、EDGE)ハンドセットやエントリ・レベルの3G(UMTS)端末のメモリ・サ ブシステムのマルチソース標準として確立することにあります。両社は共同開発される仕様に基づいて、ピンと機能の互換性を持つ製品を生産する予定です。両社がそれぞれ、各 々のプロセス技術を用いて製品を生産します。

インフィニオンとマイクロンは、今後12カ月以内にいくつかの「CellularRAM」デバイスを製品化する計画です。その第一弾となる32Mビット版(構成2 M×16ビット)は 2002年末に投入され、次いで16Mビット版(1 M×16ビット)と64Mビット版(4 M×16ビット)がともに2003年上半期から供給される見込みです。「CellularRAM」デ バイスは単一電源1.8Vで動作し、I/O電圧2.5Vおよび3.0Vのオプションも用意されます。

マイクロンのマリオ・ファジオ(ワイヤレス製品戦略マーケティング・ディレクタ)は、「CellularRAMを使えば、顧客企業は、次世代無線ハンドセット用の高性能で、電力効率が優れ、費 用効果の高いソリューションの設計が可能になります。CellularRAMを、マイクロンの大容量・低電圧バースト・フラッシュのような不揮発性メモリと組み合わせれば、今 日最もポピュラーなハンドセット用バス方式である非同期バスないしバースト・バス上で動作するメモリ・サブシステム向けの魅力的なソリューションとなります。イ ンフィニオンとの戦略的関係を活かしてCellularRAM製品ファミリをさらに拡充する機会を得たことで、今後の期待が高まります。マイクロンとインフィニオンのCellularRAM共同開発を通じて、顧 客企業には、供給の柔軟性、技術の先導性、高い生産能力などのメリットがもたらされます」と、語りました。

インフィニオンのエルンスト・シュトラッサ(グラフィックス用および専用DRAMマーケティング・ディレクタ)は、「CellularRAMは、必要な記憶容量とデータ・ス ループットを低消費電力で提供できる、次世代ハンドセット用の理想的なソリューションです。無線アプリケーション用メモリのフルレンジ・サプライヤを目指すインフィニオンのロードマップにとって、M obile-RAMの市場導入と、NROMベースのNAND 型フラッシュ技術の立ち上げに続く今回のCellularRAMは、さらなる重要なステップを意味します。今回の契約は、イ ンフィニオンとマイクロンの一連の共同開発契約の中で最新のものです。RLDRAMに関する両社の協力は大きな成功を収めていますが、この度さらに、CellularRAMの仕様作成で協調し、顧 客企業に対して完全互換のデバイスを提供するために、新たな協力関係に入ったことを嬉しく思います」と、述べました。

備考:NROMはサイファン・セミコンダクターズ社(Saifun Semiconductors Ltd.)の登録商標です。

マイクロンについて
マイクロン・テクノロジーとその子会社は、DRAM、超高速SRAM、フラッシュメモリ、その他の半導体デバイス、メモリ・モジュールなどの製造と販売を行っています。マ イクロンの株式はニューヨーク証券取引所で取引されています。マイクロンについての情報は次のURLをご参照ください:
http://www.micron.com

インフィニオンについて

インフィニオンテクノロジーズ(Infineon Technologies AG)は、ドイツのミュンヘンに本社を置き、自 動車および産業分野や有線通信市場のアプリケーションへ向けた半導体およびシステムソリューション、セキュア・モバイル・ソリューション、メモリ製品などを供給しています。米国ではカリフォルニア州サンノゼ、ア ジア太平洋地域ではシンガポール、そして日本では東京を拠点として活動しています。2003会計年度(9月決算)の売上高は61億5,000万ユーロ、2003年9月末の従業員数は約32,300名でした。イ ンフィニオンは、フランクフルトとニューヨークの証券取引所に株式上場されています。

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INFMP200206.088e